第一部　最終章　終焉１　完

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蒼雪「…」 紅椿「どうしたの?珍しく本を読んでるなんて」 蒼雪「ん?あぁ、これか?見に覚えのないものだけどな。机に置いてあった」 紅椿「へぇ、どんな本？」 蒼雪「世界についてみたいだが、よくわからん」 紅椿「あらあら」 蒼雪「それが、所々欠けていてな」 紅椿「そうなの?」

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紅椿「6つの因子をもとに複数の力を持つものが産まれ、それぞれに役割をもつ。そのなかでも世界のあり方に関わるものが数人いる。神は、その誰かが暴走したときのためにある存在をふたつ作った。一人は……。もう一人は……肝心な所がないわね」 蒼雪「なんなんだろうな」

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サイレン「さぁ、いきましょうか」 リンケージ「そうかい」 サイレン「留守は任せたわよ」 リンケージ「わかった」 リンケージ「はじまるか、私も急がなくては」

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サイレン「幸福なのは～義務なんです」 蒼雪「なにをしてる?」 サイレン「あら～？私が気づかないなんてね」 蒼雪「ただ歌っているようには見えないな」 サイレン「なんだと思う?」 蒼雪「さぁな…少なくともいいことだとは思わんな」 サイレン「あらそう」

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サイレン「その刀で私を斬る?」 蒼雪「お前が害をなす存在ならな…あのときは不思議な存在だと思ったが」 サイレン「あら、覚えてたのね」 蒼雪「あんなことされて忘れるわけないだろ」 サイレン「まぁいいわ…遊んであげる(ﾁｬｷ)」 蒼雪「…剣を抜いたのなら覚悟はあるだろうな」

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サイレン「おいで…遊んであげる」 蒼雪「なめられたものだな」 サイレン「ふふふ」

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桜花「状況をまとめると、すでに街に広がっている」 扇舞「それもほぼ全員にな」 紅椿「そうね…一晩でおきた異変ね」 楓香「いったいどういうことかしら？」 胡蝶「……蒼雪…昨日の夜からいない」 桜花「いったいなにが起きているのかしら？」 紅椿「何か元凶みたいなのはいるでしょうね」

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桜花「共通して出て来るサイレンという人物」 紅椿「まるで宗教のようにあがめられてるわね」 扇舞「どう考えてもそいつが何かしたんだろうな」 紅椿「一晩で街を変えるなんてことがあるのかしらね」 楓香「蒼雪さんがいないのも心配です」 紅椿「ひとりで何か調べてるのかもね」

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桜花「とりあえずどうします？」 紅椿「私たちでなんとかするしかないわね」 アヤサキ「お、いたいた」 桜花「あなたは…」 アヤサキ「なぁ、お前らもサイレン様～とか言わないよな？」 紅椿「ということはあなたもこの異変に気づいてるのね？」 アヤサキ「アゲハとヒマワリも気づいてる」

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桜花「いったい何が起きてるのでしょうか？」 アヤサキ「恐らくだがあの電子の街みたいになってるんだろうな」 紅椿「電子の街ってあの？」 アヤサキ「そこもここと同じ状況だ。幸福でいなければ死あるのみのいかれた街だ」 胡蝶「……ねぇ」 桜花「どうしました？」 胡蝶「…あれ」

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サイレン「はいは～い。みなさ～ん幸福ですか～？」 桜花「あの方は…あの時の」 アヤサキ「相変わらずみたいだな」 サイレン「幸せですか？義務ですよ？今日はお知らせがありま～す。不幸な人がこの街にいます。みなさんを不幸にする危険な人です。ぜひ捕まえましょう」

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サイレン「その人はこの写真の人です」 桜花「蒼雪さん！？」 アヤサキ「あの時のゲームみたいなことしてやがる」 サイレン「捕まえてこの街の中心にある大きな建物に連れてきてくださいね～」 市民「探せ探せ～」 市民「不幸な奴を探すんだ」 桜花「……」 アヤサキ「とりあえず俺らも…」

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桜花「そうですね」 アヤサキ「俺はアゲハたちと合流してから探す。じゃな」 胡蝶「……光翼蝶…使う？」 紅椿「お願いね」 胡蝶「……わかった」 桜花「蒼雪さん…」 扇舞「あいつなら大丈夫だろ…」 楓香「でも心配ですね」 紅椿「まぁ、なんとでもなるでしょう」

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蒼雪「……ここは？」 鳳月「気付きました？」 蒼雪「お前は…鳳月か」 鳳月「傷は手当しときましたよ」 蒼雪「…すまない」 鳳月「今起きてることはいったい？」 蒼雪「…今どうなってる？」 鳳月「街の市民の様子が変わってます。サイレンという存在を崇拝し、今はあなたを捕えようと」

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蒼雪「そうか…サイレンを…止めなくては」 鳳月「いったい何があったのですか？」 蒼雪「あいつが何かしてたのを見つけてな。止めようとしたがごらんの有様だ。なんとか捕まるのは避け、道端で倒れたんだろうな」 鳳月「なるほど…とりあえずここにいれば安心ですので」 蒼雪「すまないな…」

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蒼雪「……」 鳳月「剣で負けたことを気にしてます？」 蒼雪「まぁ、それなりにな」 鳳月「…相手はいったい何者なんですかね」 蒼雪「さしずめ神だったりしてな」 鳳月「神ですか…まぁ、ある意味それに等しい相手ですね」 蒼雪「……」 鳳月「どうしました？」 蒼雪「覚えてるか？妖刀を」

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鳳月「忘れるわけないじゃないですか」 蒼雪「あの時、何もないところを斬る力があるのは知ってるが、サイレンもそれをやった。どう思う？」 鳳月「その力を持ってるってことですよね？」 蒼雪「俺にもある力があるが、こういう力を複数の人が持つと思うか？」 鳳月「ないでしょうね」

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蒼雪「もしかしたら、とんでもない力を持つ相手なのかもな…これは」 鳳月「でしょうね」 雨「戻ったよ…おっと目が覚めたんだ」 鳳月「どうでした？」 雨「大楼閣にいるね」 鳳月「サイレンはやはりそこに…」 蒼雪「どうする気だ？」 鳳月「……殺すことが出来るなら、いいんですけどね」

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蒼雪「……」 鳳月「とりあえず、居場所はわかりました」 蒼雪「全員で殴り込みでもするか？」 鳳月「倒すならそれもありですね」 蒼雪「どうしたものか」 雨「おっとお客さん…というよりお迎えみたいよ」 桜花「お邪魔します」 紅椿「蒼雪いるんでしょ？」 蒼雪「みんな来たか」

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アヤサキ「邪魔するぜ」 蒼雪「なんだお前たちもいるのか」 アゲハ「戦力は多い方がいいでしょ？」 蒼雪「まぁそうだな」 桜花「お怪我は？」 蒼雪「まぁある程度はよくなった」 鳳月「これからどうします？」 アヤサキ「全員で殴り込みといこうぜ」 ヒマワリ「あんたそればっかりね」

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蒼雪「だが、やるしかないのも事実だな」 鳳月「いきましょうか」 アゲハ「男ってのは」 桜花「胡蝶さんは紅椿さんと先に戻っててくださいね」 胡蝶「……がんばってね」 扇舞「じゃあいこうぜ」 蒼雪「俺が戦った時に感じたことを歩きながら話すから…全員頭に叩き込んでおけよ」

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サイレン「そろい踏みね」 蒼雪「まぁな」 アヤサキ「俺たちの目的くらいわかってんだろ？」 サイレン「どうして受け入れないの？」 蒼雪「幸せなんて与えられるものじゃないからだ」 桜花「ささやかでも、どんなに小さくても、私たちは自分でつかみ取ります」 サイレン「そう…」

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サイレン「あなたたちはそうかもしれないわね。でも、他の人はどうなのかしら？」 蒼雪「たとえそうだとしても、俺たちはお前なんかに頼らない」 サイレン「なら、力を示してごらんなさい」 アヤサキ「はっもとから俺たちはそのつもりだぜ」 桜花「仕方ないですわね」 蒼雪「いくぞ」

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リンケージ「…？！……歯車が壊れている。まさか…」 パンジー「リンケージ？」 リンケージ「……少し出かけて来る」 パンジー「あ、うん」 リンケージ「私だ…少しことを急いでくれないか？」 ？「急げってまだ見つからないんだけど」 リンケージ「……」 ？「まぁなるべくがんばるよ」

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サイレン「どうして誰もわからないのかしら…幸福でいることが、一番の幸せじゃない。私の役目はみんなを幸せにすることだから、こんなにもがんばっているのに……どうして誰もわからないのかしらね？……汚れちゃったし、戻って洗い流さないとね～うふふ」