葉推詩選:2015年、夏。

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葉月野 @hadukino_tc

いくら削ってもほんとうの 姿が見えてこない 爪痕が無数に増えてゆく 傷だらけの皮膚 もともとカサついてたっけ 他愛のない痴情話を聞かされて 頭ではぼんやりと 幸せの形を考える 鳩の鳴き声が 含んだような私の返事に被さった 今はこれで正解なんだろう #twpoem

2015-06-01 15:04:03
葉月野 @hadukino_tc

木陰に逃げ込むと 現実と白昼夢が まだらに体を染める めまい 目まぐるしく 呑み込まれる 喧騒が途切れて 誰もいなくなった瞬間 我に返っても 何処に戻ったかは はっきりしないまま #twpoem pic.twitter.com/r3RlpvOJZx

2015-06-01 21:16:46
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葉月野 @hadukino_tc

リフレインは強い 不安をあおる朝が騒がしい 聞き入って感じ入って 理解したつもりになる 笑いながら 逆さまに落ちて 一日中あたまの中に住み着く 追い出す前に時間切れ 二つの世界を見聞きしながら 日常へと戻る #twpoem

2015-06-02 15:10:47
葉月野 @hadukino_tc

整った景色に涙しても 欠点でもないと 上手く表現できない 限界を責任転嫁しようと 刃物を突き立てた 刃先が欠け飛んだ 表面には傷一つつかなかった ありのままを語った 「かけない」 #twpoem

2015-06-03 20:39:37
葉月野 @hadukino_tc

一度できた溝が 風雨にさらされる 何度も濁流が押し寄せる 気付いた時には 橋でもなければ渡れないほどに 広く、深く 薄暗くなっている 歩み寄る機会もなく 飛び越える覚悟が必要だと思い込む そのくせ 向こう岸に呼びかける勇気はない 「こえない」 #twpoem

2015-06-04 14:55:23
葉月野 @hadukino_tc

黄色い月が顔を覗かせて 準備は出来たかいと尋ねた 迷っていると 先に行ってしまった 同じやりとりを 何度繰り返したかな ずっと満ち欠けを数えて 眺めていたいからか 一緒にいきたい気持ちも本当 悩みは尽きない 月はもう雲の彼方で 残光が手をふっていた 「つきない」 #twpoem

2015-06-05 00:08:33
葉月野 @hadukino_tc

なくした傘が誰かの肩を湿らさずに 私の心を冷やしている なくしたことにしている傘がね 空いた手が 自由を掴んでもいいじゃないか 濡れた頬を拭ってばかりだ 明日は優しく降ってくれるかな 季節の変わり目を告げる 気持ちを入れ替えるそんな 天気雨が #代償の雨を #twpoem

2015-06-05 23:17:28
葉月野 @hadukino_tc

涙が静かにこぼれるような やさしい歌を聴いている 街向こうから時折響く いつもの電車の音もかき消して 星のひかりも隠して 一緒に口ずさむぼくの声も ただ包み込んで 思い出したように笑う 気づけばずっと泣いていて また笑った #twpoem

2015-06-05 23:38:17
葉月野 @hadukino_tc

時間の境界に立つ 血の境界に立つ 何者でもない 固まる体に 抗う意思 同じ食事を口にし 同じものに触れ こころを重ね 意味を探る 誰なのか 忘れていく記憶を 手放さないため 見えもしない 線をなぞる 終りまで #twpoem

2015-06-06 23:51:14
葉月野 @hadukino_tc

なんのためにうまれてきたの、と、悩んでもいいよね #10秒で書く詩 #10秒で書く写真詩 #twpoem pic.twitter.com/O5HrpXj4xI

2015-06-06 23:57:23
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葉月野 @hadukino_tc

旗を掲げなくていい日に 主張する本能 静かに終わっていたことを 青紫の紫陽花が教えてくれる 成分が違う青空に ことばだけを飛ばす 普段の日課も 生きる意思も休み 頭に浮かんだことをただ 流れるままに見送る #twpoem

2015-06-07 13:05:59
葉月野 @hadukino_tc

晴れようか雲ろうかと 空がぐるぐる悩むのをみている間は 頑張らなくちゃとか 考えずにぼおっとしていよう なんでも綺麗にしたがって じぶんで信じたりやっぱり嘘だと 落ち込んでみたりするのを 一枚一枚 ベランダに干しながら 天気と洗濯物だけを気にする 贅沢な午後 #twpoem

2015-06-07 14:10:37
葉月野 @hadukino_tc

臆病が臆病を産んで 前を向く力をいたずらに削る 大切な人までも巻き込んで 怖くて見向きもできず 置き去りにして罪を重ねる うしなってまた繰り返す 季節みたいだ 移り変わってゆくのを ただ羨んで嘆いている #twpoem

2015-06-10 14:38:31
葉月野 @hadukino_tc

午後三時に幸せがあったとしたら 焼きつきかけたやる気を にがす木陰に恵まれたから 夏から生まれた 喧騒は止まることを知らなくても 隠れ場所を見繕いながら どうにかやりくりしている #twpoem pic.twitter.com/WCm0WFy55z

2015-06-10 23:14:29
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葉月野 @hadukino_tc

この世の不幸を背負った子が耳を塞いで三日過ぎ 術をなくした親が目を閉じて十日が過ぎる 他人の口に戸は立てられず 噂が歩いて七十五日 月日が流れるあいだ 立ち止まらなかったものがすくわれる 答えを拾うよりも先に 欲を満たすことをしなければ #twpoem

2015-06-11 22:56:15
葉月野 @hadukino_tc

狂気が眠りを妨げる夜に 鎌の刃を研ぎ澄ましてゆく月 不安が車道まで影を伸ばしている 優しい顔で誘っている 階段を降りてくる金属音 皮肉な運命 生暖かい風も あるだけましな選択肢も どこか欠けたまま 追いかけるしかなかった #twpoem

2015-06-12 03:46:23
葉月野 @hadukino_tc

ぶつ切りの耳障りな音を止めるには 上手いこと言ってはぐらかす 自分をね 疲れた顔がうな垂れても 照り返しが 無理矢理明日に向かわせる 気が晴れるまで何度も ただこの音を止めたいだけなんだけどな お酒を飲んで紛らせたい衝動を 薄暗がりで痺れながら堪えている #twpoem

2015-06-12 04:01:12
葉月野 @hadukino_tc

調光下で眠そうにしているビール缶を意味不明な展開に投げつけた。間の抜けた音が乾いて、蒸し暑い夜を相殺する心意気はない。軋んでいるのはなんだ。心地よさに沈んでいるはずの時間に、行き場をなくした缶が転がっている #twpoem

2015-06-13 01:29:24
葉月野 @hadukino_tc

あんたの苦しみは知ったこっちゃない 快楽に埋もれても 何処にも逃げられなんかしないんだ 朝から零れる結晶は不快な色を 今日の運勢みたいな顔して 無理にでも流し込めと要求する カーテンを開けて始まるのは いつもと同じ一日 選べるのはミルクかトマトジュースくらいだ #twpoem

2015-06-13 06:57:50
葉月野 @hadukino_tc

責めながら縋るのは止めなよ そしたら悩みも一つ減るだろうに 自由や誇りがないことを 飯の種にする 鏡に毒づく習慣が とらわれなくてもいいはずの 休日まで侵食している 笑って震えた手が 半熟目玉焼きの黄身を破って 不幸の身代わりになる #twpoem

2015-06-13 07:12:26