- akinosora_
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三か月以内に新しい長編を書きます、書き上がったら一章ごとに送ります、と。……ほんとに? と思いましたが、信じるほかありません。ほんとうに第一章が届いたときは救われた気分になりました。それ以上に、届いた原稿、面白かったのです。そのあとも新作は一章ごとに到着し、最終章が到着した際は、
2015-03-22 23:37:19安堵と感慨で座り込んでしまいました。いちはやく久住四季の新作が読めた強い喜びも当然ありました。早速ブラッシュアップの相談をし――そのあとどうなったか。すでにお察しの方もいらっしゃるでしょう。もはやコメディじみていますが、今後は僕が、半年近くに亙る静養期間に突入してしまったのです。
2015-03-22 23:41:01K島さんの思い出話【混迷期編】(twitter.com/blue_airship/s…)について僕からも。――そう、混迷期。端的に言えば、僕は自分の書くものに満足がいかず、まるで先に進めなくなっていました。
2015-03-23 01:02:00体感的には2009年あたりから、「書かない/書けなくなる作家」が徐々に増えていった印象があります。御多分に漏れず、僕もそういう方の担当を複数させて戴きましたが、久住四季さんは最も気の毒な例だったように思います。編集側も黙って耐えるしかなく、それから二年以上も、定期的にお会いしては
2015-03-22 23:23:22それは当時取り組んでいた作品に難儀したから、というのもありますが、もともとずっと抱えていた迷いがそのとき一気に顕在化した、というところも大きかった気がします。その迷いとは「自分の書くものは、はたしてちゃんとおもしろいものなのだろうか?」というものでした。
2015-03-23 01:03:58ああ……という方、多いかと思います。僕もそうでした。一時は「もう二度と長編の原稿は上げられないかも」という状態まで落ち込み、一行書いては消すを何度も繰り返しては、「ふ、賽の河原とはこのことか」などと冷笑を浮かべたり。……なんだか余裕ありげですが、まあ当時は結構まずい状況でした。
2015-03-23 01:07:23で、結論から言ってしまいますが、「これはおもしろいのか?」なんて問いに、答えなんてありません。強いて言えば、答えは自分で見つけるしかないと思います。なので、僕がいかに混迷期から抜け出したかについてはひとまず置いておいて、お話を先に進めます(後日補足するかもしれません)。
2015-03-23 01:09:24それからとにかく三年かかって一本長編を書き上げ、K島さんにお送りしました。そして、それが没になります。ただこのとき、正直落ち込みはしましたが、思ったほどでもありませんでした。そして、その場ですぐに「わかりました。新しい長編を年内(三ヶ月以内)に書きます」と申し上げたのです。
2015-03-23 01:11:45長編一本に三年かかったくせに、どうしてそこで三ヶ月でなんて突拍子もないことが言えたのか、本当に不思議です。ちなみにこのとき、ぼんやりとしたアイディアこそあったもののプロットさえ立てていない状態でした。……やっぱり突拍子もないですね。
2015-03-23 01:13:44その三ヶ月後、僕は無事に原稿を最後まで書き上げてお送りしました。プロット作りも込みで、脱稿まで三ヶ月。これは僕としてはかなり早いほうです。ちなみにこれまでの最速は『トリックスターズD』。脱稿(プロット作りも込み)までたしか二ヶ月でした。
2015-03-23 01:17:00昨夜のお話の補足。三年ぶりの長編が没になったときにそこまで落ち込まなかった理由を改めて考えてみると、それはきっと、もうその頃にはほとんど心の迷いがなくなっていて、大丈夫、書ける、という自信があったからなのだと思います。
2015-03-23 17:56:12正式な発売日になりましたので、改めてお知らせを。『星読島に星は流れた』(ミステリ・フロンティア)、東京創元社より本日発売されました。「数年に一度、隕石が落ちてくる」という孤島での殺人事件を描いたミステリです。どうぞよろしくお願いいたします。
2015-03-23 23:00:00週末にお買い上げ戴いた方もたくさんいらっしゃるようですが(ありがとうございます)、『星読島に星は流れた』(久住四季/東京創元社ミステリ・フロンティア)、本日が正式な発売日でございます。みなさま何卒宜しくお願いいたします。 bit.ly/1LN8Q9e
2015-03-23 23:59:15発売中の『星読島に星は流れた』(東京創元社 久住四季)に帯文を書いています。読んでいて、あちこちで「これこれ。ミステリはこう来なくっちゃ!」と嬉しくなりました。情報を扱う手つきが見惚れるほど鮮やかで、物語に描かれた強い意志も胸を打つ、楽しい読書でした。多くの方に届いてほしいです。
2015-03-24 00:03:55いや実際、これはいい場面だ……と浸って読んでいるとそこがミステリ的な情報提示として後に言及されたりして、小説とミステリ的ロジックが遊離していない嬉しさというか頼もしさというか、ほんと「これこれ、これですよ!」とにこにこしながら一気に読みましたですよ。
2015-03-24 00:14:37静養期間のはじめのころは、とにかく仕事ができないことに過剰なストレスを感じていました。どう足掻いたところで、この状態で仕事を進められるわけがないと悟ると、今度は小説がまったく読めなくなりました。静養を命じられている上にそんな状況ですから、久住さんに書き上げて戴いた原稿の作業も、
2015-03-24 00:33:39それどころかメールの遣り取りさえ、当然ストップすることになります。久住さんがそれを残念に思わないはずはなかったと思います。しかし久住さんは、復帰まで待ってくれた上、僕の静養期間中、あらたな長編を一章ずつ、僕宛に送り続けてくれていたのです。それは久しぶりの新刊となるはずの長編、
2015-03-24 00:36:31『星読島に星は流れた』に登場する、加藤盤と美宙・シュライナーのその後を描く長編でした。僕はその作品を、しばらく読めない状態が続きましたが――しばらく経ってからメールを確認して、ああ、久住四季はほんとうに復活したのだ、と強く感じました。書けない状況から、完全に脱したのだ、と。
2015-03-24 00:40:16以上の過程を経て、久住四季の新作を、漸く世に送り出すことができました。よいミステリです。「この謎はどのように解かれるのか」が、読んでいてきちんと気になります。そう書かれているからです。いまどき仕上げるのが難しい、正統派(オーソドックス)の推理小説を、楽しんで戴けると嬉しいです。
2015-03-24 00:42:54ところで、そのシリーズ第二長編はどうなったって? まだ刊行時期は未定で、久住さんと相談しなきゃならないこともたくさんありますが、仮題『猫とサイエンティスト』、いずれお届けできるように、またがんばります。ちなみに久住さんはさらに次の長編を書き始めているらしく……復活しすぎだってば。
2015-03-24 00:47:33