忍殺二次創作【クイーンビー・ダイビング・トゥ・ペイルファイア】前編（原文のみ）

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「今回のは厳しすぎたんじゃない？」「あれでちょうどいいくらいだと思うがな。ニンジャのイクサはスポーツではない」咎めるアカネをメジャーアントは受け流す。アカネがさらになにか言い募ろうとしたそのときだ。パオーウー！「おっと、シツレイ」メジャーアントが立ち止まる。41 #4215tk

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訝る二人の前でメジャーアントが取り出したのは、携帯IRC端末である。その画面をつらつらと眺めていた彼女の眉間にしわが寄った。「……すまない。これから別行動だ」「なにかあったの？」「ザイバツからのビズだ。野良ニンジャ掃討のな」その言葉にキサキが硬直する。42 #4215tk

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「ああ、いや。キサキ＝サンは関係ないから安心するといい」「なんでザイバツからの仕事がメジャーアント＝サンにいくんだよ」不機嫌に尋ねるアカネに、彼女は肩を竦めてみせる。「最近は仕事に熱心なものでね。先方にも目をかけられてきた。このまま行けばスカウトもあるだろう」43 #4215tk

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あ、とキサキは思わず声を上げた。メジャーアントがやたらザイバツの内情に詳しいのは、どうやら自分のためにビズに励んでいたかららしい。これもサイオー・ホースなのだろうか？「というわけで私は行かねばならん。フェネクス＝サン、キサキ＝サンを頼むぞ」「もちろん」44 #4215tk

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ごく当然のように答えるアカネに苦笑し、メジャーアントはキサキへ向き直る。そして懐から取り出した何かを放った。「アイエッ」キサキは危うくそれを受け取り、目を剥く。使い込まれたオートマチック・ヤクザガンだ！「前のビズで失敬したものだ。護身用に持っておくといい」45 #4215tk

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こくこくと頷いたキサキは、慌ててそれを鞄に仕舞い込む。まかり間違ってケビーシ・ガードにでも見つかったらコトだ！「では、あとはヨシナニ。オタッシャデー！」その慌てぶりを気にすることなく、メジャーアントは黒い風めいて離脱！「勝手な……で、どうする？キサキ＝サン」46 #4215tk

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「エッ？そ、そうだなあ」キサキはまだ混乱の治らぬ頭で考える。その結果。「……コケシマートに買い物でも行こうか。お昼ご飯のために」なんとも緊張感のない答え。彼女は伺うようにアカネを見る。「ついてきてくれる？」「もちろん、キサキ＝サンの行くところならどこへでも」47 #4215tk

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「安い、安い、実際安い。今日も明日も、コケシマート」無機質なコマーシャル・ソングが流れるコケシマートに、キサキたちの姿はあった。「なにか食べたいもの、ある？」「キサキ＝サンが作ってくれるものならなんでも」「そういうの、困るんだけどなあ……」思わず呆れる。49 #4215tk

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店内には他の買い物客も多い。ふとキサキは自分たちがニンジャであることを忘れそうになった。このまま上手く隠れて生きていけば、ザイバツも自分たちを忘れてくれるのではないか……そんな空想めいた思いさえ去来する。しかしそれを否定したのは、他ならぬ己のニンジャ第六感！50 #4215tk

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キサキは勢いよく天井を振り仰ぐ！「キサキ＝サン？どうか」アカネの言葉が終わるより早く「イヤーッ！」「グワーッ！？」KRAAAASH！突如キサキの視線の先が崩壊！一つの人影が彼女らのタタミ五枚分先に落下！「「「アイエエエ！」」」買い物客たちが恐慌状態に陥る！51 #4215tk

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（あれは）キサキのニンジャ動体視力は人影の正体を捉えていた。ニンジャだ。その装束には瞳をかたどったザイバツのシンボルがあしらわれている。「ア……アバッ」落下ニンジャは血を吐く。奇妙なことに、その体のあちこちが石めいて硬化している。「イヤーッ！」52 #4215tk

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その時！天井に開いた大穴から、もう一人のニンジャがエントリー！もがくザイバツニンジャに強烈なカイシャク・ストンピングを叩き込む！「サヨナラ！」爆発四散！……キサキは呆然とそれを見守っていた。いったい何が起こっている？その横でアカネが動く。「イヤーッ！」53 #4215tk

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彼女はこちらに背を向けゆらりと立ち上がる長身のニンジャにアンブッシュ・トビゲリを仕掛ける！「イヤーッ！」長身ニンジャがブリッジ回避！体寸前を過ぎ去っていくアカネに向け、さらにヨガ行者めいて身を反らし「イヤーッ！」自らの股をくぐらせるようにクナイ投擲！54 #4215tk

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「イヤーッ！」アカネは腕にカトン・ウィングをまとい飛行、クナイ・ダートを回避する。「アー……」長身ニンジャが身をくねらせて体勢復帰。その勢いのままオジギを繰り出す！「ドーモ、メドゥーサです」「ドーモ、メドゥーサ＝サン。フェネクスです」アカネも空中でアイサツ！55 #4215tk

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「ニンジャ。次から次へと」怒りと喜びがないまぜになった表情でメドゥーサが呟く。その黒髪は異常に長い。バネめいてロールした状態にも関わらず、６フィートはあろう長身の足元まで伸びている。「けど今度はカワイイコだ。楽しませてよ」淫猥な笑みとともに女ニンジャが構えた。56 #4215tk

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キサキはおろおろと周囲を見渡す。どうすればいい？ふとアカネと目が合った。厳しい表情。彼女から見ても手強い相手？ひとまずどこかに隠れて「イヤーッ！」不意に嫌な予感を覚えたキサキは跳躍！近くの商品棚の上へと着地した。その直後！「「「アイエエエ！？」」」57 #4215tk

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買い物客たちの悲鳴が響く！なにが起こったのか？説明するよりも見るがハヤイ！逃げようとしていた客たちが床へと沈み込んでいるのである！注意深い読者ならば、一帯の床が泥めいて軟化していることに気づくだろう。そして床から浮かび出るように現れた新手のニンジャにも。58 #4215tk

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「アー、ハーハーハー……愉快、愉快」弛緩した笑みを浮かべたニンジャは周囲を見渡す。その両腕には銀色の汚泥めいたなにかが付着……付着？否。キサキはその正体を見抜いた。変質したサイバネティクスなのだ！「ドーモ、マッドハニーです」芝居がかったアイサツ。59 #4215tk

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「アイエエエ！？」「ニンジャ！ニンジャナンデ！？」「ナンデだろうねぇー」近くでもがく客の一人に、マッドハニーが無造作に接近。客は逃れようとするも、できぬ。足首から下が床に埋まってしまっているからだ！「た、助けてください！」客が哀願する。マッドハニーが笑う。60 #4215tk

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「アーハハ……ご安心だ、お友だち。別に殺すつもりはないんだよ」「エ……！」客の瞳が希望に輝く。それを見たマッドハニーの笑みが嗜虐的なものへと変化！「代わりに沈めるだけだからさぁー！イヤーッ！」泥めいた腕で床を打つ！途端に床が再び泥状に！「アイエエエ泥沼！？」61 #4215tk

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目をつけられた客の体がどんどんと沈んでいく。膝……腰……胸！沈下の勢いは止まらぬ！「ほら、ガンバロ？柔らかくなってるからさぁー」「アイエエエ！ゴボッ、ゴボボーッ！」嘲るマッドハニーの前で、客の体が口元まで沈み込む！……そしてその姿が床下に消えた。62 #4215tk

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「アーハーハー……さあ、次は……あン？」次なる標的を探していたマッドハニーが訝しむ。メドゥーサと対峙するフェネクスを見つけたのだ。「ニンジャ？なんだお前。またザイバツか？」「違うみたい」気楽な口調で答えたのはメドゥーサだ。「そんなアトモスフィアじゃないもの」63 #4215tk

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「あたしたちと同じ、偶然ニンジャになったやつじゃないかしら」「フーン」マッドハニーは興味薄げに滞空するフェネクスを眺めた。メドゥーサが楽しげに言う。「ねえ、姉さん。あいつファックしちゃってもいいよね？」「ンー？好きにすればいいんじゃない」64 #4215tk

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素っ気なく答えたマッドハニーがなおも周囲を見渡し……視線を定める。棚の上のキサキへと！「おや、勘のいい子が……泥だらけにしたいねぇー」思わずキサキは硬直する。悠々と近づいてくるマッドハニー。そこへ「イヤーッ！」フェネクスがインターラプトせんとす！65 #4215tk