「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション」 #1

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

転居したての頃はそれこそ毎日ひどくショックを受けていたものだが、実際慣れるものだ。毎日振るわれる恫喝と暴力、強要に比べれば、治安などたいした悩みではないという事に数週間で思い至ったのである。

2010-12-13 21:25:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……アー、イケナイ」アガタはひとり呟いた。テレビのボリュームを上げ、記憶イメージの連想を締め出そうと勤める。つばを吐き散らし怒鳴る口…タンクトップと筋肉質な肩…「オイチョコ・カルタチョコ新発売!」「ネコさん歩いてきます!」増幅されたコマーシャルの音声に集中するのだ、もっと……。

2010-12-13 21:38:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そのとき玄関ブザーが鳴った。アガタはテレビの音量を下げ、戸口へ向かう。ブザーが鳴り続ける。この時間になんだろう?郵便の再配達?いや、それならついさっき、隣の人から受け取った。ええと、モリタ=サンだったか。別の配達業者?セールス訪問?

2010-12-13 22:02:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アガタは覗き穴から覗いた。作業帽をかぶった男だ。やはり配達業者?「ハイ、なんでしょうか」ドア越しにアガタは問いかける。「お届けものです」もぐもぐと不明瞭な声音が返る。「何の届け物です?」「さあ、ちょっと大きいですね、あの、早く届けたいんです、ノルマが……」作業帽の男が訴える。

2010-12-13 22:12:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アガタはため息をつき、ドアノブに手をかけた。疲れていたのが判断を鈍らせたのかもしれない。それとも、何かの避けがたい巡り合わせだったのかもしれない。先程の唐突なフラッシュバックも、なにかの報せだったのかもしれない。……この二分後、アガタは、そんなとりとめのない後悔をする事になる。

2010-12-13 22:18:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(「ストレンジャー・ストレンジャー・ザン・フィクション」#1、終わり。#2へ続く

2010-12-13 22:20:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(親愛なる読者のみなさん: 今夜の更新は二本立てとなっております。ニンジャスレイヤー占い等をしながら更新をお待ちください。インガオホー!)

2010-12-13 22:22:55