ツマミ喰い

3
∞すみれ∞ @magic88word

11 優しくしてもらって 舞い上がってバカみたい あんなに怒鳴らなくていいのに… エレベーターを降りたら ポケットに手を突っ込んで 渋谷さんが立ってた 「帰るで」 私の返事を待たずに どんどん歩いてく

2014-11-25 02:22:51
∞すみれ∞ @magic88word

12 『あ、あの…』 黙ったままの渋谷さんの車で うちまで送ってもらう うちの前に着いたら 渋谷さんも一緒に車をおりる 『あの…ありがとうございました』 「部屋入れてくれ」 『え…⁈』 「おまえは信用ならんからな」 『大丈夫です』 「あかん」

2014-11-25 02:23:05
∞すみれ∞ @magic88word

13 どうしても部屋に入るって 譲らない渋谷さんに 根負けして鍵を開けたら 玄関で後ろから抱きしめられた 『しぶ…たにさん⁈』 「さっきはごめん…言い過ぎたわ」 『え…』 「大きい声だしてごめん…」 『ううん…でも…』 「ん?」

2014-11-25 02:23:18
∞すみれ∞ @magic88word

14 『こんな…また熱が上がりそうです』 「おまえは… っんまに 後ろからでガマンしてんのに」 …そのあと渋谷さんは 私をベッドに寝かせて 眠るまでそばにいてくれた 『治ったら覚えとけよ』 って枕元にメモを残して… pic.twitter.com/OTfCVDRvxa

2014-11-25 02:23:36
拡大
∞すみれ∞ @magic88word

10 彼女が会社で熱出して 帰ったって聞いた 俺のせいや… あんなに寒い夜に 嫉妬に狂って 冷たい玄関に押し倒した 同じ職場にいるのに… いつもそばにいられない 自分に腹が立つ

2014-12-07 02:01:38
∞すみれ∞ @magic88word

11 鍵を開けて 彼女の眠るベッドに向かう 「大丈夫か…?」 冷えピタを貼って 赤い顔してる彼女に声をかけてみる 『…ん…隆平…?来てくれたの?」 「ごめん… 肝心な時にそばにいてやれんで…」 『ううん…うれしいよ…』

2014-12-07 02:01:51
∞すみれ∞ @magic88word

12 「なんか…してほしいことあるか?」 『…なにか飲みたい』 「お、おぉよっしゃ… ちょっと待っときや」 冷蔵庫からミネラルウォーターを 持ってくる 「口移しで飲ましたろ」 『いい…うつっちゃう』 弱々しく笑って起き上がる君

2014-12-07 02:02:04
∞すみれ∞ @magic88word

13 「ごめんな…俺のせいやな… あんなことしたから…」 黙って首をふる君 愛しさがこみ上げて抱きしめる 「今日はずっとそばにおるから… 安心しておやすみ」 ベッドに横たわらせて 布団をかける ほどなく小さい寝息をたてる君

2014-12-07 02:02:19
∞すみれ∞ @magic88word

14 このままベッドに入って 君をあたためよか… そう思ってふと ベッドサイドに視線を落とした なに…これ… 手帳をちぎったメモ 見覚えのある癖のある文字 "治ったら覚えとけよ" pic.twitter.com/FKwmydilgH

2014-12-07 02:02:44
拡大
∞すみれ∞ @magic88word

15 なにこれ… なんで…こんなとこに… メモを握って立ちすくむ ここに…来たん?…あの人… 身体中の血が 一気に沸き立つような それでいて 体温が急激に下がるような… 奇妙な感覚に襲われて 見慣れた部屋が歪んでいく

2014-12-09 01:59:38
∞すみれ∞ @magic88word

16 部屋をぐるりと見回す… 冷蔵庫のミネラルウォーターも テーブルに置かれたドリンク剤も薬も あの人が持って来たん…? 君のおでこに冷えピタ貼ったんも 部屋着に着替えさせたんも ベッドに寝かせたんも… みんなみんな…あの人なん?

2014-12-09 01:59:47
∞すみれ∞ @magic88word

17 見たくない光景が頭にちらついて 思わず布団をめくる 眠る彼女に跨り おでこの冷えピタを剥がして 部屋着の裾をずり上げる 『…う…?ん…りゅう…へい…?』 「…ノーブラやんか…」 『な…』 「なんで…なん」 『い…や…』

2014-12-09 02:00:24
∞すみれ∞ @magic88word

18 「なんでなん…なんで…」 熱があることも構わず 全部脱がしていく 困惑して泣いてる彼女を 押さえつけて 裏切りのあとを探す あんなにしるしつけたのに まだ足りんかった…? どうやったらわかってくれるん…?

2014-12-09 02:00:40
∞すみれ∞ @magic88word

19 気がついたら 君の上で果てていて… 気を失った君の頬に 涙の跡を見つけた 「また…やってもうた…」 pic.twitter.com/9WhWa9i268

2014-12-09 02:01:02
拡大
∞すみれ∞ @magic88word

20 さっき反省したとこやのに… また俺は… 毛布でくるんで抱きしめると 目を開ける君 「ごめん…熱あんのに…」 服を着せて布団をかける あの人が買ってきたかもわからんのに 結局その冷えピタを貼る俺 情けなくて泣けてくる

2014-12-10 02:35:18
∞すみれ∞ @magic88word

21 「…もう帰る…から」 ここにおってもなんの役にも立たへん 君を泣かすだけ 立ち上がろうとしたら 君が腕を伸ばす 『ここにいて…隆平…』 「え…⁈」 『ずっとそばにいて…』 「ええの…?」 俺でええの? ほんまはそう聞きたかった

2014-12-10 02:35:27
∞すみれ∞ @magic88word

22 「あの渋谷さん…」 会議終わりに声をかける 「この間…○○の部屋行きました?」 単刀直入に聞くと ちょっとびっくりして それからあっさりと言った "あぁ行ったよ、送ってっただけや" 「僕…転勤の話があるんです… それ受けようと思います」

2014-12-10 02:35:36
∞すみれ∞ @magic88word

23 "あいつは…⁈" 「連れて行っても また寂しい思いさせるんやったら…」 "なんや戦線離脱か…おもんない" 肩をすくめると出て行く渋谷さん 彼女が求めてるんは ずっとそばにおってくれるやつなんや pic.twitter.com/FhH8kE1Gs8

2014-12-10 02:35:55
拡大
∞すみれ∞ @magic88word

24 風邪が治った君と 久しぶりにデートする 前から君が行きたがってた ゴルフ練習場 何球か打ってるうちに ネット直撃を連発する君 「うまいな〜ゴルフ好きのおやじと 付き合うとったんちゃうー⁈」 『なんでそうなるのー、こう見えて 運動神経はいいんです!』

2014-12-12 01:57:57
∞すみれ∞ @magic88word

25 それに比べて 五回に一回は空振りする俺 ムキになってするほど おかしなフォームになって君が笑う 考えたら明るいうちに外で逢うなんて ずいぶん久しぶりやな… この笑顔も久しぶり みんな俺が閉じ込めてたことに気づく

2014-12-12 01:58:20
∞すみれ∞ @magic88word

26 初めてちゃんとデートした日に 行ったイタリアンのお店 入ろうとしたら躊躇してる君 『どうして? 今日なんかの記念日だった⁈』 「何もなくてもええやろ、たまには」 あの日はガチガチに緊張して よく味わえなかった白ワイン 頼んでみよか

2014-12-12 01:58:29
∞すみれ∞ @magic88word

27 部屋に帰ってしばらくくつろぐ 『暖かいものでも飲む?』 ソファに腰掛ける俺の 足の間に座ってた君が腰を浮かす 「ううん、今ええわ… それよりちょっと聞いてくれる?」 後ろから背中を抱くと 君が耳をふさぐ 『いや…聞きたくない…』

2014-12-12 01:58:37
∞すみれ∞ @magic88word

28 敏感に違和感を察した君が言う 『今日で最後にしようとしてる…』 「違うねん…聞いて…」 取り乱す君を抱きしめて諭すけど 転勤の話は君には別れ話にしか 聞こえなかったようで またいつもみたいに 押さえつけて黙らせる

2014-12-12 01:58:45
∞すみれ∞ @magic88word

29 「俺といてもつらいだけやな…」 泣きながら眠った君を抱きしめる でもやっぱり… あの人に抱かれる君を見たくなくて 別れようとも待ってて欲しいとも 言わずに行くのはずるいですか…? pic.twitter.com/BsA1OlHnqa

2014-12-12 01:58:58
拡大
∞すみれ∞ @magic88word

30 「ちょっと来い」 残業してるあいつに声をかける ぼんやりして またいろんな仕事押しつけられて とぼとぼついてくるあいつを 自動販売機の前で振り返る 「なんか飲むか?」 『いいえ…』 「そ…か」

2014-12-13 00:35:16