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あきつ天龍帝都奇譚
@akitsutenryu
「よっしゃあ!」 天龍は高らかに声を上げると、すぐさまあきの元へと駆け寄った。 「特徴は…よし、合ってるな。 こいつで間違いはない」 「おっとと…なにやら大人しい猫でありますね」 「観念したのかね? さて、これで依頼は無事達成か」 「あとは吹雪殿へと届けるだけでありますね」
2015-03-23 01:21:04
あきつ天龍帝都奇譚
@akitsutenryu
「貴様ら、何をしている」 猫を無事保護した二人の前に、黒い三つ揃えを着こなした初老の男性が現れた。 その声は低く、冷たく、殺気をこれでもかとほとばしらせていた。
2015-03-23 01:25:17
あきつ天龍帝都奇譚
@akitsutenryu
「だ、誰でありますか!?」 「誰でも構わんさ。 貴様ら、その猫に何をしていた。 答えろ」 懐から何かを取り出し、二人へと構えた。 拳銃だ。 「おいおっさん、急に現れといて随分物騒なもん見せてくれるじゃねぇか」 「……」 「だんまりかい?」 「……」 「…相手になるぜ」
2015-03-23 01:27:50
あきつ天龍帝都奇譚
@akitsutenryu
天龍はそう言うと、腰をおろし拳を左右非対称に突き出して構えた。 「ほう、怖気づかんか。 やり甲斐はあるか」 「天龍殿、丸腰で銃相手は…!」 「あき、下がってろ」 あきの制止も虚しく、天龍は前へと歩みよる。 対する謎の男も、銃を仕舞う気配はまるでない。
2015-03-23 01:31:46
あきつ天龍帝都奇譚
@akitsutenryu
まさに場の空気は一触即発となった。 「い、いったい何がどうなって…」 あきは混乱している。 猫を見つけたのも束の間、突然銃や突きつけられて脅されたのだから。 「くっ…」 天龍を置いて逃げ出す訳にもいかない。 二人が諍いを収める気配も無い。 万事休す、その矢先。
2015-03-23 01:36:07
あきつ天龍帝都奇譚
@akitsutenryu
「おや、これはどういうことかな?」 「宮さ…わ、若!?」 「…あ?」 男の背後から更にもう一人、やけにのんびりとした声の和装の若い青年が姿を現したのだった。
2015-03-23 01:39:54