廃棄物日誌 LOG:8

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「羽黒がきたですたい！」「語尾おかしくねえか」 大潮の目には、一息つきながら何故か返り血を浴びた羽黒が入ってくる所が 写っていた。艤装を外し、何故か金属バットを置いて―――何故かこちらに近づいてくる。 「ん？」大潮の頭部に疑問符が浮かぶ。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

彼女は穴の前でしゃがむと、何かを掴んで穴目がけて振り下ろした。 ガスンッという、釘打ち機が作動したような音が聞こえた。 そして大潮が崩れるように穴から離れる。「どうした大潮…ゲッ！？」 大潮の顔を見た深雪が絶句する。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

大潮の左目に杭が刺さっていた。 「も、ものすげー目が痛いんだけど」 大潮は自分の目に杭が刺さっている事に気づいていないようだ。 しかし、天井から大潮の杭と同じ杭が次々と生えてきた。 羽黒が素手で床に刺しているのだ。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「ヤバいバレてる！逃げろ逃げろー！」 大潮を掴み、深雪達は来た道を戻る。 羽黒は艤装を着けて天龍の部屋に向かった。 「天龍ちゃん！覗きがいたの！」言いながら扉を開けた。 そこには、顔を天龍の股間に突っ込んだ南方棲鬼がいた。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「何してるの二人ともっ！」 叫び、南方の腹に爪先にめり込ませ天龍に頭突きする。 「いってぇ何すんだよ羽黒ってテメ何してる！？」 気がついた天龍が腹を押さえて転がる南方に吼える。 「違う違うよ！あなた気絶させられてたね！私見たよ！」 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「駆逐艦三人があなた運ぼうとしてたよ！私見たね！」 手振りで説明する南方の足下が突然打ち上がった。羽黒と床から顔を出した潮の目が合った。 「……」「………お邪魔しました」潮の顔が床に消えていく。 「羽黒撃てー！」天龍が叫んだ。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

羽黒の20.3cm砲が発砲される。 畳を容赦なく破壊するが手応えなし。 「全員に連絡だ！覗き魔を生かして返すな！」天龍が声を上げる。 「110号室の窓から逃げるぞ！」「まだマイアミ提督のマイアミを見てない！」「捕まったら殺される！」 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

勢いよく畳を吹き飛ばす深雪。 「な、何だ君は…！？」「アインツ！？」 しかしそこは109号室。 時雨とZ1の部屋だった。 「くそ、ヤンホモの部屋だ」「私に任せろ」大潮が服を脱いで床から姿を現した。 「これが本当の私です」身体をくねらせ裸体を見せる大潮。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

しかし考えて欲しい、ロリコンまたはペドフィリアでもない駆逐艦二隻(うち一隻はホモ)の前で幼児体型ではないが発育途上の身体を見て誰が喜んだりリアクションするだろうか。 よって。 「…へっ」Z1が鼻で笑うのも無理はないのだ。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

(な、何そのリアクション？) 困惑し固まる大潮。 「Z1、天龍さんが覗き魔がどうとか叫んでるけど」 「それより彼女を見てみろ、あの貧相な身体を」 固まったままの大潮を指差すZ1。 彼女を見た時雨は一瞬自分の身体を見る。 「…あぁ、まだ育つよ」 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

時雨のフォローは巨大なハンマーめいて大潮の心を破砕する。 「ほらさっきみたいに見せてみろ」 「やめて～！犯される～！」 昭和20年、8月15日。 日本は敗戦した。 そして、2014年8月17日。 駆逐艦大潮は今、再び敗北を喫した。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「最早大潮の裸は通じないか…」 「ど、どうしよう深雪ちゃ」大潮の惨状を見た深雪は潮を当て身で気絶させると服を脱がす。 五十鈴と同じ黒の下着を着けていた。 それも剥ぎ持ち上げる。 「Z1、時雨。こいつを見な」 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

二人が見ると、深雪はある人物が見たらただでは済まないことをしていた。 気絶させた潮を全裸にして持ち上げて晒しているのだ。 その駆逐艦離れした乳はZ1を驚愕させる。彼は潮モデルが豊満とは聞いていたが、そこまで大きいとは思っていなかったからだ。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「う、うわああああ！？」思わず悲鳴を上げるZ1。 時雨もこの異常な光景に目を背ける。 「ほ～ら～夏の大豊作だぞ～」潮を左右に揺らしながら深雪が近づいてくる。 「よせ、そいつを、その脂肪の塊をしまってくれー！」叫ぶZ1を見て調子に乗る深雪。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「てっくのうち！テックノウチ！TECHNORCH！」 ある音楽ゲームに曲を提供している人物の名前を言いながらデンプシーロールをする深雪。 「やめろー！」(なぜDJさんの名前を言いながらデンプシーロールを…？) 泣き叫ぶZ1に混乱する時雨。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「僕はまた汚れてしまった…」 顔を押さえて泣くZ1。「君は何を言ってるんだい…」慰める時雨。 「行くぞ貧相！」「貧相言わないで…」 潮を背負い深雪と大潮は部屋を出る。 ホテルは混乱の極みだった。 厳重なセキュリティを乗り越えた覗き魔が逃走中なのだから。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

幸いな事に、羽黒も天龍もあまり顔を見ていなかったので深雪たちが覗き魔だとは気づかれていないようだ。 「105号室の畳がえらいことになってる！床の板外されとるで！」「そっから入ったんか！？」 チ級やタ級が完全武装で走り回っている。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

慎重かつ迅速に110号室に戻った三人は窓から逃げることにした。 「何かネタは取れたか！？」「ネタはないけど辱しめられた！」「ぶ、ブラジャーがなくなってます！」 荷物をまとめ、窓から飛び降りる三人。 110号室を選んだのは、ホテルの駐車場に一番近い部屋だからだ。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「早く出せ！」「待ってよ、このジープ古いやつなんだから！」 エンジンがかかり、立体駐車場を爆走する。 出口まであと10mほどになった時、出口を塞ぐ一つの影。 「逃がすか覗きヤロー！」天龍だった。何故かその目は紅く染まっている。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「轢き殺せー！」叫ぶ深雪。 「轢き殺すんですかー！？」問う潮。 「ヴァンガードオーバードブースター！！」絶叫しアクセルを全開で踏みつける大潮。 エンジンは新しいジープが猛スピードで突っ込んでいく。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「危ねえ！」まさか突っ込んでくるとは思わなかった天龍は転がってジープを回避。 しかしその先は壁。それをほぼ直角カーブで避け、ホテルから脱出するジープ。 だが「逃がすかぁ！」天龍が刀を“伸ばす”。 高速で延びる刃は天井を破壊する。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「ぎゃああああああっ！！」 三人は衝撃に絶叫する。 「天井が！天井がないです！」「何なんだよあいつ！雑誌にはマイアミ提督のオナペットだって書いてあったのに！恐竜の間違いだろ！」 叫びながらも、ジープを運転する大潮。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

ジープは壁や車に接触しながらも逃走。 それを追うデロリアン。運転手は当然羽黒。助手席にはマイアミ提督ではなく天龍を乗せている。 「出たぁ！マイアミ羽黒だあ！」「高速までもうすぐだ！振り切れ！」より速度を上げてジープが走る。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

羽黒は先程の杭を、デロリアンの「砲台」に装填する。 そしてトリガーを引いた。 空気の圧力で物質を射出する「ロックitランチャー」である。中に入るものならぬいぐるみでも弾として発射できる。 発射された杭は潮の膝上を通過、フロントガラスを破壊した。 #廃棄物日誌

廃棄物13号@カクヨム連載中 @eibis_splicer

「怯むな走れー！」「アクセルはもう全開だぁー！」 杭がフロントガラスを破壊したにも関わらずジープは止まらない。 「…殺す」「え？」羽黒の不吉な呟きに顔を向けた天龍は絶句した。 羽黒は片手で近くの標識を引きちぎると、それを無理矢理ランチャーに装填。 #廃棄物日誌