ミイラレ!第三話:青行燈のこと(実況付き)

怪異に好かれる少年と退魔師の少女がなんかするお話。何やら物騒な怪異が接近中。 こちらは実況付きとなります。
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

リーダーの生存を確認した彼は、弾き飛ばされた刃の軌道を計算。怪異に悟られぬよう、着弾地点に新たな結界を張った。結界に触れた刃が跳ね返され……怪異の背後から再びその猛威を振るう!刃は容赦なくその首を「それであたしの裏をかいたつもりかい?」怪異が嘲笑った。14 #4215tk

2015-06-10 21:18:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「な」青年は目を見張った。その隣に着地した少年も同様に。不意をついたはずの刃は、怪異の首元に届く前に静止していた。固定されたように動かない。(いったい何が)青年は原因を推測しようとする。その一瞬の間に、怪異が目の前に到達していた。「がァッ!?」少なからぬ衝撃。15 #4215tk

2015-06-10 21:21:22
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

青年を拳の一撃で吹き飛ばした怪異は少年を一瞥した。少年は新たな武器を取り出そうとする。しかし「ああ、すっとろい」それよりも早く、怪異の手が彼の頭を鷲掴みにした。華奢な見た目にそぐわぬ力が、頭蓋骨にみしみしと音を立てさせる。「あがあああっ!」少年が痛みにもがく。16 #4215tk

2015-06-10 21:24:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

闇雲に振り回される手足は、しかし怪異の体に届かない。怪異が長い腕を伸ばしきっているからだ。「まったく退魔師というやつは、どこまでも手間をかけさせてくれる」苦々しげな呟き。「生半可に丈夫なもんだから力加減がしにくい。向こうに血濡れで行くわけにはいかないってのに」17 #4215tk

2015-06-10 21:27:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

不意に少年がもがくのを止めた。気絶したのだ。怪異が首を傾げる。「おや、まだ死んだわけじゃあるまいね?頼むよまったく。殺すと交渉に差し支えがあるんだ」「や……め、ろ」よろよろと身を起こした青年が怪異を睨む。「その子を、離せ」「そっちの態度次第だねえ」18 #4215tk

2015-06-10 21:30:02
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

青年は言葉の意味を悟る。結界を解けば考えなくもない。そういうことだ。彼は歯噛みし……俯いた。「……わかった、結界を解く」「ほう!いいねえ、話が早い」「だけど、一つだけ条件がある」予期せぬ一言だったか、怪異が不愉快そうに眉根を寄せた。「なんだい。言ってみな」19 #4215tk

2015-06-10 21:33:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「名乗れ」青年は顔を上げ、怪異を睨む。「せめて名乗っていけ。次に会ったときが、お前の最後だ」怪異は一瞬考え込んだ。そして渋々と口を開く。「……宿直(とのい)巡。これで満足かい?さっさと結界を解きな」「覚えたぞ……!」青年は憎悪の言葉とともに結界を解く。20 #4215tk

2015-06-10 21:36:17
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「はい、ご苦労さん」にたりと笑った巡は、少年を青年に向け放り投げる。青年が彼を受け止め、顔を上げる頃には既に怪異の姿はなかった。牛車の走行跡らしき青白い炎が、道路にちろちろと燃え上がっていた。21 #4215tk

2015-06-10 21:39:06
コセン・ニンジャ @kosn_ninja

交渉?誰と?何が目的なんだ…とにかくオツカレサマドスエ! #4215tk

2015-06-10 21:43:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「名乗れ」青年は顔を上げ、怪異を睨む。「せめて名乗っていけ。次に会ったときが、お前の最後だ」怪異は一瞬考え込んだ。そして渋々と口を開く。「……宿直(とのい)巡。これで満足かい?さっさと結界を解きな」「覚えたぞ……!」青年は憎悪の言葉とともに結界を解く。20 #4215tk

2015-06-11 21:51:11
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「はい、ご苦労さん」にたりと笑った巡は、少年を青年に向け放り投げる。青年が彼を受け止め、顔を上げる頃には既に怪異の姿はなかった。牛車の走行跡らしき青白い炎が、道路にちろちろと燃え上がっていた。21 #4215tk

2015-06-11 21:54:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

引越しの荷物も無事に受け取り、四季は新居での初の夜を迎えることになった。そして初の夕食。狭いちゃぶ台の上に所狭しと並んだ料理の数々に、彼は目を丸くする。「……怜、すごいね」「そう?これくらい普通だよ」そういう彼女の顔は、平静さを装っているもののどこか得意げだ。23 #4215tk

2015-06-11 21:57:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

『普通とはの』からかうように言ったのは、怜の首元に巻きついた朽縄御前。『妾は覚えておるぞ、昔の有様を。今の腕前になるまでどれだけ苦労したかムグ』愚痴とも思い出話ともつかぬその言葉は中断される。怜がその口に生卵を押し込んだからだ。卵を嚥下した蛇神は大人しくなる。24 #4215tk

2015-06-11 22:00:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

そのやりとりに苦笑しながらも、四季は改めて心の中で怜に感謝した。一緒に夕食を食べよう、と誘ってくれたのだ。迷うことなく賛成し、荷物を受け取ったあと一緒に買い物に出かけ今に至る。嬉しさもあるが、申し訳なさもある。しかしまずは感謝の気持ちを伝えるのが一番だろう。25 #4215tk

2015-06-11 22:03:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ありがとう、怜」「なに、改まって」やや鼻白んだらしい彼女は、はにかんだ笑顔を浮かべる。「いいよ気にしないで。そこまで手がかかってるわけじゃないし。それに」と、四季の真横に座る小夜子を見やる。「……急に同居人が増えると食費が大変でしょ?」その声は幾分か冷淡だ。26 #4215tk

2015-06-11 22:06:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「うう、すいません」申し訳なさそうに身を縮こまらせる幽霊。その首には白いスカーフ。怜が用意した封印用の呪具だ。見た目にはそうと見えないものの、蛇神の力がかけられているため下手な御札より効果がある。らしい。「別にいいけどさ。幽霊がご飯食べるってのもどうなの」27 #4215tk

2015-06-11 22:09:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「それはそうなんですけどぉ……四季さんの負担を軽減するため、食事を通して霊気を取り入れた方がいい。そう言ったのはそっちじゃないですか」『そうじゃぞ怜。そのことで今更ぶーたれるでない』「はいはい」どこか投げやりに返事をした怜は、四季と小夜子にご飯をよそう。28 #4215tk

2015-06-11 22:12:19
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ごめんね、何から何まで」「いいよ。四季だってお皿並べて手伝ってくれたでしょ」「手伝ったっていいのかな、それ。せっかく一人暮らしするんだから、料理くらいできるようにならなきゃな」「教えるよ。なんなら」「本当?それはありがたい……」不意に四季は天井を見上げた。29 #4215tk

2015-06-11 22:15:23
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「どうかした?」「いや……」怪訝な顔で訊いてくる怜に、四季は曖昧な答えを返す。上から微かな物音が聞こえた気がしたのだ。気のせいだろうか?その時だ。部屋の中に軽快な着信音が鳴り響く。「ああ、ちょっとごめん」怜がポケットから携帯を取り出し確認。メールらしい。30 #4215tk

2015-06-11 22:18:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

眉をひそめていた彼女の顔が、徐々に真剣みを帯びてくる。「……なにかあったの?」ただならぬ様子に思わず四季は問いかけた。怜が顔を上げる。その表情は厳しい。「うん。どうもこの辺に妖怪が出たらしくて」「妖怪?」思わず首を傾げる。あれは田舎にしかいないと思っていたが。31 #4215tk

2015-06-11 22:21:21
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