胡蝶巡りし希いの淵 三日目の夢

集いの時。選択の時。
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人間《オド》 @fallin_odo

さて、あの後丸1日悩んで、考えて――それでも仕事だけはきちんとこなしたのだから習慣とは恐ろしい――結局、最適解が何かは出ぬまま、再び白い夢の世界へと男は来た。 息をつく。 残された時間は、余りないだろう。 見渡した先、男の目に見える7つの影は昨日と変わりないものだろうか。

2015-03-02 23:21:11
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

.  ……そうだろう。紳士は、そのように出来ている。  ――我が身の無力を、褐色の男は痛切に感じた。 .

2015-03-03 01:31:50
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

なるほど、赫眼の権能を用いれば、最良の出会いを提供できよう。しかし、そうしたとしても、互いに深く踏み入らぬまま、好機を食いつぶしながら、じりじり時が過ぎることだろう。 ……あるいは、それでもいっときは事足りるかもしれない。けれども、それは、やはり求めるものとは、異なるものだ。

2015-03-03 01:32:49
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

「おはようございます、皆々さま」 優雅に一礼し、恭しく傅く。 「今宵は最後の宴、盛大に執り行いましょう」 指を弾けば、シーツで覆われた長テーブル。燭台とボトル、グラスが立ち並ぶ。

2015-03-03 01:36:12
人間《セレナ》 @selenite_bride

音もなく、三度目の夢へ降り立つセレナ。 あちらこちらに鍵裂き傷をつけたボロボロの白いドレスコートに身を包み、虚空を睨む。 結局、笑えていないけれど……私は笑ったことがない、笑うことが出来ない、っていうこの感じが、ちょっとカッコ良く思えてきちゃうから、雪合戦、侮れないです……。

2015-03-03 07:58:09
人間《セレナ》 @selenite_bride

何かに目覚めそうになりながらそんな思いに耽っていると、目の前に大きな長テーブルが出現し、そこがすでに夢の中であることに気づき。 「あれっ?私、いつの間に寝てしまったんでしょう?」 でもまあ、シンセイの能力により強化された身体なら、あのまま野たれ死にすることもないだろう。

2015-03-03 08:00:12
人間《セレナ》 @selenite_bride

「おはようございます、みなさん」 丁寧にぺこりと挨拶し、ファルドルにはありがとうございますと会釈をしながら、豪奢な椅子に腰掛ける。 「そういえば私、今日は何も食べていませんでした……」 悪魔の肉、以外は。

2015-03-03 08:00:16
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「……あんた、何でそんなにボロボロなのよ」 呆れたような吐息。 「──ま、わたしの知ったこっちゃないけど」 そう常のような言葉を零しながら、視線はテーブルからファルドルへと向く。 何事か、言葉にしようにもまとまりが付かなかったのか。

2015-03-03 17:08:30
人間《ディアドラ》 @actSkbz

ただ、現で話した朱赤の姿を探しながら、その何かを口にする事なく、白雪からは離れた椅子に座り。 「──そう、これで最後」 全てが決まる。

2015-03-03 17:08:32
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

ざわり、と、赤と金の糸が、テーブルを覆う真っ白なシーツに這う。私は、この色が好きだった。自分の姿形に取り入れてしまうくらいには。 「あら、宴だと言うのなら、これくらいはしなさいな」 糸は見る間に表面を覆い尽くし、豪華な模様を縫い取っていく。縁取りには、房飾りをあしらって。

2015-03-03 17:30:38
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

かつん、と靴を鳴らせば、足下には極彩の絨毯が広がる。目に痛いほどの華美虚飾。靴音は、それが最後。柔らかなその上では、硬い音は立たない。 「……ほんと、夢っていいわね。私、こんなことできないわよ」 テーブルへと歩み寄り、惚れ惚れとして、刺繍を撫でる。 「夢の中に住みたいわ」

2015-03-03 17:30:51
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

何もないところから物を取り出したり、手を動かさずに模様を描いたり、そんな魔法は私には使えない。仮に使えたとしたら、それはきっと、やはり私のためには使えないだろう。 「あなたもその格好、どうにかしたら?」 ボロボロの白い姿を指差せば、彼女の周りに、華やかな衣装のマネキンが立ち並ぶ。

2015-03-03 17:30:57
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

そうしてから、当たり前のようにディアドラの座った隣へと収まる。キモノの裾が乱れるのも構わず、脚を組んで。 「さあ、誰が誰を選ぶのかしら。私が叶える最後は、どんな願いになるのかしら」 片肘をテーブルに突いて、集った面々を見回す。

2015-03-03 17:31:01
人間《セレナ》 @selenite_bride

かけられた言葉に、ディアドラを振り返り。 「エクストリーム雪合戦、です」 何故だか、少しだけ誇らしげに胸を張って答える。 直後にかけられたトリトマの声にそちらを振り向けば、自分の周囲に、豪奢なドレスを纏ったマネキンが出現して。

2015-03-03 19:17:22
人間《セレナ》 @selenite_bride

「わ……!こ、こんな華やかな色のドレス、私が着てもいいんでしょうか……っ」 年頃の少女らしく興奮に頬を染めて、衣装とトリトマを交互に見やり。 夢の中では望むものを作り出すことができるようだが、自分の脳内にある素材では、このように色鮮やかな衣装を顕現することは出来ないだろう。

2015-03-03 19:17:23
悪魔《シンセイ》 @shinsay_bridge

「どうも、どうも、こんばんは」 首から上だけをひょこひょこ動す妙な礼をしながら、セレナの隣に向かう。一応、皆に対する礼のつもりである。 「おぉ、豪勢なシーツやん、ええのええの」 テーブル上に展開されたシーツを一見し、感嘆する。色といい装飾といい、実に食欲をそそられる。

2015-03-03 21:09:54
悪魔《シンセイ》 @shinsay_bridge

そういえば腹が減ったなぁ。そんなことを考えつつ、席に着かんと椅子の背もたれに手をかける。そのとき、視界に入った隣の巫女さんの格好があんまりにボロクズなことに気付き、プッと吹き出した。 「なんやお前、その格好。だっさいなぁ」 ヒィヒィ笑いながら着席する。

2015-03-03 21:10:15
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

「知らない。しらない、わ」 そうならなかった理由など。 見ようとせずにひたすらに閉ざす水面は怯えるように揺れ続ける。 その眦を、撫でられるままに悪魔を見上げ。 吸い込まれるように夢に落ちていく。 ――最後の夢を。

2015-03-03 21:54:18
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

ふわり、夢に降り立つ姿の朧げな様子は初日から大差もないだろう。 しかしその眦は、昼の名残りを映してかやや赤く。湖面も不安定に揺らいだまま。 所在を失った様に揺れる瞳を移ろわせて。

2015-03-03 21:57:42
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

海色の双眸が、赫眼と交わる。もごもごとした少女の様子に、褐色の男はふっと微笑んだ。そのまま、海色を見つめ、視線を外さない。 「君は、」しかし、呼びかけたは別。「相変わらずだね、トリトマ」彼女好みの色彩。忠犬のようなそれ。質素な宴はお気に召さぬよう。 「ならば、晩餐も必要か。……」

2015-03-03 23:23:51
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

手を打ち合せる。 ライ麦のパン。仔山羊のチーズ。鱈の塩漬け。香辛料と調味料、獣脂を煮込んだソースをたっぷりかけた羊肉。チーズで甘く煮たサメ肉。胡椒を振りまいたキビのパイ。ばなな。林檎酒……。テーブルを覆う、料理の数々。いささかちぐはぐの感あるが、いずれも温かく、食欲をそそられる。

2015-03-03 23:24:49
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

褐色の男は立ち上がり、なめらかな動作で各人に給仕をはじめた。 「神のやつめに感謝する必要はありますまい。我らが出会いに、そして――」 ――最後は、ディアドラに。 「皆さまの願いの成就に。感謝と祈りを捧げるといたしましょう」

2015-03-03 23:24:59
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

グラスに注ぎ終えて、乾杯に盃を掲げる。 ――褐色の男は、ディアドラの耳元にふっと顔を寄せて、 「……彼女、可愛いだろう?」 .

2015-03-03 23:25:29
人間《セレナ》 @selenite_bride

「あっ……!おはようございます、師匠!!」 姿を現したシンセイに声をかけられれば、シャキッと背筋を伸ばして、丁寧に一礼を。 「……師匠は、服まで特別製なんですか?」 こちらからの雪玉も、いくらか当たっていたはずだがと、首を傾げる。

2015-03-04 08:22:30
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