戦車殺し小話~赤軍対戦車銃がよくわからない

赤軍の対戦車銃というとPTRSやPTRDが思い浮かびますが、これらもその他も、なんだか案外よくわからないというお話
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このまとめを受けてのお話

まとめ 謎の狙撃銃(と初期の長距離狙撃ライフル)のお話 マイク・ハスキュー『戦場の狙撃手』 http://www.amazon.co.jp/%E6%88%A6%E5%A0%B4%E3%81%AE%E7%8B%99%E6%92%83%E6%89%8B-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF-%E3%83%8F%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC/dp/4562039779 で紹介されていた謎の狙撃銃について調べたら、予想外の事実が…… 9069 pv 111 5 users 2
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

朝鮮戦争で使われたボーイズ対戦車銃は.50"口径に変更されてたような記憶があったけども rifleman.org.uk/Enfield_Boys_A… やっぱりそうだったみたい

2015-03-07 14:36:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

東を眺めてみると、ソ連は対戦車ライフルへの照準眼鏡装着は戦前の段階で既に試していたようなんだけども、これは採用されなかったらしく

2015-03-07 14:45:41

14.5mm以前の赤軍対戦車銃って?

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そもそも14.5mm以前のソ連対戦車銃ってのが割と私には謎で、ちとぼんやりしてます。WW1ドイツのT-Gew M1918を12.7x108mm弾仕様にしたショロホフ対戦車銃なんてのは少数作られてたようだけど…… pic.twitter.com/gBUs49iOrY

2015-03-07 14:52:55
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ショロホフ対戦車銃は1938年に試作されたけども、その時は採用されず。1941年7月になって慌てて採用、生産に至ると。オリジナルのT-Gew M1918と違ってマズルブレーキを備えるけど、これはどうもポーランドのWz.35対戦車銃由来のような気がする

2015-03-07 15:02:16
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

それとオリジナルよりコンパクトに折り畳める二脚、さらに銃床に緩衝パッドを装備。とまあ、T-Gew M1918の小改良版といった趣ね。5発弾倉を備えるなんて書いてある場合もあるけど、どう見てもそれらしい物はなく。単発のままなんじゃないかしら

2015-03-07 15:07:41

赤軍の照準眼鏡付き対戦車銃

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

対戦車銃の照準眼鏡に話を戻すと、まず1942年8月にPTRD向けのものが試される。ただこれはPTRDのあまりにいい加減な照準器をもうちょっとマシなものにしよう程度のお話であって、倍率は1倍。長距離狙撃用途ではない。結局、省力化を重点したPTRDには不適ということで採用にも至らず

2015-03-07 15:13:12
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

あるいは、スターリングラード戦で対戦車銃に照準眼鏡をつけて重狙撃銃として使ったというような話は出て来なくもない。写真等は確認できてないらしく、真偽はよくわからないけども

2015-03-07 15:19:34
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

対戦車銃への照準眼鏡装備案が再び持ち上がるのは1943年5月頃で、PTRSに小銃用のPUスコープを付けるというもの。全対戦車銃にこれを付けるという訳ではなく、小さな目標や擬装された戦車といった特殊な目標向けの対戦車銃を一定数用意しようという案だったと

2015-03-07 15:26:13
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただ、この実験ではPUスコープについてる射距離に応じた調整機能がまずかったったらしく。小口径の小銃ではごく常識的なこの機構が、大反動の対戦車銃では問題を起こした……のかな? 照準器取り付け架に工夫を凝らすも、結局決されなかったと。なおPTRSだけでなくPTRDでも試験されてます

2015-03-07 15:34:56
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

件のまとめにあった.50"換装PTRDに照準眼鏡を付けたのでは特にそういう問題について言及がないですが、あるいは実際問題がなかったのかも知れません。12.7x99mm弾薬は14.5x114mmの半分くらいのエネルギしかないですし、照準眼鏡の物も良さそうですし……

2015-03-07 15:41:25

14.5mmのはじまり

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

今日は39の付くものを貼る流れらしいので、PTR-39対戦車銃をば pic.twitter.com/E6s3P2OGB1

2015-03-09 22:56:25
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただ、こいつをPTR-39と呼ぶかどうかは、ちと微妙なところがあります。シュパーギンの短機関銃をPPS-43と呼ぶのと同じ感じで、「1939年式対戦車銃」を略してやればPTR-39にはなるけども、ルカビシュニコフ対戦車銃とか呼ばれてる方が多い風でもあり

2015-03-09 23:02:20
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

PTR-39というかルカビシュニコフ対戦車銃というか、ともかくコレは14.5x114mm弾薬を使う最初の対戦車銃だったりします。まず対戦車銃開発の要求が1938年に出て、その年のうちに弾薬だけは開発されたんですが、まだ銃のほうは無かった(!)。翌年半ばにやっとこの銃が出来たのです

2015-03-09 23:08:20
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ルカビシュニコフ対戦車銃は1939年末頃には試験を通過し、赤軍の制式装備となりました。翌年には15000挺を生産する計画が立てられ、量産準備が始まったのですが……この頃から諜報戦の成果として敵戦車についての情報がもたらされます。勘のいい人は気付くでしょうが、いつものアレです

2015-03-09 23:13:45
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

敵が重装甲の戦車を保有しつつあるという情報は、ルカビシュニコフ対戦車銃の立場を危うくします。さらに、当初の14.5mm弾薬は後のタイプよりさらに強装薬であり、このために薬莢が膨れて抽筒不良を起こすこと、埃に弱いこと、仰角50度以上では装填不良を起こす事……

2015-03-09 23:19:12
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そう、言い忘れましたが、ルカビシュニコフ対戦車銃はPTRSなんかと同様な自動銃です。装填には5発クリップを用いるようなんですが、伏射を旨とするためか左側面から挿すようで。保弾版式の機関銃めいて弾薬が露出してるんで、絵面はすごく面白くて、ゲームとかでは映えそうです

2015-03-09 23:24:21
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ともかく、敵が重装甲の戦車を保有しつつあるという(誤りとは言い切れないまでも現状に即していない)情報、そして銃自体の幾つかの欠点の為に、ルカビシュニコフ対戦車銃は一体得た採用を取り消されてしまいます。結局、1940年夏までに31挺が生産されたのみでした

2015-03-09 23:27:19
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

その間も改良は続けられていたようで、次にルカビシュニコフ対戦車銃対戦車銃が陽の目を見るのは独ソ開戦直後。再び試験が行われ、現代的対戦車銃の要求に適合するとの判定を受け、採用が推奨されます。が、まだ構造が複雑に過ぎて戦時の量産には適さないとして、結局採用には至りませんでした

2015-03-09 23:31:08