靖国問題考―慰霊の表象とその承認

慰霊の場が政争でその静謐を乱されてはならない。沖縄の慰霊式典のニュースは、私にそのことを思い出させた。 麻生太郎による論考「靖國に弥栄あれ」をヒントに、なぜ公人の靖國参拝が問題となるのかを検討する、書き散らし。
3
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

日本人、とりわけ戦没者慰霊の「思い」の強い、遺族などの方々は従前の通り、つまり靖国神社へ参拝することで戦没者慰霊の「思い」を表象していたし、またそれに対して、宗教法人としての靖国神社を「信仰」しているとみなすこともなかった。靖国神社参拝は戦没者慰霊だと「文化」的に承認されていた。

2015-06-24 03:51:06
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

日本人には「文化」として承認される戦没者慰霊の「思い」の表象が、憲法上国家には禁止されている、宗教団体靖国神社の参拝という、名目上は「信仰」という形式となってしまう以上、天皇をはじめ首相、国会議員といった国家の代表者としての「思い」の表象を困難にしてしまったのだ。

2015-06-24 04:23:05
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

(言ってしまえば、A級戦犯合祀は直接の問題ではないどころか、そもそも日本人にとって靖国神社参拝は「信仰」ではなく、英霊を神として信心しているわけでもなく、さらに戦犯とされる人々も刑の執行を以って犯罪者でさえなくなり、戦争殉難者として合祀してなんら問題はないのだ)

2015-06-24 04:27:42
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

明治以来の戦没者慰霊の表象が名目上宗教的儀礼となり、ゆえに国家/公人は政教分離原則に従ってこれを出来ず、公の戦没者慰霊は式典の形をとって表象されているため、普段は問題にならないが一旦政治家靖国神社を参拝すると大騒ぎ……これが現状の「靖国神社問題」である。

2015-06-24 04:33:51
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

したがって解決策としては①憲法を改正し政教分離原則から靖国神社を除外する(国民が熱望しない限り論外)②靖国神社を廃し、戦没者慰霊を式典のみに統一する(靖国神社が自主的に解散しない限り不可能)③靖国神社を宗教法人ではなくし、名目上も「非-信仰化」する(つまり、麻生案)がありうる。

2015-06-24 04:39:22
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

②と③はいずれも最初に宗教法人としての靖国神社を解散する必要があるが、国民の戦没者慰霊の「思い」を表象するツールとして、年4回の式典で事足りるのか、それとも常設の社(やしろ)を置き、利用可能にするのか、それは国民の(とりわけ遺族らの)ニーズを充足するよう検討せねばなるまい。

2015-06-24 04:45:13
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

また周辺国の批判については、戦没者慰霊は戦没者崇拝とは異なる(まして戦争崇拝でも肯定でもない)こと、またいわゆる戦犯についても死刑の執行をもって罪を償い、かつ戦争によって命を落とした戦没者として他の戦没者と同様に扱っていることについて説明し、理解を得るほかない。

2015-06-24 04:51:23
翠坂満月/藤 @Fuji_Midoryzaka

(というか、ほとんどの国はそうした取り扱いについて理解はしていただいていて、また日本人にとっての靖国神社参拝は信仰上の儀礼ではなく戦没者慰霊の表象であることまでもご理解いただき靖国神社を「参拝」される海外公人も少なくはないのだが……)

2015-06-24 04:54:01