#艦娘鎮守府２【艦これSS】夕雲型着任編

紅吏珠名 @chrishna_c2

梅雨時の出撃なんて、雨に潮に飛沫で制服が濡れたり透けたりするだろう？　なのに艦娘の連中からそっち方面の苦情が上がってこないのが不思議だよな。いや、いいけどさ #艦娘鎮守府

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「よっ、夕雲型駆逐艦16番艦の朝霜。いつでも出撃できるぜ！」 「夕雲型17番艦……早霜。着任しました……ふふっ」 「19番艦の清霜。いつか戦艦になりたいな！」 まぁた、個性派ぞろいの駆逐艦がセットでやってきやがったな。 #艦娘鎮守府

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さっそく新入りどもに握手をしようと執務室のデスクを立ちあがり、前に出た俺。 「おおっと悪い」 はずみで足を踏み外し、うっかり壁に手をついてしまう。ちょうど朝霜の直上から覆いかぶさる形になってしまった。 そしたらなんか朝霜の顔がなんか赤くなっていた。 #艦娘鎮守府

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「な、なななな……ッ！　さりげなく壁ドンしてんじゃねーよ。びっくりするだろうが！」 「おぉっと、それはすまなかったな……と見せかけて壁ドン」 「ギャーッ！」 「あ？　俺、なんかしたか？」 「……ぶッ殺ス」 #艦娘鎮守府

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「初対面の女の子にいきなり壁ドンはねぇだろ壁ドンはよ」 「すまんすまん」 「まだ心臓がバクバクいってやがるぜ……とまぁ、かたっ苦しい挨拶はここまでだ」 さっきから機嫌悪そうにしてるな朝霜。ひょっとしてあの日か？ 「違げぇよ！！！」 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

こういう反応ができるあたり、こいつも一応女の子ってことらしい。ある意味安心した。 そんな朝霜が、ずずぃっと俺の目の前にやってきて。 「ところでさ、提督にはその、もう心に決めた彼女とかいるのか？」 なんだ藪から棒に。ずいぶんマセたことを訊いてくるじゃないか。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

まぁ、変に勘ぐられるのも面倒なんで「そんな奇特な女がいたら、是非ともお願いしたいところだ」とでも答えておく。 「……そっかぁ」 なんかほっとしたような、残念なんだか分からない顔してる。 つか、上官に面と向かってお前よばわりとは、なかなか躾甲斐のあるやつだな。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

「そうだなあ……こんなのはどうだ」 なにをトチ狂ったか朝霜のやつ、自分のスカートの裾を持ってヒラヒラさせてきやがった。スカートの中身が見えそうで見えない。ギリギリの線をついてきやがる。 「どうだ触りたいだろ？　確かめたいだろ？　しっとりシルクの触り心地だぞ？」 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

年頃に関係なく興味が行ってしまうのが男の本能だからな。 「こっちの清霜だって、私には一歩及ばないが、まぁまぁだったな」 「お前、まさか実の妹のを確かめたのか？」 「当たり前だろう？　妹の成長を確かめるのは姉の特権だからな」 ちくしょう。なんか無性に悔しいぞ。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

「ちなみに早霜のもとっくの昔にチェック済みだ」 「な、なんだとぉおおお！」 「はーっはっは！　もっと悔しがれ！」 #艦娘鎮守府

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「まぁいいや。提督に決まった相手がいないってんなら、なにも遠慮はいらねーよな」 「あ？　遠慮だと？」 その一瞬の間が命取りだった。瞬きの合間に朝霜の姿がふっと消え――突然、目の前が真っ暗になる。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

すべすべのストッキング越しに漂うむわっと汗臭いにおい、ホールド感とともに伝わる柔らかな感触――太もも？ そこまで考えたところで、俺の身体がふわり浮き上がった。 「おい。おいおいおい……」 そのまま心地よい圧迫感と頭部への衝撃をともないながら、世界は半転した。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

……。 あれからしばらくの間、どうやら俺は気を失っていたらしい。 「……おっ起きたか。おっす提督。今日はいい朝だなっ……てへっ★」 朝霜の奴。妙にかわいい笑顔をしてやがった。 つか、さっきから頭がガンガンする。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

俺の身に何が起きたのか思い出そうとしていると、朝霜のやつ。妙にもじもじしながらスカートをひらひらさせて。 「ムレムレのストッキングの匂いだからな。男はみんなこういうのが大好きなんだろ？　メロメロなんだろ？　一生の思い出にして、はぁはぁしてくれてもいいんだぜ？」 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

あー……。 思い出した。こいつがいきなりフランケンシュタイナー決めてきやがったからだ。 「つーかションベン臭かった」 「やっぱお前ぶっ殺す！」 #艦娘鎮守府

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なんつー問題児だ。 本来なら上官反逆罪で懲罰送りにされても文句が言えないところだぞ。まったく。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

「あーあー、そういえばそうだったな。いきなりお前の太腿に挟まれて、夕雲型標準装備のストッキング越しにちらっと見えた、くまさんパンツ」 「……見たな？」 「あ？　何を見たって言うんだ」 「お前は乙女の秘密を知っちまった。生かして帰すわけにはいかねぇな？」 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

「お前が乙女ってガラかよ。それにそっちから技を仕掛けてきたんだろうが」 「問答無用だぜ！」 口論の暇もなく足払いをかけられ、右腕を取られ、腕ひしぎを極められてしまう。 なんてこった。こいつ柔術もできるらしいぞ。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

「くっくっく。どーだ。まいったか」 「ぐおおおお……」 俺の右腕に、朝霜のロリボディが惜しみなく押しつけられる。やめろ朝霜。着任早々、俺をロリコンに洗脳するつもりか。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

「いいないいな。清霜も、朝霜お姉ちゃんに混ざりたい！」 「よしきた。清霜お前はこいつの左腕をふんじばれ！」 「うん。わかった！」 うわ馬鹿お前ら束になってかかってくるんじゃねぇ！ #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

……。 結果。俺の右腕は朝霜によって腕ひしぎされている。左腕の方は清霜のやつが担当だ。こいつの場合は見様見真似だろうが、腕をピクリとも動かせねえ。 左右から完璧にホールドされてて、身動きがまるで取れない状態だ。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

「早霜、はやくこいつらを止めてくれ」 「那智さん直伝……ひざまくらの術……ぽっ」 だが早霜もなにをトチ狂ったか、俺のそばにやってきたかと思えば、俺の頭を両手で抱え込み、そのまま膝枕を仕掛けてきやがった。 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

よく、女同士のカップルの中に男が混ざるのは気に入らねぇという奴がいるが、そこに女が混ざる分には誰も文句は言わねぇもんだよな。 「言葉では嫌がってるくせに、身体は素直なもんじゃないか提督」 「うるせえ。生理現象にとやかく言ってんじゃねぇ」 #艦娘鎮守府

紅吏珠名 @chrishna_c2

なんだよこのハニートラップ。提督である俺を亡き者にするための陰謀か何かか。 新入りども着任の挨拶から一転、腕ひしぎと膝枕で身体をガッチリホールドされて。 かと思えば、 「も、もうダメ……漏れちゃうよぅ」 清霜の野郎がとんでもねぇ爆弾発言をぶっ放してきやがった。 #艦娘鎮守府