不知火に落ち度はない　37（不知火）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

さて、どうしましょ。この子のいわゆる困った知識をどう修正したらいいのでしょう。 こいつ一回体験させないことにゃ、だいたい修正が効かないからな。 案外石頭で、融通が利かない。 Wikiとか見せても納得するまい。 不知火の中で、ニンジンは苺と同じなのだ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「不知火。最近時間あるよな？」 「はい。おかげさまで訓練以外の時間は休憩に割り当てられています」 「どんぐらい？」 「食事休憩に1時間貰える程度には」 神通教室は、その辺しっかり休ませるのか。 いい先生である。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「また、朝練の後も、自由時間がありますので」 「何時おき？」 「場合によっては5時から」 夜間訓練もやんのかね、もしかして。 ただ、やらせるときはフル、休憩は取れ、か。 俺も参加しようかなぁ。 神通・ザ・ブートキャンプ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「うし。じゃあ、不知火。新しい任務を追加する」 「どんなことでしょうか？」 「ミッションとしては結構難易度が高い。これまでの任務より遙かにな」 「そこまでですか。チームは？」 「お前一人だ。単独のミッションである」 目つきが変わる。 兵士の目になる。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

いや、ふっつーにくだらない話ではあるが。 不知火にとっちゃ、かなりの難易度だろう。 「来週までに、お前に土地と種を与える」 「種？」 「ああ。未来とも言う」 「未来、ですか」 如雨露を持ちながら考える。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「もしや」 「そう、それだ」 気づいたらしい。 察しがいいのは大事である。 「しかし、それは法に触れるのでは？」 「いや、なんでさ」 「煙草の密造は、法律で禁止されています」 ちゃうねん。 そんなのやれっつってねえよ！！ #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「来週までに、お前の土地と種用意すっから。そっから、お前はその種から出る植物を、見事成長させてみなさい」 「マリファナですか？」 「ちーがーいーまーす」 どんだけ俺のことを違法植物栽培しそうだと思ってんの君。 やったことあるけどさ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「植物は種受領後調べて育成するように」 「了解です、司令」 さて、と。 ニンジンの種買ってこねえとなあ。 あと腐葉土。 場所は雪風んとこの近くでいいか。 「では、パンジーの水やりに戻りなさい。俺これから御飯にしますので」 「了解です」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そう言えば司令」 「なにかね？」 「その畑ですが、私用のものも植えていいですか？」 「ん。いいけど、何植えるの？」 「朝顔と、ヒマワリを」 は？ え？ 「あと、薔薇も植えてみたいです」 「……んー。じゃあ、朝顔とヒマワリ追加。薔薇は難しいぞ」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

薔薇は結構難しい。 俺の母親の方が苦労してた記憶がある。 ヒマワリ、朝顔は結構簡単なんだけどな。 何？ 不知火ガーデニングに興味あったの？ 「不知火さ。お前──」 「はい。何でしょう」 「意外に女の子してるのな」 「そうですか？」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

うん、わりと。如雨露持ってるだけで案外女の子。 だがしかし、一言忠告はしておいてやりたい。 「花とかに水やるときゃ麦わら被れ。今度やるから」 「まだ平気ですが」 「最近の日光侮るな。すぐやられんぞ」 これから先だと、わりとな。 畑の輻射熱もすごいし。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「貰えるなら貰いますが。司令、お忘れですか？」 「あにさ」 「帽子はすでに、持ってます」 あ、そいやそうね。 お前デートんとき、買ってたもんね。 じゃ、問題なしなし。 「楽しみにしますので」 「おう？ 畑？」 「それと麦わら帽子」 「欲しいのか」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「オーケーオーケー。じゃ、用意しといてやっから」 普通に買ってやってもいいんだが。 手編みでもしてやっかね。 近くに幸い材料売ってるとこあるし。 「了解です。あと司令──いいのでしょうか」 「何がだ？」 「卵チャーハン」 あ。 しまった。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

振り返ってみると、卵チャーハンの上に「品切れ」の文字が書かれた。 ものの見事に売り切れになった瞬間である。 こればっかは命令でもどうにもならん。 俺が卵を買いにいけば別だが、その為に走って行くのは問題ある。 「あー、諦めるか」 「司令のミスですね」 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「そうな。だが、ま、いいんじゃねえか？」 「そうですか」 おう。如雨露持ってる不知火は、その程度に価値がある。 そうな、エプロンつけて花屋でも立ってみるか？ 無愛想さがだいぶ減ってるから、それなりに売れると思うぞ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「んじゃ、頑張ってくれい。俺はカレーでも食うからさ」 「夕方のメニューだと思いますが」 「料理長に土下座すりゃなんとかなる」 そうして俺は、食堂へと入っていくのだった。 実際やってみて、だめだったけどさ。 ただのチャーハンになったけどさ。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そんなわけで、今日はそんな日。 不知火の水やりを見た日。 新しい畑を作ってやろうと決めた日である。 んじゃ、ま、今日はこの辺で。 また今度暇な時にな。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

はい。そんなわけでおしまいです。 司令の日常はだいたいこんな感じでうろうろしては、色々あげる仕事なのかしら。 平常運転時の駄提督は、基地の中をぶらつくおじさんのようです。 じゃ、おまけ行ってみよう。 #落ちぬい

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「兵頭っちおっそーい。なにしてたのかなー？」 「おう。畑見に行ってた」 「あにしてんの、提督じゃん」 「いいじゃん、畑ぐらいさ」 「マリファナでも植えてんの？」 「なんでお前らすぐそうなの？」 #落ちぬい #おまけ

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「植えてませんから、ンな法律に引っかかる薬物」 「そうなの？ 顔からして、やってんなーって前から思ってたけど」 「やめてくれません。猛烈な風評被害」 「あとは珈琲植えてそう」 「ブラジルかよ！！！」 #落ちぬい #おまけ

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「で──申請書に腐葉土とか書いてるの何？」 「畑を増やす気なんだけどさ。どうよ」 「へー、ふー、ほーん。まあ理由付けはしとくけどさー」 「サンキュー北上」 「誰殺したの？ 誰と埋めるの？」 「してねえよ！？」 「やっぱ浜風？」 「何でだよ！？」 #落ちぬい #おまけ

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

海ぼうずで一番プライベートでも比較的ダメじゃない人？ うーん。海ぼうず特別枠のイルカ的な提督かしら。 いわゆる普通の感性をした、普通の人です。 だが、そこに邪悪なあきつ丸がいるだけです。 #落ちぬい