ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10101517:ニチョーム・ウォー #5

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

裏口付近にうずくまるのは凍死した店主の死体だ。「アーア」フィルギアは溜息をついた。それを跨ぎ越え、新たなニンジャ存在を背後に、彼は己を強いて走り出した。 25

2015-06-27 23:57:18
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「そこ右、か?」「うん、行ける」「よし。じゃあ右だ。わりいな。土地勘がねえんだよ」シルバーキーはヤモトを伴い、狭い道を曲がった。近づくにつれ、徐々にニューロン存在の輪郭がくっきりしてくる。クローンヤクザだ。だがニューロン攻撃にはまだ遠い。走りながらシルバーキーは頭を押さえた。27

2015-06-28 00:07:32
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「いや……ヤクザだけじゃねえ……例の黒幕かな……」彼はブツブツと呟いた。画一的なニューロン信号にまぎれて、違う脳波がある。違う脳波……「クソッ!」シルバーキーは足をもつれさせ、踏みとどまった。ヤモトは疾走にブレーキをかけて振り返った。「シルバーキー=サン」「わりィ」鼻血だ。28

2015-06-28 00:14:25
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近隣のユニーク脳波は一つではない。つまり、それが敵ニンジャであるとすれば、既に複数の敵が壁の中に入り込んできているという事だ。遠くからはマンモスが暴れ狂っているかのような轟音がここまで届いてくる。ヤグラ337ビルへ向かってきた例のガラスの巨人と、戦闘が開始されたのだろう。 29

2015-06-28 00:18:30
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ここは南側、付近にニンジャがいるとすればヨロシサン。「大丈夫?」いつの間にかヤモトが目の前まで来ており、シルバーキーの腕を揺する。シルバーキーは我に返った。「キツい時はキツい」彼は正直に答えた。「俺の体に慣れきってないッてのもあるし。昔と違うしな。チューニングしたかったけど」30

2015-06-28 00:23:18
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彼は鼻血を拭った。「それより、カラテだ」「……」ヤモトの顔に緊張が走る。つまり、クローンヤクザだけでなく、「ニンジャが来るぞ!」シルバーキーは叫び、周囲を振り仰いだ。こめかみに指を当てる!「イヤーッ!」「「アバーッ!」」透明ヤクザ八体が虚空から現れ卒倒!そして!「イヤーッ!」31

2015-06-28 00:29:00
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「イヤーッ!」ヤモトは二刀を引き抜き、上からの落下斬撃を迎え撃った。「イアイド!」襲撃者は二刀をヤモトに叩きつけた。だが先があった。「クアドラプル・イアイド!」「ンアーッ!」ヤモトは斬撃を躱しきれず、落下して地に手をついた。「ハーッ!」襲撃者はやや離れた地点に着地! 32

2015-06-28 00:34:44
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「こいつじゃねえ……」シルバーキーは呻いた。「ドーモ。アサイラムです」襲撃者は先手を打ってアイサツした。「ドーモ。ヤモト・コキです」「シルバーキーです」アサイラムは身構えるヤモトに侮蔑的な目線を投げる。「ダブル・イアイドの使い手か。劣等なり」四本腕のニンジャにカラテが漲る! 33

2015-06-28 00:39:26
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「イヤーッ!」ヤモトは二刀を引き抜き、上からの落下斬撃を迎え撃った。「イアイド!」襲撃者は二刀をヤモトに叩きつけた。だが先があった。「クアドラプル・イアイド!」「ンアーッ!」ヤモトは斬撃を躱しきれず、落下して地に手をついた。「ハーッ!」襲撃者はやや離れた地点に着地! 32

2015-06-28 22:40:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こいつじゃねえ……」シルバーキーは呻いた。「ドーモ。アサイラムです」襲撃者は先手を打ってアイサツした。「ドーモ。ヤモト・コキです」「シルバーキーです」アサイラムは身構えるヤモトに侮蔑的な目線を投げる。「ダブル・イアイドの使い手か。劣等なり」四本腕のニンジャにカラテが漲る! 33

2015-06-28 22:41:02
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「ザッケングワーッ!」虚空から数体の追加ヤクザが出現即悶絶転倒した。「アーッ!」シルバーキーは己の頭を何度か殴りつけた。「実際キリがねえ。早くコマンダーを潰さねえと……俺は持久戦向きのジツじゃねえや」「行こう」ヤモトが呟いた。「行かせるか」アサイラムが地を蹴る!「イヤーッ!」34

2015-06-28 22:44:25
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「イヤーッ!」「イヤーッ!」ヤモトはアサイラムの連続攻撃をいなしながら走り出す。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」アサイラム、ヤモト、シルバーキーは並走を開始。アサイラムは四本の腕で続けざまに斬撃を繰り出す。圧倒的な手数。ヤモトは後手に回らざるを得ない。35

2015-06-28 22:47:57
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「グワーッ!」ヤクザ達が虚空から出現即悶絶!「シルバーキーとやら……貴様がなにか……しているな!」アサイラムの眼がフルメンポの隙間からギラリと光った。「イヤーッ!」「イヤーッ!」ヤモトはアサイラムの斬撃を必死で防御する。アサイラムはヤモトよりもまずシルバーキーを狙うだろう。36

2015-06-28 22:50:24
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「イヤーッ!」「イヤーッ!」ヤモトがカタナを打ち返す。直後、休ませていた別の腕が稲妻めいた斬撃を放った!「イアイド!」「グワーッ!」ナムサン!シルバーキーの腕部装束が裂けた。恐るべき事だが、イアイのタツジンは往々にしてこのように数十フィート離れた地点まで斬圧を届かせ物を斬る。37

2015-06-28 22:57:45
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KBAM!奥の建物の看板「カブキコラ」が斜めに裂けて落下した。今の斬撃はそこまで届いたのだ。シルバーキーは驚愕の目線を投げた。腕に傷は無い。文字通り皮一枚だ。ヤモトが激しい打ち込みでアサイラムの狙いを阻んでくれているのだ。まともにあれを受ければ真っ二つになるだろう! 38

2015-06-28 23:01:52
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「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ヤモトは防戦に徹する!「くッそ……どうする……どうする!俺がただの足手まといだ、これじゃ」シルバーキーはヤモトと並走しながら呟く。「このままじゃジリー・プアー……だけど……」「グワーッ!」虚空からヤクザが出現即悶絶! 39

2015-06-28 23:07:54
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シルバーキーは鼻血を拭う。「邪魔でしょうがねえ……いや……そうか」何らかの天啓を得た彼は接近してくる新たな敵に集中した。果たして、現れたのは透明ヤクザではなかった。ハイタカだ!「イヤーッ!」シルバーキーは走りながら両手をこめかみに当てる。目から血!転びかかる! 40

2015-06-28 23:11:59
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「シルバーキー=サン!?」ヤモトには手を貸す余裕がない。「イヤーッ!」「イヤーッ!」せめてシルバーキーが斬られぬよう攻撃をそらす事に専念するばかりだ。その時!BRRRRTTTT!墜落しかかったハイタカは空中でバランスを取り戻し、マシンガンで攻撃した!アサイラムを! 41

2015-06-28 23:13:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これは!」BRRRRTTTTT!オートマチック銃撃をアサイラムに集中させるハイタカ!アサイラムは二本の腕でヤモトに斬りつけながら、もう二本の腕を銃撃への防御にまわした。転びかかったシルバーキーが踏みとどまり、ヤモトに言った。「機械にやらせた!わりィ……ここ、任せていいか!」42

2015-06-28 23:16:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「勿論!」ヤモトはシルバーキーを見ずに答える。「こいつは、アタイが倒す!」「小娘!大きく出たものだ!」アサイラムが獰猛に笑った。ハイタカはアサイラムへ断続的な銃撃を行う。もはやニューロン・リンクは切断されている。文字通り、機械的に、書き換えられた命令を反復しているだけだ。 43

2015-06-28 23:21:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

KBAM!合間を縫ったアサイラムのイアイ斬撃を受け、ハイタカは爆散した。「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ヤモトとアサイラムの攻撃応酬を後に、シルバーキーは全速で駆け出す。目の血を拭う。無茶をやった。彼は数年先、数十年先の己の心身への悪影響を想像した。44

2015-06-28 23:25:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが、知った事か。彼は不安を振り捨てる。今は非常時だ。今日を生き延びられるかどうかの瀬戸際で、預金残高の類いを気にしても仕方ない。彼は再びこめかみに指を当てる。岡山県で夜空を見上げた時のように、彼の視界には光の粒が無数に見える。ニューロンの輝きが。幾つかの集合が。 45

2015-06-28 23:32:51