金木犀博士のフェアリング解説

「はやぶさ2」を打上げたH-IIA 26号機のフェアリングを手にされた方も多いかもってことで、フェアリングの諸々について解説なのです。
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金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

H-IIA F26のおかげで、TLにフェアリングをお持ちの方も増えてきたので、見どころを解説していきます。

2015-02-28 00:47:20
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

見どころその1:表面。白い面です。この面が機体外側です。打上げから4分11秒後、高度およそ134kmで分離されて、海へと落下しました。国際基準による宇宙空間は高度100kmから上ですから、ここは「宇宙の入り口に触ってきた」のです。 pic.twitter.com/BkOFN4lLE6

2015-02-28 00:47:56
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金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

その2:ハニカム構造。honey combは「ミツバチの巣」の意味ですが、それとよく似た六角形を繋いだ構造が隠されています。画像だと縦線の構造体がそれです。六角柱を横から見ていますので、縦線に見えています。 pic.twitter.com/ia0w1E6am0

2015-02-28 00:50:27
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金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

ハニカム構造を使うことによって、軽く丈夫な構造体を作ることができます。ロケット本体は、1gでも軽く作ってそのぶん重い人工衛星を載せられるようにしたいので、これはうってつけです。このように、フェアリングは、軽くて丈夫なアルミ系材料を使った上により軽くする工夫をして作られています。

2015-02-28 00:54:21
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

再びハニカムの写真を見てみましょう。真ん中やや右にクリーム色の部分が見えます。これは恐らくハニカム構造体同士を接着している部分です。反対側にも同じ物質が見えていました。接着剤は発泡しています。これも軽く仕上げるための工夫でしょう。 pic.twitter.com/9XOlqJkO5f

2015-02-28 00:57:18
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金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

フェアリングは、0.5mm厚(定規当ててみました)のアルミ系板材で、38mm(同じく)のハニカムをサンドイッチして作られています。とにかく軽く、水に浮きます。なので回収するのが簡単なのです。

2015-02-28 01:00:31
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

みどころその3:内側。アルミ材むき出しの部分です。私の所にきたものはつるつるですが…… pic.twitter.com/tmQtsx9APo

2015-02-28 01:01:32
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金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

場所によってはこのように、面ファスナー(ベルクロ、マジックテープ)が付いていることがあります。このベルクロは、フェアリング内側に張られた吸音材を取り付けていた部分です。 pic.twitter.com/eAAaEPFvXt

2015-02-28 01:03:57
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金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

そもそもベルクロ自体がNASAのアポロ計画の時、「無重力で接着剤や磁力無に簡単に貼り付けられるもの」として採用された(NASAが開発したというのは俗説です)経緯があるので、宇宙とは縁が深い材料です。

2015-02-28 01:06:13
金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

見どころその4:最後にH-IIA F26フェアリング限定の見どころです。よく見ると、角丸加工と、裏表両面の面取り加工がされています。当選された方がけがをしないようにという、南種子町さんの細やかな配慮がわかります。ありがとうございます! pic.twitter.com/1jwJwcxccJ

2015-02-28 01:10:05
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金木犀@日曜東サ-02ab @kin_mokusei

補足:フェアリング内側の吸音材の貼り付けの様子:(黒い長方形です) pic.twitter.com/j4t2hx2qKX

2015-02-28 01:13:05
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きりくずどう:略称クズさん @kirikuzudo

(ハニカム材、「軽くて強い」んじゃなくて「大域での垂直荷重に対する剛性および座屈応力/質量が良好」、というあたり、なかなか解説が難しいので薄い本ではスルーしてる。肝はハニカム材をサンドイッチしてるスキン材の設定と構造材としての構成方法なんだけど、KHIの下請さんに聞いてみたい。)

2015-02-28 01:07:01