プロ埴輪の朝は早い

プロ埴輪 with 愉快なゆまる達 ※内輪ネタです
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御堂はにわ @dopyuuu

閑静な古墳の一画。 ここに一つの埴輪がいる。 プロ埴輪・御堂はにわである。 世界でも有数のプロ埴輪。 彼らの仕事は決して世間に知らされるものではない。 我々は、プロ埴輪の一日を追った。

2015-06-11 02:56:40
御堂はにわ @dopyuuu

Q.朝、早いですね? 私「ははは、土の管理は大切ですからね。一日のスタートをどう割るか。これが大切なんです」 日が登る前、人々が行動する前から彼女は動き始める。 私「私なんかがプロ埴輪やれてるのは古墳の支えがあるからなんです。だから誰よりも早く動き始めないと」

2015-06-11 02:57:44
御堂はにわ @dopyuuu

そう語る彼女の目は何よりも真剣だ。 プロに一切の妥協はない。 彼女の誇りはそこにあるという。 「まあ、好きで始めた仕事ですから」 最近は良い土が取れないと口をこぼした

2015-06-11 02:59:41
御堂はにわ @dopyuuu

Q.これからお仕事ですか? 「いえ、違います、あ、いや、そうなのかな?もう公私混同しちゃって(笑)」 朝の六時からみっちり三十分、 彼女は古墳を清掃する。 埴輪を始めた時から、これを毎日続けている、と笑う。 「古墳が資本なところがありますからね。大切なんですよ、これ」

2015-06-11 03:01:57
御堂はにわ @dopyuuu

朝六時半。 清掃から帰ってきた彼女は真っ先に横になる。 Q.休憩ですか? 「いえ、体にヒビが入るといけないんでね。この時間は(湿度が)比較的まともですから」

2015-06-11 03:06:59
御堂はにわ @dopyuuu

六時五十分 彼女は台所に向かう。 取り出したのは泥水メーカー。 手馴れた動きで泥の分量を図り挽き始める。 目線の先は土から離れない。 同時進行させることで、作業時間を減らす工夫だ。 Q.大変ですね? 「いやぁ、やっぱり挽きたての方が美味いですからね。なんと言っても」

2015-06-11 03:09:08
御堂はにわ @dopyuuu

「おはようございます」 プロ埴輪は近所の古墳付き合いも仕事の内だと語る Q 月並みな質問ですが プロ埴輪になろうって思ったきっかけは? 「んー 何だろなー 自分はもともと埴輪やってて ある日ふいに 何か中途半端な自分にものすごい腹がたってきちゃって。

2015-06-11 03:11:38
御堂はにわ @dopyuuu

割れようかなって考えた時期もありましたよ でもそんなの自分じゃなくなる気がして....すごいジレンマですよ。だったらいっそのこと本格的にプロになっちゃおっかな?みたいな(笑)これしか生き方知らないしね」

2015-06-11 03:11:59
五月時雨 @satuki_sigure

「自分はもともと埴輪やってて」

2015-06-11 03:15:26
御堂はにわ @dopyuuu

七時。 彼女は急に慌ただしく動き始めた。 湧いたお湯を片手に泥を淹れながら ドングリを焼く。 すぐに出来上がる泥水と焼きたてのドングリ。 これも、埴輪を始めた頃から変わらないという。

2015-06-11 03:14:11
御堂はにわ @dopyuuu

「効率の面もありますけど、これを食べることで朝を迎えた、って気分のほうが大きいかな」 一切の抜かりはなく、素早く食べ終わる彼女。 時刻はまだ、七時半だ。 Q.これからお仕事ですか? 「すいません、静かに」 我々クルーを諌める彼女。

2015-06-11 03:18:24
御堂はにわ @dopyuuu

「耳を済ましてください。声がほら、きた、きたきたきた、ほら声がするでしょう?民の声が」 確かに遠くに民の声がする。 「近所のムラの出勤時間なんですよ」 この声を聞くことで社会とつながっている実感をもつ、と彼女は語る。

2015-06-11 03:18:50
五月時雨 @satuki_sigure

@dopyuuu 頑張れ!!!!!!!!!!!!!!お前ならできる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

2015-06-11 03:19:45
御堂はにわ @dopyuuu

「ほら、こんな仕事でしょう?社会に切り離されてるんじゃ無いかって不安になってるころに、この声に気づいてね、それからは日課なんですよ」 こうして民の声や足音を聞くことで 人間になれた気分になる、と言う。 プロならではの、技である。

2015-06-11 03:20:31
御堂はにわ @dopyuuu

七時四十五分。 「ふぅ、もういいかな」 沈黙を破ったのは、彼女であった。 「これ以上は危険ですからね。見極めが大切なんですよ」 あまり深く聞き入ると、向こうにひきづりこまれる。 身体が割れてしまう可能性がある危険な作業なのだ。

2015-06-11 03:21:51
御堂はにわ @dopyuuu

Q.怖くは無いんですか? 「怖いといえばこわいですね。あと何百年やれるか。わからない。その時どうなるのかも。ただ、続けたいですね。埴輪である限りは」 そう笑う彼女には、確かに、プロの面影が見えた。

2015-06-11 03:22:40
御堂はにわ @dopyuuu

八時。 汚れた土を流すために彼女は風呂にはいる。 身を滅ぼす危険な行為だ。 「プロ埴輪の土はね、固いんですよ(笑)」 熟練の技が、光る。

2015-06-11 03:25:22
御堂はにわ @dopyuuu

Q.乾くんですか? 「日中は古墳を開けてますから風がよく通るんですよ」 八時半。 風呂から上がってきた彼女は、 おもむろに装飾具を着出した。

2015-06-11 03:26:24
御堂はにわ @dopyuuu

Q.これから外出ですか? 「違いますよ、急な祭祀を行う時に、こうしておけばすぐ出発できるでしょう?」 この気配りこそがプロならではの続ける秘訣である、と彼女は語る。

2015-06-11 03:28:03
御堂はにわ @dopyuuu

九時。 洗濯を終え、干した彼女が古墳に戻ってくる。 Q.これからのご予定は? 「そうですね。まずは読書かな。今日読む本は、これです」 『古墳の盗掘を防ぐ828の知恵』

2015-06-11 03:30:00
御堂はにわ @dopyuuu

Q.これは? 「日々勉強することだらけですよ。防犯の知識を活かすことなんてしたくないですけどね(笑)」 プロ埴輪を続けるという覚悟は、決して譲らない。 彼女の気持ちは選ぶ本にも現れていた。

2015-06-11 03:32:04
御堂はにわ @dopyuuu

十一時。 本を閉じた彼女は台所に立つ。 「これから料理するんです。朝があれなもんで、昼には少し力を入れないと」 そうして高床式倉庫から食材を取り出し、調理に取り掛かる。 毎日、一時間かけて作っているというのだから、驚きだ。

2015-06-11 03:34:36
御堂はにわ @dopyuuu

Q.今日のメニューは? 「鹿肉がありますからね。泥味つけてパパッと焼こうかな。って」 Q.鹿肉の泥ソテー? 「私のオリジナルです。作り置きもできるので助かってますね。」

2015-06-11 03:39:21
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