Fallout鎮守府 西北西へ

スフィルナ＠治療中 @finad8

スプリングベールから吹雪と磯波は西北西へと向かう。 ちょうど、潮と朝潮の哨戒ルート上をなぞっていく形だ。レイダーからの武器を補修部品に使い、弾薬とあるだけの食料と薬をバックパックにつめて２人は道なりに歩いていく。 「これ、食べて大丈夫なのかな……」 #Fallout鎮守府

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ラベルが掠れたCRAMと名称がついた缶詰と、ソールズベリーステーキと銘が入っているかすれた箱入りのレトルトハンバーグを見て磯波は不安そうに吹雪に尋ねる。 「大丈夫。」 平然と吹雪は岩場を歩きながら戦前のレトルトチーズマカロニを食べる。 #Fallout鎮守府

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コンクリートの道は荒れ果てており、周辺は緑1つない土と岩場が存在する荒野となっている。 遠くには高速道路とモノレールの廃墟もそんざいする。 それでも、彼女達の元の戦場である海よりは風景の移り変わりもあり、退屈はさせなかった。 #Fallout鎮守府

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「う、うん。」 缶詰を空け、磯波はCRAMとかかれていた中身を食べる。 スパムと同じ物らしく、塩漬けにされた安い肉を形成したものだ。味は濃く、ご飯かパンがない状況ではやや食べにくい。 それでもまともな味であり、磯波は一気に食べ終える。 「ごちそうさま。」 #Fallout鎮守府

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空き缶をしまい、磯波は立ち上がると吹雪についていく。 しばらく荒野を歩いていくと遠くに教会が見える。白い木材で建設され、屋根は吹き飛んでいるが屋根の上に付けられた十字架は教会ということを示していた。 「誰かいるのかな……」 磯波は教会に近づこうとする。 #Fallout鎮守府

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「待って。」 吹雪は磯波を止めると、双眼鏡で教会の近くを確認する。 「何かいる？」 「いた……」 吹雪は表情を険しくすると磯波に双眼鏡を渡す。磯波が双眼鏡をのぞくと、緑色の肌の巨人がうろついているのが見えた。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/VD3YG

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「あれ、何！？」 驚きのあまり磯波が双眼鏡を落とすと、吹雪はそれを広いバックパックにしまう。 「スーパーミュータント。戦前のウィルスで変異した元人間。」 3ｍ近くあるスーパーミュータントを見て、吹雪は平然と答えハンティングライフルを構える。 #Fallout鎮守府

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「どうするの？」 「……磯波、さっき見なかった？人間が閉じ込められてるの。」 もう一度吹雪が双眼鏡を手渡すと、磯波は教会を確認する。 網の袋の中に人間のばらばらになった死体が入っており、磯波は思わず目を背ける。 「違う、教会の中。」 #Fallout鎮守府

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もう一度磯波が双眼鏡をのぞき、教会内部を見ると誰かが縛られているのを確認する。 「誰かいますね……女性？」 「彼女を解放しよう。それに……ＳＭ（スーパーミュータント）を放置したくない。」 そういうと、吹雪はハンティングライフルを構えＳＭを狙撃する。 #Fallout鎮守府

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磯波が双眼鏡を向けると、頭を吹き飛ばされたＳＭが横たわっていた。銃弾が普通に効く相手と知り、磯波は恐怖心が薄れ表情を引き締める。 「私がガトリング持ちをやるから、適当に応戦して。」 「は、はい。」 磯波はスプリングベールで拾ったＲ91突撃銃を構える。 #Fallout鎮守府

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ＳＭ達がまだうろうろしているのをいいことに、吹雪はもう1発発砲する。 アイアンサイトを覗き、磯波は戦果を確認する。かろうじて1匹のＳＭが倒れていることに気づく。 そして、ＡＫらしい突撃銃を持ったＳＭが何体も平坦な道路を走ってくるのを確認する。 #Fallout鎮守府

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吹雪がハンドサインを送ると、磯波はうなずきセミオートでＳＭを狙撃する。 胴体に銃弾が直撃したが、ＳＭは怯まず磯波めがけＡＫのような突撃銃を連射してくる。 「っ！」 すぐに磯波は岩陰に隠れ、ＳＭの様子を伺う。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/rsv2I

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「落ち着いて！」 吹雪は冷静にハンティングライフルでＳＭの頭などを射抜いていく。 磯波は深呼吸すると突撃銃を構え、ＳＭの腕めがけ射撃。5.56ｍｍ銃弾がＳＭの腕を吹き飛ばす。 「よし、いけそう……！」 磯波は次々にＳＭを射撃していく。 #Fallout鎮守府

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そのために、周辺警戒がおろそかになっていた。 「ゲームオーバー！すぐに死ね！」 「！？」 横から巨大なハンマーをＳＭが振りかざす。正面に夢中で磯波は気づかなかったのだ。 とっさに左腕で身を守るが、ハンマーを受け左腕がきしみ激痛が走る。 #Fallout鎮守府

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「う、うわぁぁぁっ！」 磯波は無我夢中で突撃銃を向けセレクタをフルオートにすると銃口をＳＭに突きつけトリガーを引き絞る。 何発も至近距離で銃弾を受けＳＭは胴体中央部に大穴を開け前のめりに倒れてくる。磯波の服は血を浴び真っ赤に染まっていく。 #Fallout鎮守府

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ＳＭの巨体が磯波の上に覆いかぶさり、磯波は身動きが取れなくなってしまう。 「……っ……！」 片腕で何とか磯波はＳＭをどかそうとするがどけられず、その間に銃声がやむ。 しばらくすると、吹雪がＳＭの死体をどかす。 「大丈夫？」 「ううん、腕が……」 #Fallout鎮守府

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折れた左腕を見て、磯波はため息をつくと吹雪は磯波の腕に注射する。 「え……？」 ほぼ一瞬で感覚が戻り、折れた部分が元通りになっていくのを磯波は感じ取る。 そして、懐かしい開放感も感じてしまう。 「……高速修復剤？これ。」 「スティムパック。」 #Fallout鎮守府

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磯波は聞きなれない名前に首を傾げるが、吹雪は淡々と説明する。 「私達の高速修復剤を人間用に調整したもの、みたい。」 「そうなの……」 磯波は周囲を見渡す。ＳＭは全滅し、吹雪はあらかた武器も回収し終えていた。 #Fallout鎮守府 p.twipple.jp/Bnxde

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2人は教会内部に入ると、縛られていた人質を解放する。 人質はヌカ・コーラのキャップを50個ほど手渡し、お礼の言葉を言うと離れていく。 「……戦ったらおなかがすいた。」 「食べ物でも食べる？」 磯波がバックパックから食料を出そうとすると、吹雪が止める。 #Fallout鎮守府

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「食べ物ならあそこにある。」 吹雪は持っていたナイフでＳＭの首を切断すると血抜きを始める。 「え、そ、それ食べるの？」 「当然。」 一通り血を抜き終えると、吹雪はＳＭをナイフで解体し始める。それから近くの焚き火に火をつける。 #Fallout鎮守府

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「大体のものは焼いて塩胡椒で食べられるから。」 近くにあった棒でＳＭの肉を焼きながら吹雪は平然と答える。磯波は食べたくないのか首を振る。 「そ、そんな何かわけの分からない化け物食べるの……？」 「生じゃないから大丈夫。人間だって皮をはげば充分。」 #Fallout鎮守府

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磯波はぞっとしたのか、バックパックからおやつ用にとっておいたファンシーレディケーキを食べはじめる。 白い箱にはカップケーキが入っており、そのまま食べる。 「なれないと食糧不足になるから気をつけて。」 やや冷淡に、少し暖かさをこめながら吹雪は磯波をたしなめる #Fallout鎮守府

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「食料が尽きる前に何とかなりますよ……多分……」 「……だといいけど。」 平然と吹雪は肉を食べ終えると、ＳＭから回収してきた武器を広げる。 ぼろぼろのＡＫ突撃銃に木材に釘を打ちつけたネイルボードと呼ばれる武器、それにハンマーがあった。 #Fallout鎮守府

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「……よし。」 磯波はＡＫ突撃銃を分解すると、質のいいパーツを見分け組み立てなおす。 「ハンマーはどうする？」 「……置いていこう。どうせ安いしもてない。」 わかった、とうなずくと磯波はネイルボードとハンマーを放置し、ＡＫ突撃銃を背負う。 #Fallout鎮守府

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「……手がかり、ないね。」 吹雪は愚痴をこぼす。それに対し、磯波は静かにうなずく。 「人もいませんからね……足跡も頼りになりませんから、こうやって同じルートで歩くしか……」 「そうね。」 どのあたりで潮と朝潮が行方不明になったかも、2人には分からないままだ #Fallout鎮守府