ニンジャスレイヤー二次創作『ザ・テイスト・オブ・ポイズン ハピネス』(イチ)

ニンジャスレイヤー二次創作です。フグという毒を持った魚を食べる習慣がいかにも忍殺っぽかったので書いてます。
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双海亜美・双海真美 @xenochara

(これまでのあらすじ)ナンシー=サンにより、ズンビーの集団が巨大な武器を作っているとの情報を得たニンジャスレイヤー。だが、目的の地下施設はすでに壊滅していた。本当に武器製造は中止されたのであろうか? ニンジャスレイヤーは不安を感じながら瓦礫の山を後にする。 1 忍殺二次創作

2015-05-19 19:02:29
双海亜美・双海真美 @xenochara

フグ。 フグとは日本で古来より食べられていた毒を持った魚である。 しかし、その調理法は難しく、毒のある部分を切り分ける技術は一部のサシミシェフにしか伝承されず、フグ料理は食の歴史から姿を消した。 2 忍殺二次創作

2015-05-19 19:11:01
双海亜美・双海真美 @xenochara

歴史は改竄され、隠蔽され、フグ毒の恐ろしさは忘却される。 やがて世界をバイオ技術が覆いつくし、食用のクローン家畜が普遍化した未来。 数千年の時を越え、フグ毒の脅威がネオサイタマの片隅で次の獲物を待ち構えていた・・・! 3 忍殺二次創作

2015-05-19 19:17:58
双海亜美・双海真美 @xenochara

「オニ=サン、オニ=サン、チョトヨッテカナイ?」 小柄な男がカタコトの日本語で客を呼び込んでいる。 だが人々は男の胡散臭さに素通りしていく。 小柄な男は声をかける事であえて必要以上に客を入れないようにしているのだ。 「さて、次の獲物は・・・」 男の目が鋭くなる 4 忍殺二次創作

2015-05-19 19:28:25
双海亜美・双海真美 @xenochara

「オニ=サン、オニ=サン、チョトヨッテカナイ?」 背もスーツの値段も高い若いのサラリマンに声をかける。 「シゴトガエリ?良い店あるヨ!」 「すまないが女と寝る気分じゃないんだ。」 「ノーノー!良い食べ物、ハピネスなるね!」 英語も怪しい男は近くの建物を指差す。 5 忍殺二次小説

2015-05-19 19:37:19
双海亜美・双海真美 @xenochara

『お食事処 はぴねす』と書かれたショドーが掲げられた、キョートと中国地方のアトモスフィアを兼ね備えた大きめの建築物。 「ヨニモ珍し、フグフード食べられミテネ!オイシよ!」 「フグ料理・・・?話には聞いた事がある。毒のある魚なのに、ものすごく美味しいと。」 6 忍殺二次創作

2015-05-19 19:46:40
双海亜美・双海真美 @xenochara

「ダイジョブ!家族デテキタ!毒ナイ!ジサイアンゼン!」 男が指差すと家族と思われる4人組が出てきた。 父親らしき男が満足そうに腹をさする。 「マンイチ危ない、医者いる。ダイジョブ!」 「それなら食べてみようか・・・。」 サラリマンは店の戸を開けた。 7 忍殺二次創作

2015-05-19 19:54:56
双海亜美・双海真美 @xenochara

「アイエェェェ!!」 お食事処はぴねすのキッチンに悲鳴が響く。 フグ料理を習いに来ているニュービーサシミシェフが体を痙攣させながら倒れる。 「センセイ、どうしましょう!?」 別のニュービーシェフが驚きながら初老のシェフを見つめる。 8 忍殺二次創作

2015-05-19 20:03:38
双海亜美・双海真美 @xenochara

センセイと呼ばれた男はまな板の上で血だらけになったフグを見る。 「そのフグは4番の部屋に持って行け。手袋を忘れるな。こいつみたいになりたくなけりゃな!」 「フクダ=サンはどうすれば・・・」 「”例の部屋”に埋めておけ。伝説どおりに生き返るかもしれねぇ。」 9 忍殺二次創作

2015-05-19 20:10:55
双海亜美・双海真美 @xenochara

センセイの言葉にニュービーサシミシェフ2人がゆっくりと倒れたシェフに障ろうとする。 「さっさとやれ、イディオット共め!」 「グワー!」 豪快な音を立ててニュービーシェフの1人の頬にセンセイの拳が当たる。 10 忍殺二次創作

2015-05-19 20:22:59
双海亜美・双海真美 @xenochara

「アイエエ!すぐに運びます!」 ニュービーシェフ二人は倒れた男をかついて急いで部屋を出て行く。 その隣では手袋とマスクを装備したサシミシェフが、血まみれの魚を調理していた。 何たるマッポーめいた光景か!だがこの調理場ではチャメシインシデントなのである。 11 忍殺二次創作

2015-05-19 20:29:28
双海亜美・双海真美 @xenochara

サラリマンは1人、受付にサインをし、待合室で待っていた。 壁には『フグサシ』『実際アンシン』『美味』などと書かれたポスターがいくつもあった。 その中には白衣を着た12歳程度の少女のポスター。そこには『驚愕の名医』『生還十割』等のショドーがある。 12 忍殺二次創作

2015-05-19 20:42:29
双海亜美・双海真美 @xenochara

待合室に一人の金髪オイランがやってくる。 鎖国下の日本では珍しいコーカソイド人種だ。 その胸は着物の上からでも分かるほど豊満であった。 「サザビ・ガモン=サン、4番のお部屋へご案内します。」 サラリマンが立ち上がり、オイランの後について廊下を歩く。 13 忍殺二次創作

2015-05-19 20:50:59
双海亜美・双海真美 @xenochara

一人部屋に通されたサザビはオイランに渡されたメニューを開く。 だが、フグ料理に関しては全く知識が無いサザビは何を注文すべきなのか分からない。 「何がお勧めですか?」 オイランにたずねる。 オイランは一瞬考える仕草をするとメニュー左端の大きな写真を指差す。 14 忍殺二次創作

2015-05-19 20:57:50
双海亜美・双海真美 @xenochara

「この”コウフクコース”など男性にオススメです。その隣の”ビトクコース”は少なめになっていますが、こちらも人気です。」 その気はなくともサザビも男である。美女に横に座られたら見栄を張りたい。 「コウフクコースで。」 サザビはこの店で一番高いメニューを選んだ。 15 忍殺二次創作

2015-05-19 21:05:39
双海亜美・双海真美 @xenochara

「畏まりました。失礼いたします。」 笑顔のオイランがショウジ戸を閉める。 冷静になったサザビは頭を抱えた。 「しまった!ビトクコースにすれば良かった!」 ZBAAAAM!! 後悔に打ちひしがれたサザビの心をショウジ戸が壊れる音が破る。 16 忍殺二次創作

2015-05-19 21:17:21
双海亜美・双海真美 @xenochara

「おっと、失敗失敗。こりゃぁ失礼!」 ショウジ戸を壊して入ってきたのは白衣を着た少女である。 顔が赤いのと一升瓶を持っている事意外は待合室のポスターそのままの姿である。 その腹はイカ腹であった。 17 忍殺二次創作

2015-05-19 21:22:45
双海亜美・双海真美 @xenochara

「アタシはソウミってんだ、よろしくな、サラリマンサン。」 ソウミという名の少女は酒臭い息を吐きながらサザビの肩を抱く。 「子供がこんな物を飲んではダメだろう!」 サザビが一升瓶を奪い取る。 18 忍殺二次創作

2015-05-19 21:30:12
双海亜美・双海真美 @xenochara

「何を言ってやがる、サラリマンサン!アタシは20歳過ぎてるんだぞ!」 ソウミは服をぺたぺたと触った後、カード入れを取り出し、医師免許をサザビに見せる。 「信じないならフグの毒に当たっても治療しないぞ!」 「ゴメンナサイ」 サザビはソウミに一升瓶を返す。 19 忍殺二次創作

2015-05-19 21:35:46
双海亜美・双海真美 @xenochara

「そうそう、それでいい。サラリマンサンはフグサケを知ってるか?」 「いえ、知りません。」 ソウミはすでに準備されていたサケグラスにサケを入れる。 「フグサケは炙ったフグのヒレを入れて飲むんだ!」 ソウミはどこからか香ばしい匂いの灰色のチップを取り出す。 20 忍殺二次創作

2015-05-19 21:47:20
双海亜美・双海真美 @xenochara

「オマタセイタシマシタ」 先ほどのオイランとは違うオイラン数人が料理を持ってきた。 「ソウミ=サン、オイタはホドホドにお願いします。」 「分かった分かった。」 ソウミはオイランの言葉を聞き流しながら、フグサケを飲ませようとサケグラスをサザビに押し付ける。 21 忍殺二次創作

2015-05-19 21:55:37
双海亜美・双海真美 @xenochara

「失礼いたします。」 オイランは無残なショウジ戸の破片を拾い集め、部屋を出て行った。 「オススメはフグサシだよ。あとフグノコヌカヅケ。」 ソウミは半透明のサシミと小さなカツブシブロックめいた物を指差す。 22 忍殺二次創作

2015-05-19 22:05:57
双海亜美・双海真美 @xenochara

フグノコヌカヅケとは、特に毒の強い部位のフグの卵巣を発酵させた中国地方の特産物である。 「いただきます。」 サザビは薦められるがままにフグノコヌカヅケをライスに乗せる。 箸の上に作った小さなスシを口に運ぶ。 濃厚な味がサザビの口の中に広がる。 23 忍殺二次創作

2015-05-19 22:22:07
双海亜美・双海真美 @xenochara

お食事処はぴねすの中庭は高い壁に囲まれ、一般人が入る事も、見る事すら出来ない。 そこには紫色の土を掘るクローンヤクザの姿があった。 その横には瀕死のニュービーサシミシェフが頭だけを出した状態で埋められていた。 24 忍殺二次創作

2015-05-19 22:32:40
双海亜美・双海真美 @xenochara

【NINJASLAYER】その毒の味は幸福と呼ぶ【二次創作】

2015-05-19 22:44:03