青葉島鎮守府 第三話

加古と神通の話 前話:http://togetter.com/li/788863
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跡地 @kkkkkkmnb

【青葉島鎮守府:第三話】 少し予定を変更して、閑話をはさまさせていただきます

2015-03-05 00:00:52
跡地 @kkkkkkmnb

青葉島は要塞化されていたが、要塞という言葉から連想されるような洞窟のような埃っぽさや薄暗さはなく、普通の鎮守府と比べても遜色がないくらいに快適であった。艦娘という年頃の娘がうじゃうじゃといるからだろうか?

2015-03-05 00:08:17
跡地 @kkkkkkmnb

しかし、鎮守府を維持管理するための必要な物資の殆どを、外部に頼っているため、あちらこちらに節水や節電等の節制を呼びかける張り紙が貼られている。それは艦娘達にも染みついており、最近では水不足に陥る様なことはなくなった。

2015-03-05 00:16:00
跡地 @kkkkkkmnb

加古は、神通の手元にマグカップをそっと置いてから、周りに視線を巡らせる。この部屋には壁が見えないほどに本棚が置かれてあって、様々な本がこの部屋の主独自の基準で並べられていた。それはなにも作戦や訓練に関する本だけではなく、歴史小説やSF小説も、本棚の結構なスペースを与えられている。

2015-03-05 00:43:36
跡地 @kkkkkkmnb

加古は読みかけの本を棚から引っこ抜いて、夜色のしおりを机の上に奥と、黙って読み始めた。部屋の中は、加古がカップを傾ける音とページをめくる紙の乾いた音しかしなくなった。ちなみに加古の紅茶は少しアルコールの入ったカクテルになっている。

2015-03-05 00:52:38
跡地 @kkkkkkmnb

神通が資料を読み終えるころには、紅茶もだいぶ冷めて飲みやすくなっていた。神通が資料を閉じると、加古も本を閉じて大きく伸びをした。そして屈託のない笑顔を神通に向ける。すると神通も満足そうな笑みを浮かべた。

2015-03-05 00:58:56
跡地 @kkkkkkmnb

「どうだった?」 「対潜訓練が非常に興味深かったわ。対潜と夜戦の両立を図るために……」  そう言って、神通は私見を述べ始めた。加古もここに来るまでに目を通しているが、やはり軽巡と重巡では見る視点も全然違う。

2015-03-05 01:15:25
跡地 @kkkkkkmnb

元川内型の加古としては軍艦時代に同じ神戸出身で建造時期もほぼ同じである神通は、古鷹とはまた違った意味で姉であり、慕うべき存在であった。

2015-03-05 01:23:58
跡地 @kkkkkkmnb

現に古鷹、衣笠、青葉が第一艦隊に所属しているのに対して、加古だけは神通のいる第二艦隊に所属していた。別に古鷹たちとの間に何か問題があるわけではなくて、仲も充分よかったし、一時期は近づきすぎたこともあった。

2015-03-05 01:31:22
跡地 @kkkkkkmnb

一度、青葉にどうして加古は私たち姉妹じゃなくて神通と一緒にいるんだって問い詰められたことがあった。あれはまだ、青葉が配属されて間もない頃だろうか?

2015-03-05 01:37:43
跡地 @kkkkkkmnb

その時ははぐらかしたが、正直な所、加古としては青葉と衣笠は青葉型で、姉妹というよりも年下の親戚みたいな感覚だったし、古鷹とはクレーン事故のせいでどっちが姉で妹か曖昧な所があったから、姉妹というには少し微妙で、川内型との繋がりと比べても別に大きな違いがあるとは思っていなかった。

2015-03-05 01:42:56
跡地 @kkkkkkmnb

川内型、古鷹型、青葉型と自分には沢山の姉妹がいるはずなのにその繋がりがどこか頼りなくて、時々加古は、自分には姉妹艦がいるのかどうか分からなくなってしまうことすらあった。

2015-03-05 01:47:03
跡地 @kkkkkkmnb

今も、姉とは艦種の違うことを自覚させられる。たぶん他の艦娘達にとっては、些細なことで、あまり共感してもらえないだろう。しかし、加古にはどうしても無理だった。

2015-03-05 01:52:17
跡地 @kkkkkkmnb

少しだけ寂しい顔をしながら、加古は神通の話に耳を傾けるのであった。

2015-03-05 01:53:03
跡地 @kkkkkkmnb

【青葉島鎮守府:第三話終了】 閑話はもう少し続きます

2015-03-05 01:54:15