紅鎮守府日記(2015年2月7日～2016年1月2日)

戦争さん @RAKUNYA

「それじゃあ、まずは青葉さん、振ってみてもらえますか? そう、五つ同時に……」 「こうですか? まあ、特に代わり映えのないサイコロですね。出目もバラバラです」 「ええ、文字通り種も仕掛けもないんです。ね、若葉」 「ああ、チンチロ用は別にあるからな」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「そもそもなんでそんなに何個もサイコロを?」 「揉めたときに振ると楽なんだ」 「というか何個も持っているんですね。やっぱりかっこいいからですか? 」 「……揉め事用だと言っている」 「はいはい、それで、サイコロで一体なにを?」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「ほうほう! 」 「それから少し、様子が変なんです」 「ぐ、具体的には……」 「その、説明が難しいんですけど……あ、若葉ー! 」 「……なんだ」 「あなた、あれ持っているでしょ? サイコロ。ちょっとだけ貸してくれない? 」 「ん、ああ……青葉さんにも見せるのか」 #紅鎮守府日記

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「……あ、一つだけ」 「お、なんですかなんですか? 」 「あの、私おかげさまで改二になりましたよね」 「ああ、そうでした。おめでとうございます」 「ありがとうございます。ただ、ですね」 「はいはい」 「改二になった時に、提督がなにかしているのを見ちゃいまして」 #紅鎮守府日記

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「あはは……若葉が喫煙だなんて」 「まあ、ありえまｓ――」 「私がさせるわけないじゃないですか」 「(おおう、すさまじい気迫――!)」 「そもそもタバコを手に入れることすら難しいですから」 「ええ、ではなにか他に話題をですね……」 「そうですね……」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「ごめんなさい、お役に立てそうもなくて……」 「ああ、いいんですよ。代わりにその……ちょーっと、なにかお話をいただければなぁ、とは思いますけども」 「話……ですか? 」 「ええ、なにか最近変わったこととか、おもしろ話とか、若葉さんの秘密喫煙とか」 ＼呼んだかー?／ #紅鎮守府日記

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「もしかして、ここに青葉さんを入れたら良かったり……? 」 「なるほど! 最後の一人は記者自身! 推理小説ではよくあるパターンですね! 」 「んー、でもなにか違う気がします……」 「ありゃ……」 「共通する点も……大きすぎますね」 「やっぱりわかりませんかねぇ」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「なにか、心当たりが? 」 「いえ……艦隊を編成するには少ないですし、あと一人、軽巡とか重巡の人が入っていれば、なんらかの攻略部隊というのも考えられるんですけど」 「あー、戦艦一隻に空母二隻、駆逐艦二隻だったらたしかに、演習相手としても良さそうですね」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「……これ、なんの名簿なんですか? 」 「いえ、それが青葉にもさっぱりで」 「……どういうことですか? 」 「実はですね――」 ～青葉説明中～ 「――ということでして」 「グループ……この四名が、ですか」 「響さん含めて五名ですね」 「んー……」 #紅鎮守府日記

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「今回、用事があるのは初霜さんだけです。他の方のインタビューは済ませましたし」 「私だけ……? あ、というか、他にも関係のある方がいらっしゃるんですね」 「はい。こちらが名簿なんですけど……」 「えっと、金剛さんに雲龍さん、大鳳さんと……私? 」 「そうなんです」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「訓練中にすみませんね」 「いえいえ、えっと、さっそくですけどなんの御用でしょうか? 」 「実はいま、ちょっとした取材中でして……」 「取材、ですか? あ、それならあの二人も……」 「あぁ、いえいえいえ! 駆逐艦特集とかそういうのじゃないんですよ! 」 「？」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「っと、そんなことを言っていたら発見です。おーい！初霜さーん!! 」 「……？あ、はーい！私ですかー? 」 「あのー！ちょっとだけお時間よろしいですかー? 」 「はーい! ……若葉、浜風ちょっとだけごめんなさいね」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「いやあ、なんというか圧巻でしたね」 「あれが人を殺すための技術だ、なんて……到底信じられませんでしたが……」 「……これ、どう記事にしましょうかね。映像も写真もなし。あるのは青葉の記憶だけ」 「これ、うまく書けたら小説家に転向するのもありですねぇ」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「では、説明も終えましたし私はこれで……」 「……いやいやいや大鳳さん? 」 「…………」 「演武、見せてくださいよぉ」 「……そんなに見たいですか? 」 「是非とも」 「……わかりました。お見せします」 「わー」 「一回だけですよ? 」 「ちっ」 「…………」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「おそらく何らかの要因が必要なのでしょうが……あいにく、その条件は未だ不明です」 「ということは大鳳さんのワンオフ能力なんですねぇ」 「そうなりますね。ごめんなさい、また話題にしにくいですね」 「いえいえ、お聞きしたのはこちらですから」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「その過程で、膨大なリソースを持つ概念空間の一部を仮想空間として使用することが可能になったんです」 「ほほう! 」 「とはいっても、まだ成功例が私しかありませんから、あまりおおっぴらにできる技術でもありませんが」 「ありゃ……残念です」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「艤装概念そのものへのダイレクト接続はまだ行えていません。そのあたりはまだ、ブラックボックスですから」 「あれ？でも木刀は出せるんですね? 」 「ええ、今回わかったことは概念空間への接続とイン、アウトプットの方法だけです。ただ――」 「ただ？」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「艤装無しで艤装空間と接続、ってなるとこれまでのお話は」 「……ふふ、種明かしをするとこれです」 「首元の……チョーカーですか?」 「うまく隠れるようにこの形にしてもらいまして」 「つまりこの小さいデバイスで? 」 「まだテスト段階ですけどね」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「艤装がオートで行っていた行為を、あえてマニュアルで行う? 」 「そうですね」 「自分で言っておいてなんですが、大丈夫なんですかそれ? 」 「直接艤装で行うと、おそらく不具合が出ます」 「……あれ? でもそもそも、今の大鳳さんは艤装を――」 「つけていませんね」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「それで、その亜空間とさっきの木刀マジックに関係は? 」 「大ありです。普段から私たちは艤装空間から砲弾や艦載機を取り出し、燃料を消費して戦っていますよね? 」 「……まさか」 「そのまさかです。艤装による作業を“意識して任意で行う”取り出し行為です」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「また難しい話ですね」 「こればかりは、お兄……提督も最近解明できた内容みたいですから」 「……おや? 艤装の解明ってたしか――」 「ええ、ですから“それなりに”お願いします」 「……またネタが消えましたねぇ」 「まあ、みなさん薄々は勘づいているみたいですが」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「ああ、つまり――」 「ええ、その“概念空間”により私たち艦娘は艦娘となりえて、その上で戦うことができているんです」 「……要は見えない広大な空間、というか“概念という空気”と接続するために、艤装がある? 」 「概ね、その認識で間違ってはいません」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「そして答えですが、この砲弾や燃料問題に関しては“艤装概念”が深く関わってきています」 「……ふむ」 「より具体的には“艤装概念”は艤装そのものだけではなく“概念的亜空間”も形成しているんです」 「……ふむ? 」 「私たちが攻撃を受けた際に服が破れる理由ですね」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「艤装自体は艤装概念というブラックボックス的な要素が強いですし、私たち艦娘にとってはそれこそ『どうして指が動かせるのか』というレベルの問題ですから、気にしないのはある意味当然です」 「そう言われると途端に気味が悪くなってきますね……うぅ……」 #紅鎮守府日記

戦争さん @RAKUNYA

「そして重ねてお聞きしますが、燃料の効率は良くなるにしても、砲の弾薬をあの小さな艤装に入るだけの量で、普段の戦闘を行うだけの継戦能力があると思いますか? 」 「……そう言われてみると不思議ですね。あまりにも自然にやってきたことですから、気にもしませんでしたが」 #紅鎮守府日記