#僕の彼女の自傷癖がヒドい件(仮) 八話

第七話「告白」 白色雑音 (@nonogahi)による小説のまとめです。
0
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「ねえ………」 風が――― 「お願いと言うのはね?」 ―――凪いだ。 2

2014-11-16 23:35:16
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

夜の公園にKの声―――砂利(ざら)つく、雑音めいた、彼女の声が―――僕の耳と心とに纏わり付く。 「うん」 僕は頷いて、後を促した。 「あなたに、」 一言。 「私を、」 ひとこと。 「傷付けて欲しいの」 区切って。 区切って言った。 3

2014-11-16 23:35:35
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

言って―――言った彼女は両手でもって顔を覆う。 己の言葉を恥じるように。 僕の反応を恐れるように。 だけど。 欠損して全てを隠すに足りない指の先ではその見えている左眼、深泥(みどろ)色の瞳が刺すように、射るように僕を凝望(ぎょうぼう)の面もちで僕を見据えていた。 5

2014-11-16 23:37:20
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「………………」 「………………………」 「………………………………」 「やっぱり、ダメ?」 「違う、ちょっと待って………そうだね………ちょっと唐突だよ、それに、情報が足りない」 「情報?」 6

2014-11-16 23:37:34
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「そうだよ、いつ、どこで、どのようにするのかが分からない、それ以前に、君は………」 「君は?」 Kは、かくん、と手折られた百合のように首を傾げる。 「これ以上どうして自分を害(そこな)いたいの?」 7

2014-11-16 23:37:57
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「それは、違うわ」 泥沼のように澱んだ、しかし恂恂(じゅんじゅん)とした眼差しが僕を突き刺す。 「私は決して自分自身を貶め害う魂胆(つもり)で傷を付けたいとは思っていないの、本当よ?」 「じゃあ、どうして………?」 「それは………巧く言うのはとても難しいの。ただ………」 8

2014-11-16 23:38:23
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「私が私自身を傷付けたいと思うように、あなたは………」 「僕が?」 9

2014-11-16 23:38:37
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

「誰かの手足を、顔を、躰を、心を、人生を、翻弄して、玩弄して、嬲り者にして、歪めて、傷付けて、疵付けて、痛めつけて、鞭打って、蔑ろにして、蹂躙して、毀損して、破壊して、全てを滅茶苦茶にしてしまいたいと、そう思ったことはない?」 10

2014-11-16 23:38:53
白色雑音【僕の彼女の自傷癖がヒドい件】 @nonogahi

ぱん、と乾いた音が寒い、夜の公園に響いた。 僕の手が彼女の頬を打っていた。 11

2014-11-16 23:39:04