ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/12/23

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い物語です。
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ジュン @jun50r

#twnovel この世で最初の呟きは神による「光あれ」。Twitterでボクの最初の呟きは「お先真っ暗」。どうしてこうも違うのか。すると返信がきた。「同じですよ。神は闇の中で自ら光を生み出しました。そして神は自分に似せて人を作ったのです。だからあなたにも同じ事ができます」

2010-12-23 00:42:21
黄金の米菓子 @OK_1111

#twnovel 10代後半の頃、俺は早く大人になりたくて、お前を利用して増やそうとした。けれど20代になって、急に怖くなった。ここ数年、俺はお前を利用して減らすことに躍起になった。そして俺は今日、25歳になった。時は満ちた。また六年後に会おう。その日まで、さようなら、四捨五入。

2010-12-23 00:53:26
宇宙食 @uchuusyoku

#twnovel 隣の部屋は中国人の堕胎屋だ。多分もぐりだろう。赤ん坊の鳴く声が聞こえてくることもある。たまに廊下ですれ違う女は、みな同じように見えた。外へ出ると白いバンが駐まっていた。女の迎えだろう。運転席の男がこちらを見てニヤついている。呼んだ事のあるヘルスの奴だろうか。

2010-12-23 01:25:06
穏やかに健やかに(๑´◡`)_旦 @chotto1koto

#twnovel 捜査一課のメンバーが集められた。何事かという表情の署員が多い中、プチトマト刑事だけが神妙な面持ちをしていた。そして課長の口から刑事の今月限りでの退職が発表された。挨拶でプチトマト農家に転身すると伝えた刑事。残りの一週間が激動の日々となることを、まだ彼は知らない。

2010-12-23 01:28:17
@keith_mild

#twnovel 死体を溶かしたのは薬物ではなく、純粋な時間だった。時間を振りかけたのは愚かな人間であったが、人間を動かしたのは他ならぬ彼らの思考である。無論、その思考を刻んだのは人類の歴史そのものであり、歴史がこうまで続いてしまったのは甘やかした惑星の上っ面のせいなのであった。

2010-12-23 03:38:22
@QuaibunPocket

目が覚めると彼女はもういなかった。その温もりも香りも髪の毛の一本も残っていない。或いは初手から彼女はいなかったのかも知れない。「見たこともない綺麗な花が咲いていたら不吉な何かが埋まっているから」一隅の観葉植物の白い大輪を目に思い出し、鉢を掘り返すと玉茎があった。 #twnovel

2010-12-23 05:16:04
しーな @xsheeenax

好きになってごめんね。どうしたのと訊いてもしくしく泣くばかり。「好きじゃなくていいから嫌いにならないで。ふーぞくのおねーちゃんでいいからもう会えないって言わないで」昨日さよならをする夢を見たらしい。だから俺に抱かれながら泣いているのか。泣いてるとこ、初めて見た。 #twnovel

2010-12-23 05:31:22
@keith_mild

#twnovel 渡り鳥から風切羽を抜き、代わりに面倒をみようとしたら母に止められた。それでは渡り鳥として生きられなくなると言う。決して悪いようにはしないのに。母は鳥の一生を貴方が決めては駄目と諭した。でも、それなら何故。貴女は私が羽ばたくのを否定し、地に足を着けようとするのか。

2010-12-23 05:35:19
タイルネン @tairunen

ある数学者が50階建てのビルの屋上から飛び降りた。30年かけて取り組んできた定理が自分には解けないと悟ったのだ。落下中、様々なことが頭を駆け巡った。そしてちょうど10階辺りで定理の証明法を閃いた。彼は30年ぶりに笑い、地面に叩きつけられた #twnovel

2010-12-23 06:43:52
@kimiyuge

#twnovel 北校舎の3階から屋上に繋がる階段に君はいる。「屋上には憧れているけれどどうせ飛べやしないもの」と4段目から跳ねて僕の隣に着地する。「めくるめく生活はできなくても、私は段々と成長したいの」僕の手を取り2段目に座ってそうつぶやいた。階段クラブ、君の声を聞いていたよ。

2010-12-23 09:44:58
҉A҉ a.k.a ҉A҉ @4x1h170fh41vlvl

東京タワーを初めて見たのは小学校の修学旅行だった。テレビで見ていたけれど、実際に真下から見る東京タワーは想像以上で、今にもこっちに倒れてきそうだった。あれから15年。今でもたまに通勤路を変え、そばを通ってみるけれど、何だかすこし小さくなったような気がしてしまう。 #twnovel

2010-12-23 11:47:51
@SocratesInLove

入浴中に「ごめんね」とドアが開く。同棲してても礼儀があると抗議したら「カボチャを入れたいの」と彼女。冬至の日に湯船に入れると風邪をひかないんだと。それは柚子だと指摘する間もなく投げこまれたのは巨大なドテカボチャ。お湯は全部あふれて、僕は結局風邪をひいてしまった。 #twnovel

2010-12-23 13:14:34
無茶 @notastetea

ある双子の兄弟がいた。弟は天才同人作家として名を馳せていた。しかし、冬コミの直前に彼は連日連夜の徹夜が響き命を絶った。幼馴染が言う。「南をビッグサイトに連れてって」兄は奮起し、弟の描き掛けの作品を完結させ、冬コミに提出した。そして都条例に触れ、検挙された。 #twnovel

2010-12-23 13:54:40
液体酸素狐 @loxfox

#twnovel 餅の危険性が深刻な社会問題へと発展したため、全世界的に規制された。まず焼き餅が焼けなくなり、世界から嫉妬心が消えた。次に尻餅がつけなくなり、微々たるものだが怪我や事故が減った。最後に「棚から牡丹餅」と「絵に描いた餅」がなくなり、人類は全滅した。死因は餓死である。

2010-12-23 14:13:19
simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel 「二人がもし相互フォローの関係だったら、暴露されることはなかったと思う」「相互フォローだったら、DMのやり取りだけで済んだろうにね」「相互フォローしない著名人は痛い目に遭う、この不倫騒動が象徴してるね」彼らは一斉にツイートした。「相互フォローで広がる笑顔がある」

2010-12-23 14:26:22
Ak @Akinobu_E

#twnovel 右手の親指から、砂糖が出るようになった。人差し指は塩、中指は酢、薬指は醤油、小指は味噌。さしすせその順に出てくるらしい。ある日の帰宅途中、不審者に腕を掴まれてしまった。目潰しをしようとすると、塩と酢が勢いよく出て、不審者の目に直撃した。

2010-12-23 14:49:30
@keith_mild

#twnovel 開かずの扉の前に設置された絨毯の虚しさと、律儀に降り積もる埃の勤勉さ。錆び付いた鍵穴からは懐かしの悪臭が漂い、曇った窓から零れる光は床に撒かれたワインの染みだけを照らしている。振り子を失った大時計の脇、百年の間佇んでいた老執事が欠伸をして今日の終わりを告げた。

2010-12-23 16:17:28
すわぞ @suwazo

#twnovel 金次第で機械の体が手に入るようになった。ある格安の条件に俺は飛び付いた。契約書の中に「有事の際は全面的に協力する」なんて項目があったなんて全く気づかなかった。俺は今、巨大ロボの一部である。戦っている。相手が誰なのかも、自分がロボのどの部分なのかも知らないまま。

2010-12-23 16:27:12
@mumei7c

「日本で感染が広まったとしたら」対策室は重い空気が支配していた。「空から来るんだぞ、団体様こちらへどうぞって訳にはいかないんだ」一万を超えるワクチンは用意できない。「この間にも北から向かってますよ」時間は無かった。「だが、プレゼント全部消毒なんて出来ないだろう」 #twnovel

2010-12-23 20:12:31
@pg030712

田舎の祖母の家は不思議な匂いがした。夏と冬の2回、長い休みの合間に数日訪れるだけなのに何とも言えない郷愁が何故か鼻腔から訪れる。畳のイグサの匂いとは違うノルタルジックな香り。幼い頃からずっと不思議だった匂いの正体がお線香だと気付いたのは、祖母の一周忌のこと。 #twnovel

2010-12-23 21:10:38
@huxun_m

#twnovel 彼はなかなか怒ってくれない。麻婆豆腐を味噌汁の中に入れても、玄関に私の靴を敷き詰めて足の踏み場をなくしても、お風呂をめんつゆで満たしても、洗濯機にトイレットペーパーを12ロールぶちこんでも、怒ってくれない。私は彼の怒った顔が見たいのに。もう別れようかと思う。

2010-12-23 21:13:55
@shortxshort

係員が研究所のドアを開ける。ここに天才チンパンジーのモモちゃんがいるらしい。だが中は研究施設があるだけで、猿など一匹もいない。「霊長類の研究はどこですか」係員に訊くと後ろから声がした。「ここは素粒子の研究所ですよ」振り向くと、白衣を着たチンパンジーが入ってきた。 #twnovel

2010-12-23 22:20:46
@shin1960

#twnovel 都会で20年間務めた会社を辞めた。故郷の町で昔の彼女と再会した。小さなスナックを経営している。夫は3年まえに亡くなり、5歳になる男の子がいる。タクシーの運転手をしながら、休みの日には店に通った。ある晩、彼女は言った。うちの子にもそろそろサンタが必要だと思わない?

2010-12-23 22:51:01
140字物語 @shortshortshot

三十年戦争の終結後数ヶ月ぶりに地球に戻った私は宇宙軍に休暇の申請をして、バリアス人との会食に向かった。新兵器開発の裏話などで盛り上がったが、二時間程でお開きにする。「今日は特別なんだ。さっさと自宅へ帰らなきゃ」なぜかって?大晦日は紅白見て年越しそば食わなきゃな。 #twnovel

2010-12-23 23:05:45
夜間飛行惑星/実駒(・×・) @mikoma_nfp

#twnovel 楽しかったなあと思えば思うほどに、帰り道はうら寂しい。その場所にほんの少しではあるが魂を置くことになるせいだろうか。いつの日か最後のひとかけらを置き終えたときファンファーレが鳴り響き頭上のくす玉が割れて、紙吹雪の中で僕は【楽園】の在処を知るのだろうか。

2010-12-23 23:05:50