シャーマニズムとしての鬼道

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『道教と日本思想』福永光司著‥（徳間書房刊） p５４～‥Ⅱ鬼道と神道…中国古代の宗教思想と日本古代… ・中国古代宗教思想誌の研究はなぜ必要か ・中国の神仙道教と「天皇」 ・伊勢神宮のご神体はなぜ鏡か ・日本古代研究の再検討を ・中国古代思想史の四重構造 →

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@fukuebisu_tao →『道教と日本思想』福永光司著‥（目次続き） ・シャーマニズムとしての鬼道 ・教理学としての神道 ・「鬼道」という言葉の意味変遷 ・「神道」という言葉の意味変遷 ・神道と「三玄（易・老・荘）」の学 ・仏教一辺倒の日本古代宗教思想の研究 →

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『道教と日本思想』福永光司著‥（徳間書店１９８５年刊） p５４～９２‥Ⅱ章　鬼道と神道…中国古代の宗教思想と日本古代‥より p７２ ・シャーマニズムとしての鬼道

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→　さて、以上のようなことで、中国古代思想史の展開は４つの層…四重の重層構造と私は呼びますが…をなしている。そしてそれならば、この重層構造は、本日の私のテーマになっている「鬼道と神道」とどのようなかかわりを持つのであろうか。 →

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（中国古代思想の４重構造） →　まず第一の層の土着的・土俗的呪術信仰ですが、これは第二、第三、第四層の中においても基盤として根強く残り、現代の中華人民共和国においてさえ農村僻地などへ行けば、多分に残っているのを確認することができます。 →

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（基盤） →が、これが、大雑把に言って鬼道にあたり、鬼道というのは、これまた大雑把な当て方ですけれども、だいたい今の宗教学でいうシャーマニズムというもので理解して大過なかろうかと思います。 　そして、この鬼道に上部構造的な観念形態を上乗せしますと、神道と呼ばれるようになる。 →

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→p７３ 　神道と鬼道は底辺部ではもちろん重なり合う部分を多く持ちますけれども、その上辺部に哲学…おもとして『易経』と『老子』の哲学ですが、それを導入しているか否かによって区別される。→

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（中国古代思想では‥神道と鬼道は底辺部ではもちろん重なり合う部分を多く持ちますが‥） →もともと神道という言葉は、『易経』の観卦の彖伝（たんでん）に初めて見えるわけですから、儒教の哲学でも、仏教・道教の教理学でも同じようにこの言葉を使います。 →

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→とくに鬼道を低俗なシャーマニズムとして攻撃し、それに対する自己の優位性を強調するような場合には、鬼道ではなく神道という言葉が多く使われる。例えば、我々の説く宗教的な真理は神道であって鬼道とはちがうという風に道教的な文献では２世紀くらいから、‥ →

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→神道としての教えをシャマニズムとしての鬼道の上位に置く主張が目立ってくる。 具体的な文献としては、西暦１４０年代に出現した干吉の『太平清領書』…これは、現在、『道蔵』の中では『太平経』という形で残っておりますが、この中にすでに見えている。 →

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→例えば『太平経』によりますと、神道というのは、不死の道であるが、しかし、鬼道というのは、死の道であるというように云って、神道と鬼道とを区別しております。 →

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（鬼道を低俗と攻撃し、自己の優位を強調する場合に神道が使われている‥） →それからまた、それに類する表現として、神道の真理を正しく行えば、鬼道が克服されるというような言い方もしてますし、これは、六朝から隋、唐にかけての道教経典の中でも、似たような表現がしばしば出てまいります。 →

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（中国古代思想四つの層の鬼道と神道） →鬼道は不吉の道であるけれども、神道は永久に吉なる道であるといった表現として。あるいはまた、鬼道は死者の道であるけれども、神道は生者の道である、というような言い方をして鬼道と区別し、神道の鬼道に対する優位を主張するということが行われている →

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（中国古代思想の四つの層に現れる鬼道と神道） →ですから、いま四つの層を鬼道と神道ということで対応させるとすれば、第一の層が鬼道にあたり、第二の層以上が神道にあたると見ることができる。 →

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→もっとも、狭い意味の道教が成立する第四の層では、神道としての道教が儒教を俗道として批判し、自らをとくに真道…「真」を「俗」に対比させる思考は中国思想史で『荘子』に始まります…と呼ぶことがありますが、やはりその場合でも道教が神道であることを積極的に否定する議論は全く見られません→

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→　むしろ隋唐時代の道教の教理学は、『易経』の哲学を大幅に取り入れることから、再び神道としての道教を強調する傾向を顕著にしてきます。 （了）