胡蝶巡りし希いの淵 三日目の夢

集いの時。選択の時。
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人間《セレナ》 @selenite_bride

ファルドルが手を叩けば、長テーブルには素晴らしい料理が魔法のように現れる。 まるで何かの祝祭であるかのようなその様子に、ボロボロのドレスローブはそぐわない。 トリトマの出したマネキン達の中から、美しい孔雀色のドレスに手を伸ばす。

2015-03-04 08:22:32
人間《セレナ》 @selenite_bride

……素敵な色。こんなドレス、着てみたいな。 そう、頭に思い描けば、不思議な夢の中で、白と緑のドレスは滲むように揺らぎ……一瞬の後には、マネキンは白を、セレナは孔雀色を纏っていた。 「ふ、ふぉおっ!」 驚きと感嘆に、妙な声を上げて。

2015-03-04 08:22:34
人間《セレナ》 @selenite_bride

「わぁ、わぁ〜……っ」 相変わらずの神妙な面持ちのまま、頬を染め、スカートを撫でて見たり、クルクルと回ってみたりして、今まで触ったこともない美しいドレスを堪能する。 「ありがとうございます、トリトマさん」 それはまるで、一日目の夢で食べ損ねた雪見だいふくを取り戻した気分で。

2015-03-04 08:34:59
人間《セレナ》 @selenite_bride

クルクルと回りながら、周囲の人間と悪魔を見渡せば……ふと、暗く淀んだ湖の瞳……リリディアナと、目があったような気がして、立ち止まる。 「……?」 数歩、距離を縮めて。 「目が、赤いです。……大丈夫ですか?」 ……泣くことを知らぬセレナは、まつ毛でも入ったのかと心配する。

2015-03-04 08:35:00
人間《オド》 @fallin_odo

瞬きする間に広がるテーブル。 真白の空間に煌びやかな色が広がる。 「便利なものだな」 広がる数々の料理はどれも夢とは思えぬほど香り豊かだ。

2015-03-04 12:22:02
人間《オド》 @fallin_odo

席に着き、いつものように祈りの動作をしそうになって止める。 この場が悪魔ばかりと言うならば確かにそれは無粋だ。 「――よき機会と出会いに、皆の良き最後の時間に」 そう告げてワイングラスを掲げる。

2015-03-04 12:23:47
人間《オド》 @fallin_odo

男はディアドラへと視線を向ける。 黒と赤の悪魔に挟まれている金色を見てふむ、と頷く。 「君は随分とモテるな」 まず光景への率直な感想を口に出す。 それからワインを一口飲んで、しかめっ面のまま、尋ねる。 「お嬢さん、君は自分の望みを誰にどう願うか。決めたかね」

2015-03-04 12:28:12
悪魔《アルセム》 @fid_abs

- 知らない、と 夢の間にて繰り返された声。  まるで 帰路を見失った 幼子のようだ───そう 実に愉しげに 笑いた余韻を其の儘に。 「 御機嫌よう───おや、 最後の晩餐かな? 数は5人ほど足りないけど 」  蛇の描きて 生えたる緑の内側に立ちて 揃いし顔触れを見回さん。

2015-03-04 13:15:12
人間《ディアドラ》 @actSkbz

逸らされない赫に、まばたきを返しながらも、此方も意固地になって視線を逸らさない。 こちらを見たまま、トリトマに声を掛ける様は器用だな、と変な感服を覚える。 テーブルの上に並ぶ食べ物や飲み物はどれも見た事の無い物ばかりだった。自然とそちらに視線を奪われていると──、 「そうね」

2015-03-04 17:26:37
人間《ディアドラ》 @actSkbz

傍に気配。耳元の声。無意識にか、擽ったそうに肩を揺らしながら、ディアドラは肯定の意を示す。 そうしてから、えくすとりーむゆきがっせんとやらをしていたらしい白雪へと視線を向ければ、呆れたように吐息して。 くるくると回るその様は、何というか、野山を駆け回る子供のようだ、と思い。

2015-03-04 17:26:39
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「──わたしの望みが悪魔好みなのかしらね? よくわかんないんだけど」 口癖のようになってしまった言葉。 実際、やはりよくわからないのだから仕様も無いもので。 「……決めかねてるっていうのかしらね、こういうの」 朱と黒を見比べれば、肩を竦め。 「ええと……オド、だったかしら」

2015-03-04 17:26:41
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「あんた……、いえ、あなたは誰にどう願うのか、決めまして?」 眼前のグラスを手にして、中身を揺らす。 「……ああ、でも」 黒と朱を、それぞれ見やる。見やって、小さく笑って。 「どちらに願いを叶えて貰っても、わたしはきっと幸せになるわ。──わたしがそう決めたから」

2015-03-04 17:26:44
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

白い少女に──同い年くらいだが──声を掛けられれば視線をそちらへ。目線は固定されても、頼りなさげな印象は残るかもしれない。 「大丈夫よ。……セレナ、だったかしら」 邂逅の記憶を引っ張り出して。

2015-03-04 17:41:26
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

「あなたはもう、契約をしたの?」 微かに首を傾げる。 「笑う事、だったかしら。笑えそう?」

2015-03-04 17:45:10
人間《セレナ》 @selenite_bride

「はい。師匠……じゃなくて、シンセイさんと。無事、契約を結びました。今の私はエクストリームセレナです」 両腕を顔の高さまで上げて、何故か誇らしげに上腕二頭筋をムキッとさせるようなポーズをしてみせて。 「……笑いたいという願いはまだ、叶っていません」

2015-03-04 19:58:47
人間《セレナ》 @selenite_bride

「でも、」 言葉を区切り、わずかに眉をひそめた神妙な面持ちで。 「……今までで一番、『生きてる』って、感じです」 凍れる湖の瞳を、輝かせる。

2015-03-04 19:58:48
人間《セレナ》 @selenite_bride

「リリディアナさんは、もう契約はされたんですか?」 返すのは、同じ問い掛け。 「確か、リリディアナさんのお国を……滅ぼしたい、というお願いでしたよね」 言ってから、少しだけ不安な気持ちで、首を傾げ。 「……本当に、滅ぼしちゃうんですか?」

2015-03-04 19:58:50
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

「『生きてる』。……あなたは、あまり時間が無いと言っていたのだったかしら」 セレナの言葉を思い出す様に、少し視線を上に。 「私と同じだけど。私と、反対ね。私には、どうしたら……何をしたらいいのか、もう、解らないの」

2015-03-04 20:48:11
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

「まだよ」 問い掛けに首を振る。 「そう。私は、私の国を滅ぼして……閉じて、しまいたいの。ずっと。閉じてしまいたい、のよ……」 迷う様に、惑う様に、揺れる。 「けれど。彼に、他の皆と話をしてみたらと言われてしまったわ」 視線は銀の悪魔から、朱炎と黒へ。

2015-03-04 20:48:20
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

きっと幸せになる――褐色の男は口元をゆるめて、海色の瞳から視線を逸し、別の対象を求める。 「ひとつの成就。目出度きことにございます」 褐色の青年は、セレナに向けて恭しく一礼。 「おめでとうございます、セレナ様。シンセイ」 ――こうして、残るは三組六人。

2015-03-04 21:19:43
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

男は座らず、そのまま各人の給仕を務め続けた。珊瑚朱色の彼女の視線に気づく。 「ほう――かの銀が、そのように。それは、それは、」 赫眼を細め、喉奥で笑う。 「随分と気に入られましたな、クイーン」 両腕を広げて、跪く。 「貴女には選択肢がある」

2015-03-04 21:21:15
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

. ――残るヒトには、みな等しく。 「我ら三者三様、それぞれ権能の形が異なります」 「貴女が願い、意思するかぎりにおいて、私は貴女の忠実なる下僕となりましょう」 「――願わくば、真なる願いの下僕たらんことを」 謳うように、男は見上げた。赫眼が昏い青を射抜く。 .

2015-03-04 21:22:51
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

「気に、入られたのかしら」 よく分からないといいたげに。 「その、選択肢が分からないわ。他に、見つけられなくて……だからそう願ったのに」 赫から逸らす事無く、見つめ返して。

2015-03-04 21:56:25
悪魔《シンセイ》 @shinsay_bridge

「おぉ!おぉぉぉ!」 ファルドルが机上に展開した晩餐に感嘆する。気の利くことするやないの。羊肉、サメ肉、果実に酒と、空腹だった上にこんな豪勢な食事を用意されては喜ばないはずもない。乾杯の句が終わるか終わらないかの時点には、既に手をつけていた。

2015-03-05 00:39:05
悪魔《シンセイ》 @shinsay_bridge

「うま、うま」 ガツガツムシャムシャ。 林檎酒片手にキビのパイを手づかみしようとしたとき、ファルドルからおめでとうとの言葉がかかる。 「おう、おおきに!」 それだけ告げると、再び食事に意識を戻した。

2015-03-05 00:39:24
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