不知火に落ち度はない 34(第十七駆逐海賊団編 その2)

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不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あ、そだ。身体売るバイトはOK?」 「ブッブー!」 大きくバツの字作って上げます。 駄目に決まってるでしょこのばかちん。 「あはははははは。駄目だったかー」 「駄目にきまっとりやす。ちゃんとお給料だすからそっちで我慢しろ」 とんでもねえ小娘だ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:18:56
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「んー。そうだねえ、谷風さん一人だったなら、今ので堕ちたねえ」 うんうん、とうなずく谷風。 交渉に応じてくれる気ぃあったってことか。 「そのツラで人たらしだねえ、そうやって浜風もたらし込んだわけ?」 「ちゃいます。いろいろ成り行きあったんです」 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:21:37
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「あっと、そーだ聞きたいんだけどさ。万一浜風がこっち来るって言ったら止める?」 「んー。そうな。そりゃ引き留めるわ」 「浜風が出たいって意志持ってても?」 「おう。艤装は返してもらいたい。お前らが艦娘やめるのは止めないが、あれが無いとお国がヤバい」 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:30:39
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「抜けるんなら退職金貰った方がお得だろ。それに、お前らも返せば一応退職金とか、出すように交渉するぞ?」 「むー。そういう意味で聞きたかったんじゃないんだけどなー?」 どういう意味だよこのちんちくりんめ。 「まーいいやー。おおまかに事情はつかめたし」 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:33:37
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

うんうんと、谷風は頷いて言う。 「これが谷風一人だったら着いてってやったよ。『提督』は悪い人じゃあなさそうだからさ。これはホントで本音」 やっぱお仲間全員揃えて、話する必要あるか。 だったらパイプ役を頼むか。 時間は短いがチャンスはある。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:37:35
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「だからさ、兵頭提督」 「おう。頼みか? 聞ける範囲なら──」 「ごめんね」 その声と共に。 ぷす、ぷすと、小さな破裂音がした。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:40:04
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

やべ。もしかしてこれ── 足を見ると両股が赤く染まって穴が開いてやがる。 その部分が熱くて、冷たい。 力が徐々に抜けていく。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:42:41
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「最初から時間稼ぎが目的だったんだ」 谷風の言葉を聞きながら振り返れば、そこには。 銃を構えた青い髪の女が居る。 浦風である。 つまりあれだ。 谷風に気を取られてる隙に、俺は銃で足を撃たれたという間抜けな結果らしい。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:45:31
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「堪忍なぁ、てーとくさん。もう磯風は、艦娘以外の軍人は信用でけんのよ」 ゆるーい声で、サイレンサー付きの銃をスカートの中に隠し、浦風が言う。 「浜風が来てたら、違たかもねぇ?」 「ん、どうだろね」 たたた、と谷風が俺の横を通り過ぎて浦風に並ぶ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:53:56
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「とりあえず、浜風はその調子で大事にしてやってよ。頼んだよ、提督」 「せやね。お願いします、てーとくさん」 どうやらこいつらは俺が動けない、そう判断したらしい。 そう言い残して、背を向けた。 ったく、アレだなあ。 この状態をなんと言えばいいか。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:56:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

どうして頭をブチ抜いたわけでもねえのに、油断なんてすんのかね。 それを慢心と言うんですよ君達。 太ももは痛いが骨に弾丸は当たってねえ。 つまり──我慢すりゃ動けるんだぜ、これ。 俺は一歩踏み出し、タックルの態勢へ。 こうなりゃ、二人纏めて確保だ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 08:58:50
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

足は脳みそをブッ貫く激痛を吐き出し、しかし、同時に地面を蹴る。 周囲の景色が歪む会心の速度を出したタックルである。 間合いは一瞬で詰まり、手の当たる位置に二人の背がある。 さあ、いざ二名捕獲かんりょ── #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:00:32
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

次の瞬間。 俺は。 自分の景色が。 真横に流れているのを見た。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:02:30
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

バカな。 なんだこりゃ。 足下にスケートボードでも仕込まれたか? いや、違う。これは──。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:03:26
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

脇腹に刺さる足がある。 そしてその足をたどると──探していた最後の艦娘。 凛々しくも幼さを残した磯風の顔がそこにあった。 体格はおおよそ160cm未満。 どう見ても軽そうなこいつが、俺に跳び蹴りをくれて真横に飛ばしたのか。 ありえねえ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:06:31
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そのまま俺の身体は、マーケットの横にあるテントの柱にぶち当たる。 がは、と口から空気が漏れ──磯風は足を振り上げ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:08:11
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

顎。顎。脇腹、顎。 腹、腹、腹、脇腹。 顎、顎、顎、顎。 容赦なくテントの柱ごと折る勢いで、蹴り抜く。 ひょー、容赦ねえ-。 あとパンツ見えた。しましまだ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:10:38
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「二度と追ってくるな──浜風にもそう伝えろ」 最後は強烈な回し蹴りをテントの柱越しにお見舞いしてくれやがりました。 防御? する暇がねえ。 そのままテントの柱が折れて、目の前を白い布がばっさぁ、と覆いやがった。 やっべ、これじゃ立ててももう追えねえ。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:15:51
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

んじゃどうする? そうなあ、手始めにあれか。 「ちと休もう。流石にグロッキーすぎるわ」 磯風に徹底的にやられたダメージが抜けねえのな。 普通、あの程度なら跳ね返せるはずなんだが、想定の数倍の速度で蹴り抜いて来やがった。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:18:58
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

お、そうだそうだ。 ちと、長門に連絡しないと。 磯風の詳細をもっぺん送れとな。 ありゃデータがまるで違う。 そう、あれはまるで── #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:21:39
不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

送信完了、というメッセージと共に、俺は目を閉じ休むことにした。 そんなわけで今日はそれでおしまい。 しばらく休んだら、戻るから、またな。 #不知火に落ち度はない

2015-05-14 09:23:36

あとがき

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

はい。そんなわけで今回はこの辺でおしまい。 セブ追撃戦は兵頭さんの負けといった感じでしょうか。 結構余裕があったぽいですが、まあまあ重傷なんじゃないかしら。 ラッキーなのは、この後すぐ神通さん達が駆けつけてくれることかな? それでは次回に続きます。 したらな! #落ちぬい

2015-05-14 09:27:38

おまけ

第十七駆逐隊おまけ

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