思い出話をしましょうか ~久住四季さんの五年ぶりの新刊『星読島に星は流れた』刊行によせて~

思い出語りをまとめました。
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久住四季 @quzumi_shiki

家庭訪問医である加藤盤も、この真偽不明の噂を聞いた招待客のひとり。凄まじい倍率をくぐり抜けて選ばれた他の招待客たちとともに、孤島を訪れる。しかし博士の住居も兼ねた天体観測所で隕石の到来を待つなか、招待客のひとりが死体となって海に浮かび……というお話です。

2015-03-20 22:24:37
久住四季 @quzumi_shiki

本書の装画は星野勝之さん。視線を引きつける重力を持っているかのような印象的な表紙が目印です。そして、帯の推薦文は米澤穂信さん。大変身に余るお言葉で帯を飾っていただきました。裏には全文が掲載されていますので、ぜひ確めてみてください。

2015-03-20 22:27:06
久住四季 @quzumi_shiki

最後に、あとがきにも書きましたが、僕の新刊を待っていてくださった方に心からお礼を申し上げます。まだ読まれたことのない方も、ぜひこの機会にお手に取ってみてください。どうぞよろしくお願いいたします。

2015-03-20 22:29:02
久住四季 @quzumi_shiki

な、長いなあやっぱり……。長文失礼いたしました。。。

2015-03-20 22:32:59
K島氏 @blue_airship

久住四季さんとはじめてお目にかかったのは2010年1月のことです。このとき、久住さんの最新作はその前の年の夏に刊行された『鷲見ヶ原うぐいすの論証』でした。帯にはこうあります。「閉じられた館に首なし死体がひとつ。シンプルな状況だが命題は多い」この長編も面白かったのですが、

2015-03-21 00:22:06
K島氏 @blue_airship

作品の完成度とは別のところで、やや腑に落ちない点がありました。それには理由があったことを、のちに久住さんから教えてもらい、深く納得したことを覚えています(いずれ、久住さんに語ってもらえる機会がつくれるといいですね)。話を戻して、たぶんこのとき久住さんはすでに次の長編、

2015-03-21 00:29:02
K島氏 @blue_airship

『七花、時跳び!』を執筆中だったのだろうと思います。その『七花』が刊行されたのは2010年5月です。状況も円満、次は僕が依頼した長編の執筆に入って戴くことになっていました。――しかし、ここからがうまく進まなかったのです。

2015-03-21 00:39:41
K島氏 @blue_airship

当時、久住さんはひとつの長編の構想を持っていたのですが、それはとても魅力的ながら、執筆するとなると凄まじい困難を伴うだろう、というものでした(ミステリのネタではなく、おもに舞台設定です)。その構想に取り組んでいるうち、久住さんは混迷期に突入してしまったのです。

2015-03-21 00:47:22
K島氏 @blue_airship

今日はここまで。ちなみに『ミステリクロノ』(1~3)は再読した結果、2巻が記憶よりもよくできていることを発見しました。『ミステリクロノ』の話は飛ばしてしまったので、ここでちょっとだけ補足。

2015-03-21 01:01:54
久住四季 @quzumi_shiki

K島さんの思い出話(twitter.com/blue_airship/s…)(twitter.com/blue_airship/s…)に倣って、僕も少しこれまでのことを。――「東京創元社のことはご存知ですか?」。それが初めてお目にかかったときのK島さんからのご質問でした。

2015-03-21 23:27:26
K島氏 @blue_airship

思い出話でもしてみようと思うんですが、久住四季さんのデビュー作『トリックスターズ』が刊行されたのは2005年の6月でした。帯には「これは推理小説(ルビ:ミステリ)を模った現代の魔術師の物語」とあります。この作品がなぜ「推理小説を模った」という文言で彩られることになったのか、

2015-03-19 23:28:38
久住四季 @quzumi_shiki

もちろん僕は存じ上げていましたので、「はい、もちろんです。初めて読んだ創元推理文庫は笠井潔さんの『バイバイ、エンジェル』でした」とお答えしました。が、それは勘違いで、本当は宮部みゆきさんの『パーフェクト・ブルー』だったりしました。……実は結構緊張していたのです。

2015-03-21 23:30:32
久住四季 @quzumi_shiki

とはいえその後、泡坂妻夫や天藤真作品のおもしろさについて、エヴァは新劇もいいけどTV版が好き、などといった話を経て(後段は僕が勝手に喋っただけですが)、適度にほぐれたところで肝心の作品の話に。そこで、これから取りかかる新作について、K島さんから三つのオーダーをいただきました。

2015-03-21 23:34:35
久住四季 @quzumi_shiki

それは、1.)ミステリであること 2.)きちんと小説としておもしろいものであること 3.)《?》でした(三つ目は作品を読む際の興趣に関わるので、ちょっと秘密にさせてください)。つまり、この三つのオーダーをクリアしたものが、新刊の『星読島に星は流れた』だと僕は思っています。

2015-03-21 23:39:24
久住四季 @quzumi_shiki

こうして初の打ち合わせを終え新作に取りかかるわけですが――そこからいわゆる「混迷期」に突入するわけです。といったところで、続きは後日。

2015-03-21 23:42:02
久住四季 @quzumi_shiki

そういえば、初めて電撃文庫の編集部に打ち合わせに伺ったときもかなり緊張しました。あのときはまだ御茶ノ水に編集部があったんですよね。懐かしいなあ……。

2015-03-21 23:47:50
K島氏 @blue_airship

さっ三番目!? いや覚えてますよ忘れるわけないじゃないですか RT @quzumi_shiki: それは、1.)ミステリであること 2.)きちんと小説としておもしろいものであること 3.)《?》でした(三つ目は作品を読む際の興趣に関わるので、ちょっと秘密にさせてください)//

2015-03-22 00:57:51
K島氏 @blue_airship

書けなくなる新人作家さんが増えてきた、というのが実感だけではなく、業界全体でそういうことが起こっているらしい、と知ったのは、ある書評を読んだときだった。その書評にリンクは張らないが、そのあたりから始めてみたい。

2015-03-22 23:21:04
K島氏 @blue_airship

体感的には2009年あたりから、「書かない/書けなくなる作家」が徐々に増えていった印象があります。御多分に漏れず、僕もそういう方の担当を複数させて戴きましたが、久住四季さんは最も気の毒な例だったように思います。編集側も黙って耐えるしかなく、それから二年以上も、定期的にお会いしては

2015-03-22 23:23:22
K島氏 @blue_airship

ごはんを御一緒して別れるということを、久住さんが遠方にお引越しするまで繰り返しました。正直、粘りました。プレッシャーをかけても、かけなくてもいけないし、どうしたら混迷から抜け出してもらえるか、こちらはこちらでかなり考えました。そうしてさらに一年が経過し、ある日突然、待ちに待った

2015-03-22 23:25:37
K島氏 @blue_airship

連絡が舞い込みます。長編を近日中に送ります、というのです。信用できない、というよりは、駄目だったときに落胆しないため、期待しすぎないようにして待っていました。しばらく経って、長編原稿は実際に到着しました。ものすごく嬉しかった!――そして、僕はその長編を、断腸の思いで没にします。

2015-03-22 23:29:09
K島氏 @blue_airship

この長編を没にしてしまったら、このあと久住さんはどうなるのだろう、と思いました。打ち合わせに向かう電車のなか、はっきり言って怖かった。この職業は、こういう怖さに直面することもあるのか、と呆然としていました。判断の理由を説明し、おそるおそる反応をうかがう僕に、久住さんは言いました。

2015-03-22 23:33:19