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「響け!ユーフォニアム」主人公・久美子の心情描写に寄り添う京アニの本気

吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム」の脚本・演出の構成に深い考察を寄せる @japanoff さんのツイートを勝手にまとめさせていただきました。ただ流れて行ってしまうのはあまりにもったいないので。
2015年春期 アニメ 京アニ 考察 響け!ユーフォニアム
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メ之助 @japanoff
以前、一部の方から「響け!ユーフォニアム」の感想を書いてほしいと言っていただいていたので、これからしばらく連投しようと思います。個人的な感想なので完全に独断と偏見に満ちていますが、50ツイート近く続く可能性があるので、興味のない方はしばらくミュートかリム対応でお願いします。
メ之助 @japanoff
まず結論から。僕のユーフォニアムの評価はハッキリしています。一言でいえば、偉大な失敗作という言葉に尽きる。誤解を招きやすい表現ですが、これは僕のアニメ評における最大級の賛辞のつもりです。僕にとって傑作と失敗作は矛盾しない。
メ之助 @japanoff
むしろ失敗の名にすら値しないアニメ作品がいかに多いことか。あらゆる作品は失敗作であると偉い人は言いますが、そういう意味でユーフォは、少なくない欠点も含めて、テレビアニメ史における一つの試金石になったのではないかと思う。エンタメでありながら、アニメとは思えないサディズムがある。
メ之助 @japanoff
そもそも、なぜここまでユーフォに入れ込んだのかといえば、1話放送時、久美子というキャラクターの造形の仕方に、これまでにない京アニの挑戦的な姿勢を見てとったからです。明らかに、かつての京アニのヒロイン像と一線を画した描き方をしている。1話を中心に具体的に検討していきます。
メ之助 @japanoff
1話の久美子はどう描かれていたか。思ったことが口をついて出る、一見可愛げがない、何がしたいのか行動原理がわからない、入部の動機が見えにくい。特に視聴者が面食らったのは、最後の入部の動機の描写でしょう。事実、放送開始当初「なぜ入部を決めたのかわからない」という否定的意見が目立った。
メ之助 @japanoff
しかし動機の見えにくさが必ずしも描写不足を意味するわけではない。ここでは入部の動機がセリフに出てこない代わりに、アンニュイな表情カットの積み重ねや、初めてマッピが吹けた時の姉との回想、そこに至るまでの友人とのやりとりによって、いわばファジーな決断を彼女の心情に添って描いています。
メ之助 @japanoff
こういった作劇の方法は従来の京アニ作品にはなかったものです。しかも母親や幼馴染との日常芝居など、本来見せるべきではないキャラの裏側を、妙な生々しさで積極的に見せていく。明らかに久美子という女の子を、キャラクターというよりも一人の人間として描出しようとしている姿勢が読み取れる。
メ之助 @japanoff
従来のテンプレートなアニメ芝居にそぐわないこの妙な生々しさは、物語の構造にも通底しています。いわゆるシナリオが上手い凡百のアニメ作品とは異なり、展開の面白さよりも、主人公の繊細な心情描写の演出が最優先されている。ストーリーはむしろ平凡ですらある。
メ之助 @japanoff
ためしに久美子の心情変化を追う形で、簡単に1話の流れを振り返ってみます。同じ全国出場を目標に抱きつつも、覚悟の違いによる認識のズレから余計な一言を麗奈に放ってしまった久美子。その心のしこりが消えない中、何気なく入部しようと見学するも、当の麗奈が同じ学校であり、同じ部に入ると知る。
メ之助 @japanoff
葉月たちの前で入部を保留する久美子。公園のベンチで幼馴染と会話中、麗奈との経緯がフラッシュバックし、後ろめたさから逃れるように入部を取り消す。自室でサボテンに弁明する久美子。しかし楽器を始めるきっかけとなった姉から吹部をやめるのかと問われ、一人コンクール当時に思いを馳せる。
メ之助 @japanoff
どうしようかとぼんやりしていると、初心者の葉月が初めて吹けたのを見て、自分の原点を思い出す。改めて葉月たちから入部の勧誘を受ける久美子。翻意して入部を決める。そしてトラウマであった麗奈に声をかけようと息を呑むところで1話は幕。こんな感じでしょうか。
メ之助 @japanoff
こう見ると、徹底して主人公に寄り添ってドラマが描かれようとしていることがわかる。しかしなぜ久美子は入部を決めたのか。ここで重要なのは「入部の動機を彼女自身が認識できていないのではないか」ということです。けいおんの唯ちゃんが入部の動機に自覚的だったのとは対照的な描き方をしている。
メ之助 @japanoff
まだ見てくれてる方いるっぽいので続けます
メ之助 @japanoff
久美子自身にもわからないからこそ、なんとなく入部しようとしたり、建前では渋ったり、本音では翻したり、再び入部を決意するに至ったりする。さらにここで入部の経緯を思い出してみれば、彼女のキャラクター上の特性が見えてくる。要するに久美子というのは「主体性に欠けるキャラ」です。
メ之助 @japanoff
同じく主体性に欠けるキャラクターには、既に氷菓の折木奉太郎という先例がありますが、省エネ主義という彼の性格が、サブキャラの福部里志によってわかりやすく解説されているので、久美子の描き方とはまったくアプローチが異なるといえます。里志の解説はいかにも説明臭くて鬱陶しいですが。
メ之助 @japanoff
姉の影響で楽器を始め、友人の強い誘いがなければ入部しなかっただろう久美子は常に受け身の存在です。そんな彼女が、なぜ一度取りやめた入部を再び決意したのか。そこから逆算すれば1話の段階で答えが見えてくるのではないか。結論からいえば「音楽(ユーフォ)が好き」だからです。
メ之助 @japanoff
むろん1話では、久美子が音楽が好きであることは一言もセリフとして出てこない。しかしそうでなければ、マッピで喜ぶ葉月に対する久美子の微笑みや、麗奈から逃げたい→克服したいという心境の変化の説明がつかない。重要なのは、そのことに久美子自身が「無自覚である」ことです。
メ之助 @japanoff
①久美子が実は音楽が好きであること、②しかしそのことに無自覚であること、この2点を念頭に置けば、おのずと物語全体の流れが推測できる。例えば上記2点と、1話ラストで久美子が何をしようとしていたのかを照らし合わせてみれば、本作の本筋が「久美子の成長物語」であることは自明です。
メ之助 @japanoff
1話冒頭で主人公の克服すべき課題(麗奈との経緯)が提示され、1話ラストで主人公の成長の意志(麗奈と和解したい意志)が示される。そして「主体性に欠けるキャラ」が成長するとすれば、その「主体性の獲得」が物語の最終目標になると考えるのは自然でしょう。
メ之助 @japanoff
また、麗奈というキャラの特性を考えれば、彼女が主人公と対比的に配置されていることも明らかです。つまり音楽への愛に自覚的である麗奈が、同じ愛に無自覚である久美子を牽引するポジションにあること、この二人の「和解」がドラマ全体のターニングポイントになるだろうということ(8話が該当)。
メ之助 @japanoff
以前にも呟いた通り、原作を読まずとも1話の段階でこの程度の推論は十分に可能であり、仮に推測できずともニュアンスとしては視聴者に概ね伝わっていたはずです。少なくとも物語の方向性は読み取れるように描かれている。それらをセリフではなく、さりげない演出や間で見せようとする姿勢が偉い。
メ之助 @japanoff
もう既に需要なくなってきてる感…
メ之助 @japanoff
(ちなみに実際の放送では、大まかにいえば1話で久美子の課題と成長の余地が提示され、4話と5話で成長の兆し、6話で久美子ならではの活躍、8話で麗奈の「特別」思想に触れ(劣等コンプレックスの克服)、12話で1話冒頭の麗奈に追いついた久美子(成長の完了)が描かれています)
メ之助 @japanoff
ただ、ここで肝要なのは、このように推測できるように描かれていることよりも、物語としての展開の面白さ(シナリオ的な上手さ)をなかば犠牲にしてまで、久美子というキャラクターの感情芝居に重きを置き、そこにカメラがしぶとく付き合おうとしている点です。ここが決定的に従来の作品とは異なる。
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コメント

Eiji Sakai @elm200 2015年7月19日
まとめを更新しました。
Eiji Sakai @elm200 2015年7月19日
まとめを更新しました。
Eiji Sakai @elm200 2015年7月20日
サムネが久美子になるようにしてみました・・・。
底辺ゴミクソ @hvvibyxuglcy 2015年7月20日
私が無意識下で感じてたこの作品への感動を見事に代弁してくださってる…京アニ最高、ユーフォ最高、久美子ちゃんペロペロ
呉紋@おっさん @gomonz 2015年7月20日
ぼんやり思ってた滝先生の黒さや久美子の流されやすさがわかりやすく腑に落ちる所に持ってってくれた。ありがたい
アマノイワト @amanoiwato 2015年7月20日
久美子は単に主体性がないというより、実は姉の挫折を目の当たりにしていたり、中学時代のトラウマなどで無自覚に自我を抑圧していた、というのが理解できるにつれて感情移入できるようになった。その久美子の自縛に揺さぶりを掛けて解放に導くのが麗奈の存在で、やはりこのアニメは元から王道ど真ん中の主人公の成長物語だったのだな、と。
アマノイワト @amanoiwato 2015年7月20日
ただ、その主人公の本心なり本質なりがストーリーを徹頭徹尾丁寧に追って集中して観ていないと見えてこない、というのが、エンタメ作品してはちょっと厳しいかもしれない。
アマノイワト @amanoiwato 2015年7月20日
初心者だけどずば抜けた才能を秘めているとか、素人だけど前向きさやバイタリティで周囲を変えて引っ張っていくとか、逆にとことん卑屈でネガティブだったのが周囲の影響や試練を経て変わっていくとか、いずれも分かり易い特徴をもった主人公ならストーリーも作りやすいのだが、あえてそういう類型を徹底して排除して、久美子というキャラを造形している。
アマノイワト @amanoiwato 2015年7月20日
とはいえ、確かにリアリティはあるのだが、決してありふれた平凡キャラというわけでもないところが久美子の一筋縄ではいかないところで、それなりに屈折はしていて消極的だが決して凡庸ではなく、ある種の資質には長けているのだが、それが一般の「主人公」に期待されるものとはかなり異質という。
いかれるまぐろうさぎ @miruna 2015年7月23日
久美子という怪物をそこらへんの男からみて安心できる女に零落させるために書かれたような文章ですね
アマノイワト @amanoiwato 2015年8月7日
久美子は一見流されているようにみえて、実は周囲の状況を(無自覚に)利用して無意識の願望=「音楽もユーフォも本当は大好き、だから続けたいし思いっきりやりたい」を一貫して着実に実現している。語弊はあるがマゾヒスト的な資質が相当に高いw。だからこそ麗奈や副部長のようなサド的なキャラを引き付けてしまうのだろう。そしてそのサド側の本性や素の願望を無自覚に暴いてしまうというところもかえってマゾ的資質の高さを感じさせる。
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