…………寝坊した。 少し、隈の浮かんだ顔で広間の扉を押し開く。 今日は庭にいく時間も、お風呂に取られて……どうせ寝付けないなら昨日のうちに入っとけば良かった。 「あれ?一番乗りだ。」 他の人たちも、夜更かししたのだろうか? ほかほかと出来たての料理達が寂しそうに並んで
2015-05-21 19:04:23思わず、唾をゴクンと飲み込む。 この三日間で随分舌が肥えたきがする。 吸い込まれるように、テーブルへ向かい 手始めにふあっふあなオムレツに半透明のソースがかかったものを大きなスプーンで掬って自分の分のお皿に乗せる。 おーー、この間の四角い白いのに負けない柔らかさだ。
2015-05-21 19:07:24花の香りに包まれて目が覚めた。反射的に時計を見て、たった二日で遅刻の確認癖がついてるなと苦笑いしつつ、とりあえずまだ遅れた時間ではないと確かめる。 腕はやわらかなミューシャ姫の身体に絡めたままだった。起こさないようにできるだけそうっと外して、ベッドから抜け出す。
2015-05-21 22:14:24結局今日も早起きだ。その結果、大きな欠伸をしながらぺたぺたと廊下を歩く。素足にひやりとした感覚が気持ちいい。 向かった先は広間――ではなく、昨晩、迎えに行った王女の部屋。 コンコン。と軽く叩いて、反応を待つ。 約束などしていないから、居なければそれまでという、暢気さで。
2015-05-21 23:43:36抱いていたものが無くなると手探るようにもそもそ手を動かす、しかし目覚めない。相手の草の香りがたっぷりするベッドで眠っていた。そして揺らされるとゆっくりとそのまぶたを開いた「…あさ?んーでもまだ寝るの。」ミューシャは寝ぼけながらそう言うとシエロをベッドに引きずり込もうとします。
2015-05-22 02:50:46昨日と同じ様に、鈴の音で目が覚めた。 三日目、婚礼祭最終日。 今日が終われば一先ず国に帰れる。たった三日離れただけでも酷く懐かしい、水と岩の故郷へ。 「…帰る、」 親族は、国民は、何と言うだろう。期待していた役目を果たせなくなった皇女を罵るだろうか。
2015-05-22 03:23:22ちりん、と澄んだ響きで寝惚けた思考が引き寄せられる。 「大丈夫」 鳥達の事は、後でじっくりと考えよう。 まずは、起きなければ。 昨日と同じ様に握って眠った鈴が、勇気付ける様に手中を転がった。
2015-05-22 03:23:44禊の後、手首に鈴を結んで部屋を出る。 ホールに向かった時刻はそう早くなかった筈だ。しかしながら扉を開けた時視界に入ったのは一人だけ。使用人ではないと一目で判る小柄な姿に、声を掛けるかどうか少しだけ迷って。
2015-05-22 03:27:58ぎゅう、と掌でお守りを握り込む。 「――おはようございます、フリダ様」 大きな二つの黄金が振り返っても逸らさない様に、昨日より幾許か声に力を込めて。
2015-05-22 03:28:29「うわっわっわ」 目を開けたから大丈夫だろうと身を引こうとしていたシエロは、不意に引っ張られた結果、顔をミューシャ姫の豊かな胸にダイブさせることになった。とっさに手をついたのでそれほどの衝撃にはなっていないだろうが、そりゃもう見事にたゆん、とダイブだ。
2015-05-22 03:36:31――このままなら二度寝してもいいかもぉ。 悪魔の囁きをきっかり三秒考えてから、顔を上げた。非常においしい状況ではあったが、これ以上のむらむらを止める自信は残念ながらなかったのである。 「ごめん、バランス崩しちゃったぁ。ほら起きてぇ、おいしいごはん食べられないよぉ?」
2015-05-22 03:36:34ぐいーと伸びをして、見た目は男物と全く変わらない、寸法からして特注の白いシャツに袖を通す。 ノックの音がした。
2015-05-22 09:41:06扉が開く。諸島の王子のすぐ前に、背広のボタンを留めてないだけで、ほかは普段と変わらぬムロミがいた。 「おはよう。すまないが、髪に美容向きの薬を通して、あと角をちょっとだけ磨かねばならん。五分だけ待ってくれ」 それだけ言ってバタンと扉を閉じた。
2015-05-22 09:41:16それから四分過ぎ、 「では向かおうか」 何が変わったのかいまいちよく分からない程度の工程を経て、王女が一言。 「靴だ」 片手にはエッラにも合うであろう大判の、今でいうスリッパ状、の革靴。 「早く行こう。広間に行けば他の参加者が出来てるかもしれん」 恋話(そういうの)には興味が強い
2015-05-22 09:41:24翼の内に、暖かいものがある。微睡みながら、もぞりと動いてそれを確かめる。薄目を開ければ、窓から差す陽にきらきらと銀色が輝いている。なんて幸せなんだろう。と思う。こんなに幸せなことがあるなんて、知らなかった。 「レユアン」 銀色に唇を寄せて、寝惚けたような掠れた声で呼びかける。
2015-05-22 09:53:35「──む」 くあ、と欠伸を零す。寝起きは余り良くないもので、ゆっくりとまばたきを繰り返してから、「じぇらーる……?」と名を呟き。 「…………朝、」 くあ、とまた欠伸を零す。瑠璃の頬を撫ぜようと、片手を伸ばし。 「おはよう」 と、笑みと共に零した。
2015-05-22 10:16:52頬を撫でられ笑みを受ければ、気持ちよさそうにまだ眠い目を細める。 「おはよう」 返した言葉とは裏腹に、細めた目がうとうとと閉じようとする。閉じてしまう。 「起きなきゃね」 べつに、起きるのが嫌なわけでもないのに、無意識がそれを拒んで眠りに戻ろうとしている。
2015-05-22 10:59:01ぱたぱたと、珍しく足音を立てて廊下を駆ける。 それと並ぶように鈴の音がちりりちりりと忙しなく鳴った。 ――遅れた! 遅刻だ! 起きた時にはすでにしっかりと太陽が昇り切っていて。 時計を見て大慌てで身支度をしたせいか、後頭部におかしな寝癖がついたままである。
2015-05-22 11:54:05扉の前で足を止めて深呼吸。息を整える。 変わらぬふわふわとした暗色の舞台衣装。 尾には手放した鈴の代わりに、濃紺のリボンをひとつ括りつけた。 よし、と意気込んで扉を開ける。 「すみません、遅れました――と」 中を見て首を傾げる。 見渡しても、人影は二つだけで。
2015-05-22 11:54:42「おはようございます……まだお二人だけですか?」 挨拶をしながら、昨晩渡した鈴がイゼルの手首についてるのを見て。 「ああ、付けてきてくれたんですね。有難うございます」 嬉しそうに笑って、尻尾が揺れる。 それについたリボンと、その色には、気付くだろうか。
2015-05-22 11:55:07「起きねばな、」 くあ、とまた大きな欠伸一つ。ゆるりと上体を起こせば、髪を手櫛で整えて、まだ眠たげな瑠璃の頭を柔らかく撫ぜた。 「今日は、皆で過ごす最後の一日だ。ほら、ジェラール。皆が待ちくたびれてしまう前に、行こう?」 呼び掛け、首を傾ぐ。言ってる当人もまだ眠たげではあるが。
2015-05-22 12:09:25「きゃあ。」思わず上がる悲鳴、まさか胸に落ちてくるとは思わなかった。そのまま柔らかな胸で相手の頭を受け止め手を伸ばすともふもふの髪を触る。「んー…起きるわ、ご飯食べたい。」ふわぁっとのんきにあくびをしながら目を覚ましベッドを降りると下着姿を晒した。
2015-05-22 13:19:43目の保養だなぁ、……むしろ毒かなぁ。 呑気なことを考えつつ、はたと気づく。 「そういえば、ドレスはどうするぅ?同じの着るわけにはいかないよねぇ」 貸せるようなサイズのものはさすがにない。とりあえずとばかりになぜか例のもふもふ襟巻きを差し出して。
2015-05-22 17:38:01「おはよ……お、おう?」 女性の支度は時間がかかるくらいは分かるらしく、頷き待つこと数分。 出てきた姿に、そして差し出されたものに一瞬首をかしげた後。 「へえ、これ便利だな!室内で履く用なのか?これなら足が冷たくない、ありがとうな」 ぱぁ、と変わる表情。いそいそと嬉しげに履いて。
2015-05-22 18:28:27