「独持」と「原始的」~ヤツメウナギの免疫の話~
(補足)ただし、不思議なのは、VLRにしても免疫グロブリンにしても、使っているのは主にリンパ球という点。細胞はどちらもよく似ている、でも、使っている武器だけが違うという状態。つまり、リンパ球の起源は、その武器より古いと考えられている。
2015-07-16 00:10:52武器など生まれる前から、兵士はいたんだろうか?それとも、最初のリンパ球は、我々の知らない武器を持っていたのだろうか?あたりが今のところの疑問。(私は、最初はみんなVLRを使っていた説を一応押している)
2015-07-16 00:12:01質問タイム。(専門家同士による)
@YYOI @Butayama3 VLRの機能は、ヒトの抗体と同じように働くと考えていいのでしょうか? つまり、なんらかの免疫担当細胞が、「分泌タンパク質」として生産して、可溶性タンパク質として、抗原に結合して中和するなど…と。
2015-07-16 00:18:04@y_tambe @Butayama3 これまでの結果から、糖鎖に強く結合するクローンもとれているので、免疫グロブリンでは強くくっつき難いタイプの抗原に対する抗体が作れるのではないか、という方向でも研究が進んでいます。投与は難しいでしょうが、病理検査的には使えるかもしれません
2015-07-16 00:20:27@y_tambe @Butayama3 VLRには、A,B,Cの3種類があります。AとCは分泌されませんが、Bは10量体を作って分泌されます。このVLRBを分泌する細胞は、なんと人などのB細胞とよく似た遺伝子発現のパターンを持っています。
2015-07-16 00:22:47@y_tambe @Butayama3 一方、VLRAとVLRCを発現する細胞のそれはT細胞に似ていて、なおかつ、これらを発現する細胞はエラで発達するという証拠が出ています。人間でいうところのエラに縁のある器官は、胸腺です。
2015-07-16 00:24:21なんかこう、遺伝子組み換えヤツメとか、せめて完全養殖とか、培養細胞とかあれば、もうちょっとせかせか実験進むんだろうが、なかなか大変よねこの分野で免疫やるって。
2015-07-16 00:26:34@y_tambe @Butayama3 T細胞、B細胞の分化がまず脊椎動物の共通祖先であり、その後、ヤツメ類ではVLR、その他脊椎動物では免疫グロブリンを基調とした装備を整えていった、という感じなのかもしれません。
2015-07-16 00:28:29@YYOI @Butayama3 なるほど。ちなみに自然免疫系は、どの程度まで共通してるんでしょう?…マクロファージみたいな食細胞系とか、Toll様受容体とか。
2015-07-16 00:31:54ちなみに、デロデロのスライム大好きヌタウナギもヤツメに近い生き物なので、3つのVLRを持っています。とは言え、4億年以上離れているので、違いも大きいけど。
2015-07-16 00:34:09@y_tambe @Butayama3 はっきりしたマーカーは得られていませんが、貪食細胞はいると見られています。TLR3がVLRC細胞で発現しており、その活性化はIL-16の産生や細胞の増殖を引き起こすことがわかっています。その他、いくつかのTLRが同定されています
2015-07-16 00:39:08VLR、わりと最近の論文だとこれかなあ nature.com.proxy.library.emory.edu/nature/journal… 最新の総説ならこれか。私も手伝ったやつ。 sciencedirect.com/science/articl…
2015-07-16 00:41:06@YYOI @Butayama3 なるほど。いや、まさに「収斂進化」って感じですね。これは確かに、たとえ「いわゆる」付きでも「原始的」とは呼べないなあ。最初にぶたやまさんが言った「独自の」という表現の方が正しかった。
2015-07-16 00:41:52ヤツメウナのあれはあれで、ヤツメウナギの「最先端」。
@y_tambe @Butayama3 「原始的」って伝わりやすいので僕もよく使うんですが、実際には今生きている動物は皆、現在の環境に合わせて進化しているので、祖先の面影は強く残っていたりしても、最先端であり、原始的ではないんですよね。
2015-07-16 00:44:59