日本酒についてあれこれ

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YANO, Satoru @s_yano

日本酒の"表記上の"最高スペックは「純米大吟醸」ですが、大吟醸は精米歩合50%以下で吟醸造りをすればそう言えちゃうので、必ずしも純米大吟醸がその蔵のフラッグシップだとは限りません。純大を何種類も出している蔵もあります。

2010-12-13 13:10:49
YANO, Satoru @s_yano

同じ米、同じ精米歩合であれば、アル添しない純米の方が取れる酒が少なくなる計算ですから、純米大吟醸の方がトップになりそうですが、鑑評会出品酒は、香りを出すために少しアルコール添加します。なので、蔵のトップは「大吟醸」なことが多いです。

2010-12-13 13:13:47
YANO, Satoru @s_yano

1つの蔵のその年度に造られたお酒を並べて飲むことを「水平飲み」、ある銘柄の同じスペックのお酒を醸造年度違いで飲むことを「垂直飲み」と言ったりします。日本酒は熟成しやすいので、垂直はお酒の出来を比べるというよりも、熟成による味の変化を楽しむのが目的だと思います。

2010-12-13 13:21:11
YANO, Satoru @s_yano

日本酒は変化しやすいので、加熱して変化要素(いわゆるひおち)を殺すことで酒質を安定させます。火入れは、絞った後の貯蔵前に1回と、貯蔵後、瓶詰めする前に1回の計2回行ないます。火入れした酒はよっぽど高温で保管しないかぎり室温でもまあ大丈夫です。

2010-12-13 13:27:37
YANO, Satoru @s_yano

2回の火入れのうち、どちらか、あるいは両方ともしない場合もあります。貯蔵前に火入れをしないで瓶詰の前だけ火入れをするものを「生貯蔵」、逆に、貯蔵前に火入れをして瓶詰の前は火入れをしないものを「生詰」、さらに、両方とも火入れをしないと「生酒」とか「生々」と言います。

2010-12-13 13:31:25
YANO, Satoru @s_yano

なので、生貯蔵、生詰は、生と書いてますが、1回は火入れをしてます。

2010-12-13 13:43:00
YANO, Satoru @s_yano

なぜ火入れをしないかといえば、華やかな香りとか、荒々しさとか、火入れをすることで消えてしまう要素を楽しむため、でいいんだよね? かつては蔵でしか飲めなかったものが、冷蔵技術やら配送の仕組みやらが整ってお店でも買える飲めるようになったものです。

2010-12-13 13:49:51
YANO, Satoru @s_yano

ちなみに、鑑評会出品酒は火入れの酒です。絶対に生では出しません。これは、出品のため酒を酒類総合研究所に納品してから、実際に審査されるまで1ヶ月近く常温で保管されるからです(なぜだろう?)。生詰、生酒は出荷前に本来やるべき火入れをしていないので、結構デリケートです。

2010-12-13 13:55:14
YANO, Satoru @s_yano

そういえば、土曜日に八海山の粕取り焼酎を飲んだけど、白酒のような香りがしました。こいつを普通の日本酒にちょろりんと垂らしたら、ふんわり吟醸香が広がるおいしいお酒になるでしょう。ヤコマン的なことですね。

2010-12-13 13:59:57
YANO, Satoru @s_yano

「純米酒」と「米だけで作った酒」は、似ているようでまったく違うものなので注意。純米酒は「特定名称」なので、お米は「3等以上の玄米」を使う必要があります。3等以下の米、あるいは、玄米じゃない米を使う場合は、米以外を使わなくても「純米」とは書けません。

2010-12-13 14:08:56
YANO, Satoru @s_yano

米のデンプンを糖に分解する(糖化)のが「麹」、糖をアルコールに変える(発酵)のが「酵母」。厳密には、糖化するのは麹そのものではなく、麹が作る酵素。この糖化と発酵の2つの化学変化を同時に行なって醸造するのが「並行複発酵」という醸造方法。

2010-12-13 14:42:24
YANO, Satoru @s_yano

酒母をなめたことありますか?ヨーグルトのように酸っぱいです。これは、乳酸菌がたっぷりだからです。乳酸菌は雑菌の繁殖を防ぐ意味と、日本酒の「酸味」の部分になります。この酸味がないと、日本酒は甘い甘いお酒になっちゃうのです。

2010-12-14 10:23:15
YANO, Satoru @s_yano

ちょっと補足。日本酒の酸味は、酒母の乳酸菌だけでなく、発酵によって酵母から出される酸によっても作られます。乳酸菌だけが酸味の元ではないです。

2010-12-14 12:07:39
YANO, Satoru @s_yano

酒母とは、酵母を増やすために作られるものです。蒸した米、麹、水、乳酸菌を混ぜたものに酵母(アンプル)を入れて、2週間くらい(速醸系)置いておくと、「酒母」ができます。

2010-12-14 11:31:53
YANO, Satoru @s_yano

疑問。日本酒の味は、原料によって色々です。大きくは米と酵母の酒類で味わいが違ってきます。酵母は生成する有機酸の酒類や量がさまざまなので、味わいに大きく影響するのは理解できますが、米は日本酒の味にどういう影響のしかたをするんでしょう?

2010-12-14 12:11:27
YANO, Satoru @s_yano

米の成分は、炭水化物(デンプン)、蛋白質、脂肪、無機質(ミネラル、ビタミン類)だそうです。デンプンは酵素で分解されて糖になって酵母で消費されるので、味わいという意味では影響なさそうです。とすると、蛋白質、脂肪、無機質の成分が影響するのでしょうか?

2010-12-14 12:17:22
YANO, Satoru @s_yano

蛋白質、脂肪などは多いと雑味になるそうです。だから精米して、表面に多く分布している蛋白質、脂肪を削っています。とはいえ、全部の蛋白質、脂肪がなくなる訳ではないので、ほどよい「雑味」の違いが味わいに変化を与えている、ということになるのかな?

2010-12-14 12:21:18
YANO, Satoru @s_yano

蛋白質は酵素で分解されて、アミノ酸になるのか(蛋白質は20酒類のアミノ酸が結合してできている)。さらにアミノ酸は酵母で高級アルコール(=香り成分。酢酸イソアミルとか、カプロン酸エチルとかかな?)になるのだそうです。

2010-12-14 12:32:27
YANO, Satoru @s_yano

ということは、米によって、成分構成とか、蛋白質なんかの酒類とか玄米内での分布のしかたとか、そういうものが違っていて、そういう違いが味わいの差になってるんですかね。

2010-12-14 13:03:01
YANO, Satoru @s_yano

種類をずっっと酒類と変換してるじゃあないか。

2010-12-14 14:46:14
YANO, Satoru @s_yano

原料から見た日本酒の作り方をざっくりと。蒸米+麹菌→麹米。麹米+蒸米+水+乳酸菌+酵母→酒母。(((酒母+水+麹米+蒸米)+麹米+蒸米)+麹米+蒸米)→醪。

2010-12-17 10:02:54
YANO, Satoru @s_yano

日本酒は、醪(もろみ)から固形成分を除いたもの。普通は、この固形分は完全に排除するけど、わざと、少しだけ残してあると「おりがらみ」とか「うすにごり」とか呼ばれるものになり、もっとがっつりまざっていると、いわゆる「にごり酒」なる。この固形成分が「酒粕」になる。

2010-12-17 15:26:06
YANO, Satoru @s_yano

この固形成分の分離作業が「上槽(じょうそう)」と呼ばれる作業。一般的には袋に入れて圧縮機にかけて絞ります。遠心分離機を使う蔵も(獺祭とか)。袋に入れて圧力をかけずに、ドモホルンリンクル的にぽたぽた落ちてくる酒を集めて「しずく」とか言ったり。

2010-12-17 15:29:03
YANO, Satoru @s_yano

今年の新酒が出てきた記念で、思いつくままに日本酒の話を書いてみたけど、知らないことも多いなあ。日本酒って、味に個性を与えるパラメーターが多くて、おもしろい。

2010-12-17 15:44:40
YANO, Satoru @s_yano

上槽ネタでもう1つあった。醪を搾るときに、最初の方に出てきたのを「あらばしり」、最後に圧力をがっつりかけて出てきたのを「せめ」、真ん中の部分(酒質が安定していると言われている)を「中取り」とか言います。

2010-12-17 15:50:59