「オーズ界秘境探検」第2章「次元城(仮称)と24匹のデモンズケルベロス」(後)&終章「星が綺麗な夜だから」――twitter詩小説「レッズ・エララ神話体系」中世編「時雨とエヴィルシリーズ」
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――詩小説、レッズ・エララ神話体系、中世編「時雨とエヴィル」 「オーズ界秘境探検」、第二章「時空城(仮称)と24匹のデモンズケルベロス」(後)
2015-07-20 09:17:13――前回のあらすじ! オーズ界に「落ちた」次元城にたどり着いた我らが時雨とエヴィル。城のリーダー格のジュンネスという騎士と話していくうちに、この城には地獄への門は封印されていて、その封印が解けかけている、と知る。急げ時雨とエヴィル!オーズ界が地獄第14階層に飲み込まれる前に!
2015-07-20 09:19:20【業務連絡】そういった前回のお話はこちらtogetter.com/li/849508 です。なお、実況タグは #レッズエララ です。よろしくお願いします。
2015-07-20 09:20:20眼前の竜に似たデモンズケルベロス5匹を、時雨は斬る。斬る。舞う、白い衣装で舞うように。回転、それはキリングブレードの舞踏。胴体をかっさばき、脳髄を割り、流血が彼女にしたたる前に、さあさ次のケルベロスを屠る!次元城のムチャな足場でこれだけの剣舞! これよ、これが剣聖よ! 1
2015-07-20 09:23:15あっという間に三匹殺害!それを縫うかのように、エヴィルは光刃魔法で浄化するように、ケルベロスを刺す!断末魔の声は案外すくなく、これが浄化殺しの所以である。朝日が闇の眷属を消すように。……あまりにラクそうな二人の解決に見えるが、これが彼岸の実力というものである。2
2015-07-20 09:25:08とはいえ、次元城、落ちてきただけあって、足元がすっごい崩れていて、足がとられることはなはだしい。ロクに歩けない。二人は旅人だけあって強靭な足を持っているが、それでも「人工建造物がこれだけ破壊されてるとこ」を闊歩するのは難しい。シーフ/レンジャー職がある所以である。3
2015-07-20 09:27:02ハッキリいって、先まで歩いてきたジャングルよりよほど困難な道程である。このままでは、いたずらに時間が過ぎてしまう……即ち、地獄の大門の開くのをミスミス見逃すことである。それはいけない……それはいけない!よってエヴィル、強引な作戦にでた。4
2015-07-20 09:28:17デモンズケルベロスはまだ出てくるが、そいつらを丸ごと――「略式詠唱、オルガ・エクスプロージョン!」エヴィルは爆発魔法によって一網打尽にする、と同時に、地下に向かって爆発させ穴を掘る!「エヴィルさんそんな乱暴な!封印が!」ジュンネスがいうが、「もう解けてるだろがい!」青年叫ぶ。5
2015-07-20 09:32:07かくして地下への道筋が強引に出来上がった。……爺がいったように、瘴気が漏れ出してきている。これを辿っていけばいい。というか、すぐそばのような気もする。「いくぞ時雨君!」「ほいさっ!」突撃……! 6
2015-07-20 09:33:11地下の封印の魔法陣に辿りつく。するとそこには、十六重の魔法陣がとてもボロくなっている。散り散りになっている。ムラサキ色のその魔法がかつては地獄を封印していたのだろうが……。「よし、やるぞ」「おねがいね」――すると、次々にさらにデモンズケルベロスが出てくる……10体以上! 7
2015-07-20 09:35:25「多いっつうの……時雨君、全部任せた」その答えには行動で示す。時雨は登場してきたデモンズケルベロスの群れに単独駆けていった。一挙に二つのケルベロスのドテッ腹を斬り飛ばす。戦とはそも、こういうものだ。刃鋭けれ、刺せ、斬れ、肉を裂け。さすがに地獄の骨は固い、冷え切った骨…… 8
2015-07-20 09:38:00闇を相手にしているようだ。どこまでも光のカケラもない生物を。血の臭い、肉を切る感触、ああ、戦だ。時雨は奇妙な充実感に満たされていた。これが自分の居るべき場所だ、と。倒錯、倒錯。だがこれが剣に生きるものよ。今はこの霧の――血の霧のなか、肉を切る。地獄の番犬、強し。相手に不足なし!9
2015-07-20 09:40:19その間、エヴィルは詠唱をはじめる。これは半ば禁呪に近しいものである闇魔法であり、ひとが見たら通報ものである。だが今の状況で正論いってる奴は死んでしまえ。 「――遠き場所に帰れ、時刻の午前二時に留まれや/血河すなわち短針、闇夜すなわち長針/クロック、クロカ、クルックス/」10
2015-07-20 09:42:44「まるで植物のように静かたれ――還れ、闇へ!闇へ!安逸なる血河の地獄へ! ドゥルボ・レッタ……ゴルベロス!」エヴィルは両手をかざして、魔法陣を復活させた。略式の対処もいいとこであるが、とりあえずは塞ぐ……。あたりの瘴気は、だいぶ減った。気づけば時雨は獣を流石に全部屠っている。11
2015-07-20 09:44:53「突貫工事だったね」「あとはエンドダン先端観測街の連中に任そうぜ。俺様たちが全部やるっていうのもなんだかシャクだ」そういいながら先ほどの人々が集まっている場所へと帰る時雨とエヴィルだった。ジュンソンはいう。「ご無事で……!何もかも任せてしまって」「とりあえず街いくか?」提案。12
2015-07-20 09:47:14というわけで街に行こうとする。だが、ほとんどの人は虚脱状態で、今しがた救った時雨とエヴィルに対する感謝のアレもない。……難民キャンプの虚脱感……。「俺様、そろそろいい加減にせえよ、と言いたくなる」「しょうがないのです……この城は長い間平凡平和が続いていて、突如の災害でした…」13
2015-07-20 09:48:49「それ回答になってねえぞ。おいお前ら」エヴィルは、打ちひしがれている皆に声をかける。「とりあえず俺らとジュンネスはこの近くの町に行く。死にたくない奴は着いてこい。死にたい奴はここにいろ。地獄のモンスターがはびこってるぞここらへん」で、さっさとエヴィルは行ってしまう。14
2015-07-20 09:50:18「ちょちょ、エヴィル君」「ちょっとエヴィルさん」無慈悲な青年に向かって、二人は「それはちょっと……」的な視線をかます。だが……「知らんがな。そろそろ状況も分かってきてるころだろ。これで【生き延びよう】としなければそれまでだ。それまでの連中の面倒などみきれるかっつの」15
2015-07-20 09:51:45「そんな【弱い】連中のことなど知るか」「【弱い】……」ジュンネスは口ごもる。きっとその口ごもりには、反発と、しかしリーダーたる忸怩たる思いがあるのだろう。「現実的に見ろよ。とりあえずこの土地に落ちてきてしまった。じゃあ適応してくほかねえよ。異論は?」「……」16
2015-07-20 09:53:55弱きもの。それは災害にあって前を見ないもの……というのは、さすがに暴論が過ぎる。だが、当座は生き延びなければならない。青年が言おうとしているのはそこだ。「そこ」さえもどうでもよくなってる人間は知るか。人間のサヴァイヴァル能力。ジュンネスは皆の処へいって説明をしだした。17
2015-07-20 09:55:30三十分後、エンドダン先端観測外に向けて、ぞろぞろと歩みを進める次元城の50人、それを先導する時雨とエヴィルの姿があった…… 18
2015-07-20 09:56:22――詩小説、レッズ・エララ神話体系、中世編「時雨とエヴィル」 「オーズ界秘境探検」、終章「星が綺麗な夜だから」
2015-07-20 10:21:49【これまでのあらすじ!】地獄の第14階層の封印が解けかかっていた次元城、なんとか時雨とエヴィルはそれを封印する。時間との勝負……タイムイズマネー……。だがそれよりややっこしかったのは、次元城の住民が無気力になってることだった。とりあえず街に戻る。
2015-07-20 10:23:42