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胡蝶巡りし希いの淵 三日目の現実

夢は見果てた。
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人間《セレナ》 @selenite_bride

「ふぐっ……!!!」 >>やっぱり噛んでる<< 「ぷ……くふふ……!!あふ、あははは!シンセイさ、ひ、ひぃ、ヒィヒィ……!ダメ、ふ、ふひひひひ!!あははははは!!!」

2015-03-12 21:59:11
人間《セレナ》 @selenite_bride

笑い転げる、白雪の巫女。 その、お世辞にも上品とは言えない心からの爆笑が、雪原に、こだました……。

2015-03-12 21:59:56
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

「……貴女の望むままに。我が黄金」 恭しく一礼し、男は答える。 あるいは、意外だったかもしれない。 褐色の男の権能は、すなわち、可能性の収束。望まれた偶然を必然へと変転させるもの。類によっては意思ひとつで、権能などに依らずして叶えうるものだ。

2015-03-08 17:21:22
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

紳士へは、秘密をひとつ、こっそり明かすことにした。彼は胸襟を開き、他者に語らざるところを語ったから。 2人の少女へは、ただ数奇なる運命の偏りに、縁めいたものを感じて、口の端を吊り上げ、悪魔たちの手腕を祈る。

2015-03-08 17:22:27
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

ーー現実。 閉ざされた箱の中。篭の鳥。彼女の暮らす、さまざまに入り交じった薬草のにおいのする部屋。 「ディアドラ。我が黄金……」 寝台に腰掛け、横たわる彼女の頬をくすぐる。 「このまま貴女の眠り顔を眺めていたい……ですが、この先はなお愉しみでなりません」

2015-03-08 17:24:07
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

嬉しそうに、男は語る。 頬に、耳やぶに、唇に、褐色の指先をそっと触れさせながら、続けた。 「契約の確認から、はじめましょう」 願いは自由と解放。 契約の形態と、代償。

2015-03-08 17:25:12
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

男の権能は、可能性の収束。偶然から必然を紡ぎ出し、託宣を与えるもの。叶えられる願いは。希少であろうと、起こり得る事象にかぎられる。たとえば突然、何ら理由なくこの家屋を吹き飛ばすようなことはできない。どのようなストーリーをもって自由へと至るか。その道程は願いのかたちに委ねられる。

2015-03-08 17:26:24
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

そして、契約の形態。契約期間は、契約締結から、ディアドラの死すその瞬間まで。悪魔ファルドルは、ディアドラの生涯に渡り、仕え続ける。跪き、こうべを垂れ、必要に現れ、命ぜられたことをこなし、邪魔となれば姿を消す。

2015-03-08 17:28:47
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

……最後に、代償。 褐色の男の望みは、彼女の魂である。 「私めは、古典的な悪魔でございまして……」

2015-03-08 17:29:48
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

黄金の魂を持つ者こそ、悪魔が、求めてやまぬもの。 「貴女の死後を、魂を、すべて頂きます。死後永劫に渡り、貴女は、私に仕える。……貴女のまぶしいほどに輝ける魂を、この手で独占したいのです」

2015-03-08 17:31:36
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

指先は、そっと髪をかき上げて。 赫眼は海色を、間近でのぞき込む。 「……言ったでしょう。私はとても意地が悪い、と」 自由をこいねがう彼女にもたらされる帰結は、死後の束縛。 「……今なら、まだ引き返せますよ」 慈しむような声。

2015-03-08 17:34:45
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「ん、」 指先が頬を撫ぜるような、唇をなぞるような、耳朶に触れるような。 微睡みの淵から、ゆるりと起き上がれば、こくりと一つ頷いてから、寝ぼけ眼を擦る。 「──そう言って、わたしが引き返すなんて微塵も思ってないクセに」 見据える。見詰める。海色が、赫二つを、ただ真っ直ぐに。

2015-03-09 02:59:13
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「──契約を、交わしましょう?」 薄桃の唇が、そう言葉を象る。 いっそ艶やかささえ覚える響きは、彼の悪魔の耳朶にはどう届くだろうか。

2015-03-09 02:59:16
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

――そう。引き返すなんて、微塵も思っていなかった。 男の予期は、外れたことはない。ただいくつかの例外を除いては。 しかし、 おのれが微かな逡巡を覚えていることに、男は驚いていた。 いささか回りくどすぎたかもしれない説明。いくらか見せた、ともすれば素っ気ない態度。

2015-03-09 14:01:10
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

……躊躇いを覚えたのは、男の方だ。 彼女の黄金を自らの手で汚すことを、褐色の男は恐れた。 金色の髪をかきあげた指先は動かせず、 赫眼は海色の双眸に捉えられ、動けない。 薄桃の唇が紬出す言葉を、ただ受け止める。まるで、託宣を待つ神官のように。

2015-03-09 14:02:28
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

. 「……『君』は、本当に……趣味が、悪い」 いくばくかの静止を破ったのは、声なき笑い。 赫眼を、海色にますます近付ける。 「『俺』を選んだ。無論、後悔はさせないが」 .

2015-03-09 14:06:24
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

指先は、ふたたび。言葉を紡ぎ出した薄桃の唇へと至る。 今や男は、少女にほとんど覆いかぶさるようだ。 「……誓いの形が必要だ。それは、何でも構わない。君が、そうと決めさえすれば」 ……囁く。

2015-03-09 14:07:14
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「趣味が悪い、なんてお互い様じゃなくて?」 逸らされない海色が意地悪く弧を描く。 唇に触れる指に幾度か目を瞬かせながら、首を傾ぐ。 「ちかいの、かたち」 拙く呟く。そうね、と思案するのも束の間。 「あんたが決めていいわ、わたしはこういうの詳しくないし」

2015-03-10 05:28:55
人間《ディアドラ》 @actSkbz

警戒心を抱かないのは、箱入りが故か。 特に臆したような様子も無く、そう告げる。 「それとも、わたしが絶対に決めなきゃいけないのかしら」

2015-03-10 05:28:58
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

. 「君が、そうと認識してさえいれば。無論、俺からの提案でもいい」 「……このまま奪ってしまおうか、と考えたが」 .

2015-03-10 21:59:36
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

彼女と対等でいられるのは、これが最後だ。 名残惜しそうに、唇を撫でたのを契機に。 褐色の男は、すっとディアドラから離れ、身を起こす。ふたたび、寝台に腰掛ける。 「……君が死ぬまでの、愉しみとしよう」 書面を用意してある、と。 何処からか、羊皮紙と羽ペンを取り出した。

2015-03-10 22:00:43
悪魔《ファルドル》 @DemonFabelwesen

. ――さぁ、と。 彼女が誓い終えれば、……行動の刻、だ。 .

2015-03-10 22:02:12
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「うばう? 何を?」 訝しげな視線を向ける。 どこか名残惜しげに己の唇をなぞる指が離れていけば、やはり首を傾げて。 「よくわかんないけど、そーして頂戴。」 ──そして、細い指が羽ペンを手に取る。

2015-03-11 02:28:41
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