死ぬのがこわくなくなる話 その9 「SHINE会員」

渡辺浩弐さん(@kozysan)のTwitter連載『死ぬのがこわくなくなる話』のまとめ。その10で完結します。 まとめのまとめ: http://togetter.com/li/821514 『死ぬのがこわくなくなる話』は書籍化もされています。本ならではの見せ方がされており、おすすめです。 続きを読む
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渡辺浩弐 @kozysan

>私は、自分で自分を殺すように会に依頼していたのです。

2011-11-08 00:15:10
渡辺浩弐 @kozysan

>SHINEの規約では入会後2年が経過すれば会員はいつでも、死ぬことができます。

2011-11-08 00:15:21
渡辺浩弐 @kozysan

>万一、その時点で死に方がわからなかったり、こわくなったりしたら、会が殺してくれることになっているのです。

2011-11-08 00:15:29
渡辺浩弐 @kozysan

>入会した時は、きっと、いったん死ぬことなどこわくはなくなっていると信じていたんですね。

2011-11-08 00:15:36
渡辺浩弐 @kozysan

>自殺にみせかけた殺し方が予定されています。そのために、私の直筆の遺書を、渡してしまっています。

2011-11-08 00:15:49
渡辺浩弐 @kozysan

>ところがなんということでしょう。私は、やっぱりこわいんです。今の私は、死にたくないのです。死んで、未来に蘇る、それが信じられなくなっているわけではありませんが。

2011-11-08 00:16:31
渡辺浩弐 @kozysan

>この契約は、キャンセルできません。SHINEにとっては、私は殺せば生命保険料が満額手に入る存在です。

2011-11-08 00:17:17
渡辺浩弐 @kozysan

>そうです、今、私は狙われているんです。

2011-11-08 00:17:26
渡辺浩弐 @kozysan

>アーカイブに蓄積された私のデータは、私の生活パターンそのものです。つまり私は、私をスムーズに殺害するためのデータを、SHINEに提供しているということなんです。各種カードや登録サイトのパスワード、合い鍵、日課や癖など、など。これらを使えば、私を殺すことは簡単です。

2011-11-08 00:17:37
渡辺浩弐 @kozysan

>既に、身近なところで不審な出来事が次々と起きています。

2011-11-08 00:18:09
渡辺浩弐 @kozysan

>例えばこんなことがありました。母親がキッチンに用意してくれていた昼食のサンドイッチを自室に持ち込み食べている時でした。何個目かを口にした瞬間、私は吐き出しました。ピーナッツバターのサンドが、紛れ込んでいたのです。

2011-11-08 00:35:29
渡辺浩弐 @kozysan

>私はひどいピーナッツアレルギーで、以前、たった一かけらを口にしただけで呼吸困難になり、救急車のお世話になったことがありました。その時の記憶が鮮明だったため、独特の香ばしさに気付き、飲み下さなかったことが幸いでした。

2011-11-08 00:35:41
渡辺浩弐 @kozysan

>口に入れただけで手足に少し発疹が出ていました。ひどいアレルギー体質の人にとってアレルギー物質は猛毒と同じです。飲み込んだらすぐにショック症状が始まります。全身が腫れ上がり、そして食道や気管が詰まり、呼吸が困難になります。周囲に誰もいなかったら、そのまま死に至る可能性もあります。

2011-11-08 00:36:19
渡辺浩弐 @kozysan

>それにしても、母親が作ってくれたサンドイッチです。当然ですが母は私の体質を知っています。母は念のためこの家の中にナッツ類を置かないほど気を遣ってくれていたくらいです。こんな間違いをするはずがないのです。

2011-11-08 00:36:34
渡辺浩弐 @kozysan

>母もずいぶんな歳ですし、私はこれからは食べものについては自分自身で、くれぐれも注意しておかなくてはならないと肝に銘じました。今後のために、このことを日記に書いておこうと思いました。日記帳を出し、その日のページを開きました。

2011-11-08 00:36:53
渡辺浩弐 @kozysan

>そこで、机の上に残ったピーナッツバターサンドが目にとまりました。アレルギーの人ならわかると思いますが、いったん症状が出てしまうと過敏になって、近くに置いてあるだけで気分が悪くなるものです。そっと包んで、部屋を出ました。その時、違和感がありました。

2011-11-08 00:37:08
渡辺浩弐 @kozysan

>部屋に内鍵がかかっていたんです。私は普段そんなことをしません。しかし、私がやったとしか考えられません。内鍵をかけられるのは、私だけですから。後から考えると、そのサンドイッチを食べようとしていた時、部屋は完全密室になっていたんです。

2011-11-08 00:37:19
渡辺浩弐 @kozysan

>ぞっとするようなことですが、そのときはことの重大さに気づかず、私は台所でサンドイッチを捨てると部屋に戻りました。その間、せいぜい数分だったと思います。

2011-11-08 00:37:38
渡辺浩弐 @kozysan

>机に戻り、日記帳を開きました……今思うとそれもおかしなことです……開いてから、部屋を出たはずだったからです。

2011-11-08 00:43:16
渡辺浩弐 @kozysan

>しかしそれ以上のことがあって、私は叫びました。そのページ、日記のその日のページ、一面に、べったりと、ピーナッツバターが塗りつけてあったのです。

2011-11-08 00:43:36
渡辺浩弐 @kozysan

>私は理解しました。彼らは、私を簡単に殺すことができます。

2011-11-08 00:43:44
渡辺浩弐 @kozysan

>その上で、私に自殺を迫っているのです。

2011-11-08 00:43:52
渡辺浩弐 @kozysan

>私は自殺をしていません、つまりいつ彼らに殺されるか、わからないんです。

2011-11-08 00:44:21
渡辺浩弐 @kozysan

>助けてください。私は殺されます。

2011-11-08 00:44:29

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