4/29 チョークさんとヒヅメ

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八尺ワダチ @kankyoizon2

《四月二十九日 夜》 ヒヅメ】久々に湯を浴びた体を、病室のベッドに埋めたのは、午後九時を過ぎた頃だった。治癒の後のリハビリ、軽い異能使用。今まで休んでいた分が、体にのしかかる。心地が良いとは言えない疲れだ。 「……」 黙り込んで、ふと思い出す。

2015-06-29 18:33:56
八尺ワダチ @kankyoizon2

ヒヅメ】立ち上がり、バッグの中に入れていた携帯電話と共に、世界から渡された何かをこっそり取り出す。ベッドへ戻り布団を被り、暗がりの中スマートフォンの明かりでそれを確認すると、電話番号が書いてある。世界のだろうか?そうなると、携帯電話を渡された理由も腑に落ちる。

2015-06-29 18:37:08
八尺ワダチ @kankyoizon2

ヒヅメ】なんの話がしたいのだろうか。携帯にその番号を入れて、ベッドの中で早速電話をかけてみる。 @tometis_story

2015-06-29 18:38:13
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】数回の電子音の後、その電話番号から音が聞こえてくる。「ただいまこちらの電話番号は使われておりません。もしご利用の方がございましたら、xxx-yyyy-zzzzまでお掛けください。申し訳ございません。ただ今こちらの電話番号は使われておりません。もし」

2015-06-29 19:39:30
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】なんの疑問も持たず、電話をその番号にかけ直す。一体何を、世界は自分に話すだろうかと思いながら。

2015-06-29 19:52:48
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】古臭いダイヤル音の後、数秒、間をおいてから息を吸う声が聞こえてくる。「Hai、どなた?」こんな時間に誰からだろうか、電話の向こうで影が嘲笑った。

2015-06-29 19:57:37
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】「……だっ……!?」 声が世界とは違うことに気づき、相手を問おうとする前に、その声の主に思い至る。間違いない、チョークだ。驚きのあまり、次の言葉が出てこない。世界は彼の電話番号を手に入れ、それを自分に情報として渡していたのか!

2015-06-29 20:06:44
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「Hai,どなたか知らないが、名前ぐらいは名乗ったらどうだい、Haha、もしもし?」電話の先から、大きなあくびが聞こえてくるだろう。

2015-06-29 20:08:29
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】世界が与えてくれた機会だ。どうすればいいのかはわからないが、無駄にする訳にはいかない。 「……八尺、ヒヅメだ」 相手が求める儘、自分の名を名乗る。

2015-06-29 20:10:59
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「これは驚いたな,WOW、びっくりだっ。一体どうしてだい?まさかまさか、あんたの方から電話をかけてくれるだなんてな!Hahahaah、やあひさしぶり、ヒヅメ」段々声が、上り口調へ変化する。

2015-06-29 20:14:30
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】「……久しぶりだ、本当に。最後に会ったのは何時だろうか?」 思ったよりも落ち着いた声が出る。声をひそめて会話を続けていく。

2015-06-29 20:21:38
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「まだ間もないだろう?二ヶ月か、三ヶ月かい?あ、そうだ、そうだ、丁度いい。あんたまでちゃんと伝わったかい。ワダチの件について」

2015-06-29 20:41:25
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】二ヶ月か三ヶ月……少なくとも、一ヶ月前に自分を襲ったときのことは、覚えていないのか。 「伝わっている。明日だな」 簡潔に答える。

2015-06-29 20:46:07
―― @tometis_story

@kankyoizon2 チョーク】「場所は世界に教えてあるから、あいつに聞いてくれ。ああ、そうだっ。せっかくのサプライズだ、誰か連れてきたい奴はいるかい?」

2015-06-29 20:48:40
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】「桐生……さんも、来い、という話だったな。その他に?別に誰も」 特に連れて来たい人間はいない。淡々と返す。

2015-06-29 20:50:23
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「さっき世界から電話があったんだが、来たそうだったぜ。誘ってやれよ。あとあんた、声に元気がないが、大丈夫?」

2015-06-29 22:35:08
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】「そうか、世界さんが……」 そこまで言って、ふと気づく。この電話番号をくれたのは世界。世界が後で連絡。あの場に来たがっている。 まさか、と思う。 「……世界さんは………貴様の仲間か?」

2015-06-29 22:44:04
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「なんだ?あいつ言ってなかったのか?全くしょうがないやつだ。あんたにあったら必ず言うように、って言ったはずなんだがな。仲間ってのには語弊があるが、友達さ。あんたの情報は、あいつから貰っていたよ」

2015-06-30 00:34:59
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】「……どんな情報を?」 いや、未だわからない。脅されて友達になったのかもしれない。逆にチョークの情報、例えばこの電話番号を手に入れるために、自ら擦り寄り面従腹背していたのかもしれない……。 そう信じたい、きっとそうだ、と考える。

2015-06-30 08:30:01
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「どんな?まあ、俺は捕まっていたからな。脱出してから奴とは知り合ったわけだが、あんたの方につくよういったりだけだとかな。世界のヤツとは、あんたつながりさ。殆どアンタと奴が話した内容ばかりだったかね」

2015-06-30 15:10:15
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】脱獄後、ということは自分が世界と会った後だ……。自分含め疑え、という世界の言葉が過る。しかし元々仲間でなかったことにやや安堵する。最初から嵌められていたわけではなかった。 「……なら、世界さんも、連れて行こう」

2015-06-30 17:10:29
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「安堵したのかい?はははは、そりゃいい。世界のやつはうまくやっているようだな。あぁ、何だったか、アイツは確か、御前の自由とかなんとかいってたもんな。勿論、あんたが決めたゲストなら、大歓迎さ」

2015-06-30 17:49:00
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】「吾の自由……?どういうことだ?」 世界、という人物がぼやけ始めているが、そもそも確固として分かりきったことなど何もないことに、今更気付いている。世界が疑うよう言ったのは、そのような自分への戒めだったのか。

2015-06-30 19:31:06
―― @tometis_story

@kankyoizon2 ――】「奴の言葉を借りれば、あんたの行動と意思の尊重、それの補佐。俺風に解釈するなら、やることなすこと全部あんたの為ってね」電話先で、くぐもった笑いが漏れる

2015-06-30 19:56:13
八尺ワダチ @kankyoizon2

@tometis_story ヒヅメ】「……、」笑い声を聞いて、黙る。 「世界さんの方から、貴様に接近したのか?」

2015-06-30 20:14:05
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