「千の想いを」~最終章 クライマックス1『最強とは』~
- mamiya_AFS
- 1489
- 0
- 0
- 0
姫の方へと向かう長門の背を見詰め、ぼんやりと霞む意識と思考の中、陸奥が1つの事に気付く。 姫と自分、姉が近くにいたのは姫の方だった。 なのに、確認の前にここまで来てくれたという事は。
2015-03-29 01:52:53@Mutsu_bs1 @tiyodadayo …あの様子ではもうロクに戦う術はないだろうが、何事も用心するに越したことはないだろう。ただ、それだけだ
2015-03-29 02:02:30姉の返答に、少し悲しそうに、少し嬉しそうに微笑む。 はたと気付き、顔を真上へと向ける。 青が、見えた。 常に夜と雨に包まれている海域に、雲の割れ目が一筋走り青空を覗かせていた。 それはほんのちょっとの、かすかな時間だけの晴れかもしれないが。
2015-03-29 02:06:19額に手を触れる。 ぬるりとした生暖かい液体が手の平をべったりと染め上げた。 夕立や榛名達が駆け寄ってくる姿が視界の隅に見える。 黒い雲が、気まぐれなひび割れを埋めていく。 晴れは、長くはもたないだろう。
2015-03-29 02:10:03@Mutsu_bs1 @tiyodadayo そうだな。だがもし、万が一があれば道連れにされるのはお前だ。そんな事になれば千代田に申し訳が立たん。それに…
2015-03-29 02:11:50@BIG7_NAGATO1 @tiyodadayo そうね、横から結構ちゃち入れたし…相当怨んでそうね…。 それに、何?
2015-03-29 02:16:16雲の切れ間から差し込む陽光はもう一筋の光でしかなかった。 お願い、もう少しだけ持って。 陸奥が、姉の返答を待つ。 雨で押し流れ始めた血液は、顎や首筋を伝い、胸や背中を濡らしていく。
2015-03-29 02:18:36@Mutsu_bs1 @tiyodadayo お前とは積もる話は全部帰ってからにしようと約束したからな。 一度した約束を反故にされては困る
2015-03-29 02:18:00@BIG7_NAGATO1 @tiyodadayo ぷっ、あはは…何それ。それだけのために、こんな危険冒すなんて…。 全く…姉さんらしい、わ…
2015-03-29 02:21:24妹の言葉の最後が小さ過ぎて聞き取れず、長門が振り返る。 見えたのは、満足気な笑顔のまま海面に浮かび、ぴくりとも動かない妹の姿だった。 空はいつの間にか暗雲に埋め尽くされ、豪雨が降りしきる。 誰かの悲鳴が、長門の耳にいつまでも残った。
2015-03-29 02:23:59