- rainbow_solara
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1 長く一緒に居過ぎたせいだろうか。 言わなくても何となく察して行動する。 喧嘩もしない。 でも甘い言葉もない。 いつの間にかそんなことに慣れ切っていた。 不満や求めてることや言いたいこと。 一緒にいればいるほどどう伝えればいいかわからなくなってた。
2015-05-12 04:08:102 そんな些細なことの積み重ね。 見ないようにしていたぽっかり空いた胸の穴。 そこにするっと入り込んできた彼。 私に見せる顔も、他の人への笑顔も、テレビで見るアイドルの顔も、多分どれも嘘偽りない彼の姿。 あれはただの気紛れ。 そう分かっているけど、嬉しくて。
2015-05-12 04:08:143 私を犯す手。 嫌悪感しかなかったあの手に頭を撫でられてたとき、同時に穴の壁をカリッと引っかかれた。 こんなにも寂しく飢えていた自分を見つけてしまった。 体だけなら見ないフリできたのに。 彼は私をどこまで汚したら気が済むんだろう。
2015-05-12 04:08:194 「ほな後でな」 手を振って出て行く後姿を睨みつけた。 仕事で携わってる番組の飲み会。 長く続いてる番組だから、タレントもスタッフも仲が良くて。 私はまだ1年くらい。 それでも気さくに話しかけてくれるあの人たち。 気の置けない笑顔。 長く続けれたらいいな。 そう思う。
2015-05-12 17:55:155 宴もたけなわ。 明日は収録だし、もうそろそろお開きかも。 今のうちトイレ行っておこうっと。 用を足して扉を開ける。 『え?』 そこに安田さんが立ってた。 え、ここ女子トイレ…。 考える間もなく個室に押し込まれる。 『きゃっ!?』 後ろ手にかけられる鍵。
2015-05-12 17:55:456 口を手で押さえられて壁に押し付けられた。 パニックになって体を捩るけど体重をかけられて自由を奪われる。 目が合った。 ゾッとするくらい冷たい。 さっき柔らかい笑顔を見せていた彼とは、別人。 「声、出したらあかんよ?」 口元に笑みを浮かべて耳元で囁く。
2015-05-12 17:56:127 手が下半身に這った。 ゾクリと背筋を悪寒が走る。 恐怖? 力いっぱい体を押し返す。 その手を取られて頭上で纏められる。 乱暴に入ってくる指。 気持ち悪い。 でも手慣れた様子であっさりと私の弱いところを見つけられる。 口を押えて、思わずあげそうになった声を塞いだ。
2015-05-12 17:56:418 どうして? 何してるの? 何されてるの? 疑問と怖気と快感とが全部ごっちゃになって怒りに変わる。 どうしてこんなことされなきゃいけないの? 睨みつけても楽しそうに笑うばかりで。 体がビクビク跳ねる。 私の体なのに言うこと聞かない。 どうして? 悔しさで涙が零れた。
2015-05-12 17:57:489 多分ほんのわずかな時間。 でも永遠に終わらないかもって錯覚。 散々私を嬲って、好き勝手なこと言って出て行った。 息を吐いて呼吸を整える。 自分を取り戻す。 こんなこと何でもない。 自分に言い聞かせた。 携帯を開いた。 勝手に登録された番号を消す。 そのままメール。
2015-05-12 18:57:3210 今日行っていい? 明日早いんちゃうんかったん? いいの。泊めて。 あんな脅しに応える必要なんてない。 今日は自分とこに帰るつもりだったけど、やめた。 大好きな彼。 忌々しい感触を貴方の手で塗り替えて。 それで充分。
2015-05-12 18:57:5111 朝。 意味深な目で見て来るあの人。 いつもと変わらない風。 私の目には白々しく映る。 その裏にあるものを知ってる。 こんな男に屈したくない。 仕事だもん、ちゃんとする。 『おはようございます』 ほらね。 あんなんどうってことない。 笑うくらい楽勝。 女舐めんな。
2015-05-12 18:58:0012 「何で昨日来ーへんかったん?』 卑怯な手で呼び出されて、対峙して、ソファに押し付けられた。 怖くなんかない。 『何で行かなきゃならないんですか?』 犯されるために? 馬鹿じゃないの? 全部自分の思い通りになると思ってるんだろうか。 睨みつけると楽しそうに笑った。
2015-05-13 17:46:3213 「昨日中途半端だったやろ?」 全然。 彼の家で玄関に入ってすぐ、服を脱ぐのもそこそこに抱き合った。 この人が汚したそこを綺麗に舐め取ってもらった。 たくさん抱き合って、愛し合った。 大好きな彼と。 だからあんたのとこに行く理由もないしそんな暇もなかったの。
2015-05-13 17:46:4614 だから離せ! 暴れてみてもびくともしない。 男の人にしては小さな体かもしれないけど、服の上からでもわかる硬い体。 あっという間に服を剥ぎ取られる。 悔しい。 手足を振り回しても嘲笑われるだけ。 また指が入ってくる。 昨夜の感触を体が思い出す。
2015-05-13 17:46:5615 彼に拭ってもらったのに。 塗り替えてもらったのに。 目を閉じて彼の顔を、声を、体を思い出す。 でも私を犯すのは違う男の指。 明らかに女の体を知り尽くしてる指。 絶対的な経験値が違う。 それだけ。 受け入れてるわけじゃない。 そう言い聞かせながら時が過ぎるのを待つ。
2015-05-13 17:47:0816 女やなあ。 こんなちっちゃな突起と穴で何も出来んようになってまう。 かわいそ。 馬鹿にしたような声。 女女女。 そればっか。 顔目がけて思いっきり振り上げた手はあっさり捕まった。 アイドルだって? ふざけんな。
2015-05-13 17:52:1417 視界から笑顔が消えた。 ぬるっと柔らかい感触。 指と舌で激しくねっとりと責められて勝手に腰が揺れる。 与えられる快感に抗えず、せめてもと必死で声を押し殺す。 頭の中の彼の声と知らない指と舌。 全部ぐちゃぐちゃになって、あっという間に昇り詰めてしまった。 『ふぁ…ぁ…』
2015-05-13 17:52:2218 悔しいけど、動けなくなるほどの絶頂で。 キュンキュン甘く疼く下半身を隠すように足を擦り合わせて息を漏らした。 「気持ちよかった?」 目を閉じたまま首を振る。 「嘘やん」 「ほら、見て?」 「君のんで顔べったべたやで、俺」 うるさい。 よかったね。 もう黙れ。
2015-05-13 17:52:4319 「こっちも」 『んぐっ!?』 「どう?自分の味」 口の中に指を捻じ込まれて、広がる味に顔をしかめた。 どこまでも下衆い男。 「痛っ!」 思いっきり噛みついてやった。 いい気味。 何か言って、笑って、散々好き勝手やって部屋を出て行った。 ホッと息を吐く。
2015-05-13 17:53:0220 乱れた服を直す。 私が何したって言うの。 恥ずかしいとか何よりも、悔しさが勝る。 …。 とりあえずは誰にもバレなきゃいい。 弱みさえ握られてなければ何か方法もあるかもしれない。 でもリスクが大きすぎる。 あっちだってバレてもいいとか言ってたけど、そんなはずない。
2015-05-13 17:54:3921 自分からどうこうすることはないだろう。 そこまで馬鹿じゃないはず。 これから先、反撃するチャンスはある、はず。 色々考えて自分を立て直す。 仕事行かなきゃ。 濡れたソコが気持ち悪い。 まだ甘く疼く奥。 忌々しい自分の体に舌打ちをした。
2015-05-13 17:55:0522 携帯を開いた。 今日もそっちに帰る。 遅くなるかもよ? いいよ。会いたい。 珍しい。どしたん? だめ? ええけど。 体なんて洗えばおしまい。 3ヶ月もすれば細胞は全て入れ替わる。 私自身が屈しなければいい。 そう言い聞かせて部屋を出た。
2015-05-13 17:55:2423 その後は滞りなく、というか、あっち側のテンションが高くて押した。 チラチラこっちを見てるのが分かる。 イライラする。 でも顔には出さない。 「お疲れっしたー!」 頭上から声。 顔を上げると、横山さんと…あの男。 「また来月よろしくお願いします」 白々しい。
2015-05-13 17:55:3424 『…よろしくお願いします』 横山さんに笑顔で返した。 手が触れる。 体がビクッと震えた。 思わず見ると、にっこり笑って背中を向けた。 …。 名前を呼ばれて、頭を振って大声で返事をする。 あんな男のことなんて考えるだけ無駄。 …ほんっと、死ねばいいのに。
2015-05-13 17:55:4725 毎日忙しい。 走り回って、疲れて家に帰って寝て、たまに彼のとこに行って、また仕事。 忘れたわけじゃない。 忘れられるわけもない。 でも思い出したくもない。 考えないように毎日目の前のことだけこなしていたら、またあの日が来た。 朝から憂鬱で体が重い。
2015-05-14 17:26:48