Twitter創作交流企画『色彩決闘』――一回戦第三試合

シャンシェ＝ティパフィス @Siyayence_siki

——激痛は、一過。押し込まれも引き抜かれもしなければ、痛みも多少は和らいで。 身に纏った触媒たる衣服も、その殆どを一瞬に使い果たした青の娘は、倒れ伏した地面の上でゆたりと腕を泳がせて。 ——何が起こったのかも解らないままで、緩慢に重い身体を持ち上げた。首から一筋、血が流れる。

シャンシェ＝ティパフィス @Siyayence_siki

ゆるりと首を動かして、『黒』を探す。水を集めて纏い直す事も思いつかなかった。動かせば戻って来る叩き付けるような衝撃に全身を竦めて、思わず手で首を押さえる。何かがと思った瞬間に引き抜いていた。 鍼が落ちる音。痛い、だが先程までと比べれば。立ち上がれないままで、視線を泳がせる。

シャンシェ＝ティパフィス @Siyayence_siki

——さして遠くもない場所で、動かない『黒の奏者』が居た。見つけた深海が、歪む。立ち上がろうとして出来なかった。痛み、激痛——竦んだ脚が、動いてくれない。 「——っ、ここまで、です……っ！」 宣言する声は、『審判』に向けて。 「この勝負は、わたくしが、『青の奏者』が頂きました！！」

シャンシェ＝ティパフィス @Siyayence_siki

苦しさを隠す小細工も無かった。 結界の外の熱狂か歓声かは解らない。青の娘はただ宣言を響かせて、そうして、背を丸めた。見えたのは己の肢体。 （……ああ、服。全部、使ってる……） 靴も失せて、本当に『最低限』しか残っていない。触媒ではない、本物の布で作られた分だけ。ぼんやり、思って。

シャンシェ＝ティパフィス @Siyayence_siki

開始よりも遥かな軽装から、眼を上げる。立ち上がらない『黒』を見て、今度こそ、娘は表情を歪ませた。 「っ、はやく、治療、を……」 自分ではない、それより先に。『鋭ノ弐号(あのひと)』を。 そう『想う』のに、成らなかった。 ——そう言葉にするより早く、急激に意識が溶けて、消え失せた。

『色彩決闘』管理アカウント @sikisaikettou

'△')＜一回戦第三試合、遂に此処で決着だーっ '△')＜勝者は青の国の代表、シェンシェ=ティパフィス！ '△')＜おめでとう、次の準決勝も頑張ってね！ '△')＜どうなることかと思ったけど、青も黒も互いに“らしい”決闘だったね。

『色彩決闘』管理アカウント @sikisaikettou

'△')＜医療班は早く動いてね〜しっかり治してね〜 '△')＜…… '△')＜ところで今年は大量記録媒体がまた飛ぶように売れそうだね。何故とは言わないけど。 '△')＜たくさん作った筈の去年だって売り切れたくらいだし、今年はもっと調子に乗って作っていこう。