2015年6月27日

山本七平botまとめ/【十五年周期仮説でみる昭和史/昭和における変動③】意識の転換は商品の選択に現れる/オイルショック後紙くず化したベストセラー田中角栄伝

山本七平『1990年代の日本』/十五年周期仮説でみる昭和史/昭和における変動/転換期の意識/195頁以降より抜粋引用。
山本七平bot @yamamoto7hei

①【転換期の意識】以上のような観点から国内的要因からだけ見ていくと、少なくとも85年までは大きな変化は出てこないと思う。 ただ、過去の転換を見ると、国内要因だけで転換しているとは言えず、そこに外圧という問題も出てくる。<『1990年代の日本』

2015-06-20 14:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

②もちろん外圧があっても、日本の社会の意識を転換さすにいたっていない場合もあり、変化が、単に外圧だけで起ったとも考えにくい。 いわば既に醸成されていたものが外圧が契機で表面化するといえる。 例えば昭和4、5年、世界的なパニックが日本に波及してきて外圧として作用している。

2015-06-20 15:09:10
山本七平bot @yamamoto7hei

③それから20年の終戦は占領状態を現出した。 これも確かに外圧による変化といえる。 では日本人の意識というのは、その時にぐっと変わってしまったのかというと、実はそうではない。 昭和5年以前の新聞を読むと、戦後の日本にそのまま通用すると思われる社説が幾らでもある事は既に述べた。

2015-06-20 15:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

④「時事新報」の昭和2年の元旦の社説「新帝新生の新年」はその典型である。 それを読むと、昭和21年に言っていることとほぼ変わらない。

2015-06-20 16:09:08
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤【日本はすべからく軍縮において主導権をとっていかなければいけない。 国際連盟において消極的な態度をとってはいけない。 もっと積極的な態度をとるべきだ】 はまさに、戦後の一貫した新聞の主張なのである。

2015-06-20 16:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥ちょっと表現を変えれば21年の社説だといっても、そのまま通用する社説、 それをすれば昭和2年だか21年だかわからなくなるくらい似ている社説が出てくることは、戦後の転換も意識の変化も、簡単に戦争に負けたからでは説明ができないことを示している。

2015-06-20 17:09:09
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦これは、やはり意識の転換が当然起ってしかるべき、ある状態に達していたからである。 戦争中の投書その他を細かく見ていくと、戦後に似た意識が、表現は微妙だが、18年の終り頃から既に出ている。 何でもいいから戦争は終ってほしい、もう戦争は嫌だというふうに受け取れる投書も出ている。

2015-06-20 17:38:52
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧言論を統制しても、この種の意識の変化は色々な面に現われてくるし、そうであって不思議でない。 これは60年安保の時にも同じで、その前の様々な記事やその中の表現を探っていくと、 安保、安保よりも何しろ日々の生活の方が大変だ、こういう経済状態から脱却をしたい。

2015-06-20 18:09:12
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨何でもいいから収入が倍になってほしい、 といった面が見え、「月給三倍論」などが出てくると、たちまち国民の意識がそちらに向いてしまう底流はすでに潜在しているのである。 ただ、これは表に出ていない。

2015-06-20 18:38:53
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩これはオイルショックの時、50年前後の時もそうだが、あの転換は単にオイルショックがあったから起きたとは言えない。 ただこの場合に我々がしばしば予測を誤るのは…マスコミに誘導されるからである。 以上が外圧と内部的変化の要因で15年ごとに一つの転換を起している状態である。

2015-06-20 19:09:06
山本七平bot @yamamoto7hei

⑪そのときは、まず意識が変換するが、意識が変換しても、人間の生活は、すぐ変えられるものではない。 そこで前の生活状態は、ある程度そのまま続くという形になる。

2015-06-20 19:38:51
山本七平bot @yamamoto7hei

⑫たとえば、終戦のときに意識が変わったからといって、翌日から人間の生活状態がすべて変わるわけではなく、みんな復員服を着て軍靴をはき、カボチャを食っている状態が続く。 しかし意識の転換が起っているから、社会全般の転換がそれにつづいて徐々に起ってくる。

2015-06-20 20:09:08
山本七平bot @yamamoto7hei

⑬60年安保の時もそうであって、60年と61年の経済状態は変わらないけれども、まず意識の転換が起る。 その次に、それが実際に社会に浸透していって、一つの転換を起す。 こういう形になっており、オイルショックの時も同じことが起っているわけである。

2015-06-20 20:38:53
山本七平bot @yamamoto7hei

⑭意識の転換は商品の選択に現われるが、面白いのは、それはまず雑誌・書籍等に現われ、それまでのベストセラーがしばしば紙屑になる。 例えば戦争中のベストセラー、大川周明の『日本二千六百年史』は、戦後、昭和21年になったら、どれだけ在庫があっても資産とは考えられない。これは紙屑である。

2015-06-20 21:09:09
山本七平bot @yamamoto7hei

⑮また面白いものに『田中角栄伝』がある。 調べてみると代表的なものが四冊出ており、角栄ブームの時はベストセラーになっている。 ところがオイルショック以降は紙くず同然であって、それを発行した出版社の人に会った時「あれはどうした?」ときいたら「もう廃棄処分にしました」と、言う。

2015-06-20 21:38:53
山本七平bot @yamamoto7hei

⑯一転換があると、昨日までのベストセラーが完全に無価値の紙くずになる。 ここにははっきりした意識の変化が現われている。

2015-06-20 22:09:08
山本七平bot @yamamoto7hei

⑰この事は60年に、いわゆる経済成長が始まる時にも出ており、その前の「戦後民主主義時代」的な、啓蒙的というよりお説教的な本は一瞬にして売れなくなって、経済のハウツーものがどんどん出てくる。 こういう時代が15年間続いている。

2015-06-20 22:38:52

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