#トラ泊神戸支部~激闘の本土近海決戦編⑥

Twitter上で書いている、自分のところの鎮守府をモチーフにしたSSのまとめとなります。 4月10日更新。
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ですか @desuka_desuyo

大きな爆発音が響き渡る。相手の攻撃が直撃したのだ。だが、至近弾こそ受けたけれど、直撃弾は食らっていないはず。そこでハッと気づいた。 「古鷹!」 振り返った先には右肩を左手で押さえ、苦しそうな表情を見せる古鷹の姿があった。艤装の損壊状況が爆発の強さを物語っている。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 22:24:34
ですか @desuka_desuyo

古鷹を助けなければ。その一瞬が命取りだった。電探に映る複数の機影に気付いた時、敵の艦載機はもう目の前まで迫っていたのだ。 「くぅっ!」 爆撃をもろに食らい、全身に痛みが走る。爆撃の威力によろめきながらも、なんとか踏みとどまった。すぐに古鷹の姿を探す。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 22:31:41
ですか @desuka_desuyo

古鷹は大破した状態で、なお攻撃を続行しようとしていた。左肩の第三砲塔と、右腕で直撃を免れた第一砲塔を敵空母棲鬼へ向ける。 「撤退ー!」 後方から北上の叫び声が飛んできた。これ以上の戦闘は不可能だと判断したのだろう。だが、古鷹が砲撃を止めようとする気配はない。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 22:39:51
ですか @desuka_desuyo

「古鷹、撤退ですよ!何してるんですか!」 古鷹のもとへ駆け寄り、声をかける。それでも古鷹は砲撃の構えを解くことも、進路を変更することもない。 「何してるんですか!こっちですよ!」 「反撃しなきゃ。一発食らわせなきゃ」 「今は撤退することが先です!」 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 22:43:19
ですか @desuka_desuyo

古鷹の左腕を掴み、転進する。私に引き摺られるようにして、ようやく古鷹も転進した。この海域から速やかに離脱するため、出せる限りの全力で敵艦隊から距離をとる。 「第三波きます!」 千代田の言葉に全身の毛が逆立つような思いがした。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 22:47:15
ですか @desuka_desuyo

いま、これ以上の被弾をするということは、死と同意義である。足が止まれば敵空母機動部隊の餌食になる。それどころかこの場でとどめを刺されかねないのだ。それこそ、死ぬ気で機銃を空に打ち放ってなんとか攻撃させないようにするしかない。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 22:51:00
ですか @desuka_desuyo

敵艦載機が目前まで迫ってくる。攻撃が来る!そう思った矢先、敵攻撃隊が蜘蛛の子を散らすかの如く凄い勢いで撤退していった。続いて通信が入る。 「こちらは横須賀鎮守府第一艦隊です。敵空母機動部隊はこちらが引き受けます。貴艦隊は即座に離脱してください」 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 22:55:45
ですか @desuka_desuyo

横須賀からの援軍に張りつめていた緊張の糸が切れるように思えた。全員の表情が少しだけ明るくなる。 「なんとか離脱できたね。このまま警戒しつつ泊地に帰投するよ~」 北上の言葉に頷き、周囲を見渡す。だが、そこに広がっていたのは先ほどまでが嘘のような穏やかな海だった。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 23:00:15
ですか @desuka_desuyo

執務室に暗い沈黙が流れる。青葉たち先遣隊の様子を各艦娘の艤装に付けられたカメラから確認していた俺たちは、相手の強大さに言葉を失っていた。誰もが空母棲鬼の強さを認識せざるを得なかった。絶望にも似た暗い雰囲気のこの場所で最初に口を開いたのは熊野だった。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 23:05:27
ですか @desuka_desuyo

「提督。編成はどうなさるおつもりで?」 「お、おぅ。そうだな。もう一度ぐらいチャレンジしてみるのも…」 「ダメですわ。あの編成ではずっと同じです」 「どうしてだ?」 断言するかのような発言が気になって、俺は熊野に問いかけた。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 23:09:04
ですか @desuka_desuyo

「それは本人たちに直接伝えますわ。それより今は次の一手をどうするか考えるべきだと思うのだけれど」 「そうか。そうだな、戦艦を主体とした装甲主体の…」 俺は執務室の艦娘たちに指示を出す。艦隊帰投まであと少し。 #トラ泊神戸支部

2015-04-10 23:13:02