【Re:AfterLife/MyImmortal】2/4

暗い話は苦手かい? 奇遇だな。私もだ
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葛葵中将 @katsuragi_rivea

Immortal [形容詞] ≪意味≫ 1.不死(身)の,死なない 2.不朽の,不滅の 3.永久の,不変の 対義:(⇔mortal:死の運命) Im(否定形) Im-mortal…死の運命への否定

2015-07-21 00:32:39
葛葵中将 @katsuragi_rivea

セピア調に染まる視界…それは追憶。夢の中に残る今は遠き記憶 "彼"が航空本部にいた時のもの 格好は陸軍の将校だろうか…一人の男が"彼"の上官に当たる者に向かい何か怒鳴っている 男が指をさす先には… 目を伏せる"潜水空母"の艦娘がいた。その肌は小麦色、日に焼けた色をしている

2015-07-21 00:35:06
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「伊---型とは何だ!?何故----は存在している!貴様ら海軍が秘密裏に建造を…」 陸軍の男が何かを言っているがところどころノイズが混じるように途切れよく聞こえない 夢とは所詮そのようなものだろうが…旧い記憶のはずのそれが思い出せないのは何故か、葛葵は疑問に思う

2015-07-21 00:37:05
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「貴様ら架空の予算を計上したな…?」 "彼"自身もその潜水空母の娘のことは知らない。全くの無関係。 しかし…何故だかその男の怒鳴る声は不愉快に感じた その"当人"と目があうがすぐに逸らした。視線の先には装飾用の軍刀が三つ、 その横では古い振り子時計が秒針の音を鳴らしている

2015-07-21 00:39:01
葛葵中将 @katsuragi_rivea

やがて…シーンがページを捲られたかのように移り変わる その艦娘の首を絞める陸軍将校の姿と… 苦しそうにもがく少女の姿、 その二つが視界に映る。その奥ではうろたえる上官の姿もある このままだと…彼女はこの男の手によってその命を失うだろう…

2015-07-21 00:40:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

少女と目が合う。目尻から涙を流し、もがく…もがき続ける 「(助…けて…)」 彼女からは声は出ていなかったがパクパクと動かす口は確かに…そう喋っているように見えた …自分には無関係だ。 "彼"は"現実"から目を逸らすように瞼を静かに閉じた

2015-07-21 00:42:08
葛葵中将 @katsuragi_rivea

だが…閉じる瞼の裏にこの夢よりもさらに旧い記憶が蘇る 白い髪の少女の姿が焼き付いて離れない…彼女は…助かったのだろうか… "彼"は、黒いフードを被った"化物"が白髪の少女に襲いかかる光景を想像する いや…まさかそんな… その想像が今、目の前で起きている現実と重なって見えた

2015-07-21 00:44:39
葛葵中将 @katsuragi_rivea

古時計が時を告げる音を鳴らした… ーーー次の瞬間。 大きく脈打つ心の臓と共に目は開かれた ドクン!と音を立てるかのように再び大きく跳ね上がる 視界が二重三重に揺れ…壁にかけてあった軍刀の一つを"彼"は手にし… ーーー陸軍将校の男に敵意をもった眼差しを向ける

2015-07-21 00:46:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

再びシーンは移り変わる 自分に向かい"恐怖"の目を向ける陸軍将校、その右手首から"先"は彼自身の足元に転がり…流す液体の色に染まっている (これは私が…ヤッタノカ?) 近くには先ほどの艦娘が呼吸を荒くし、首を抑えている 「…化け物め」 恐怖の表情を向ける男はそう言った

2015-07-21 00:48:22
葛葵中将 @katsuragi_rivea

(化ケ物…?私ニ向カッテ言ッタノカ…?ナラバソノクチ…二度卜聞ケヌヨウニ…) 静かに"彼"は歩みを進める。一歩…一歩…近付く度に恐怖の色を強くする目の前の"獲物"があまりにも滑稽に見えた (…消エロ…) 手にしていた軍刀を振り下ろさんと握る手に力を込め構えた…

2015-07-21 00:50:06
葛葵中将 @katsuragi_rivea

だが、その軍刀が男に斬りかかることはなかった。 「やめろ!"葛葵"!!」 上官の声。部屋の戸が勢いよく開かれ、複数の士官が入室してくる 多勢に無勢、程なくして"彼"は取り押さえられ…床に突っ伏した 「暴れるな!!」「手がつけられん」「抑制剤を!急げ!!」 ーーー……

2015-07-21 00:52:11
葛葵中将 @katsuragi_rivea

それから…"彼"は檻の中へと手錠をかけられ放り込まれた 「失敗作」「手首落とし」 以降は散々な言われよう。檻の中と柵を挟んでかつての同僚達に浴びせられた罵声の数々 向けられたのは"人"を見る目ではなかった… (後悔は無かったかもしれない。"あの子"を助けられたんだから…)

2015-07-21 00:54:01
葛葵中将 @katsuragi_rivea

脈絡のない旧い追憶の夢はやがて…その終着点へと辿りつく 真っ白な空間とその中央には一つ、先ほどの少女と瓜二つのシルエットをした黒い影が佇んでいた それが…異様な雰囲気を醸し出す その影は口に当たる位置を開く。周りの景色と同化した白色がそれを形作る

2015-07-21 00:55:54
葛葵中将 @katsuragi_rivea

その声は少女の物ではない。抑揚のない…機械的な声をしている ーーー何であんなことをしたの? (わからない。けど、後悔はない) ーーー後悔はない?本当に? (彼女を助けられたんだ。それで満足さ) ーーー助…ケタ…? 影の声は男のくぐもったような声へと変貌していく…

2015-07-21 00:58:38
葛葵中将 @katsuragi_rivea

少し…肝を冷やした。 目の前の影は…"目"らしき白い二つの◯を見開き"彼"に向けてくる。 ーーー助ケタ?ソノ後、沈メタクセニ? (彼女は…助かったのではないのか…?) ーーーオ前ガソノ手デ…沈メタ。苦シイ (そんな馬鹿な…嘘だ…!!そんなはずはない)

2015-07-21 01:01:16
葛葵中将 @katsuragi_rivea

ーーー結局、助ケラレハシナカッタ (嘘だ…そんな…) 両の手で耳を塞ぎ…蹲る。 それでもなお、声は頭に直接響くように聞こえてくる ーーー咎ヲ背負ウ者。 (うるさい!黙れ…!!) 影はケタケタと声を上げ笑い出す。 蹲る"咎人"を見下し、一言だけ…呟いた。

2015-07-21 01:03:03
葛葵中将 @katsuragi_rivea

影の声と…"あの男"、野次の声が重なり発せられる言の葉は深く深く胸に突き刺さる ーーーオ前ハ無力ダ。 ーーー葛葵。 視界が歪み…暗転していく。 影の目と口は「笑う」…そんな形状を作り出していた… ーーーー…

2015-07-21 01:04:44
葛葵中将 @katsuragi_rivea

ピピッ!デジタル時計が時を告げるアラームを鳴らす 葛葵「…ハッ…」 いつの間にか…微睡みの中に落ちていたらしい 額から大量の脂汗が滲む。 プッ…プッ…と意識が落ちる前から鳴り響く音と…自らの手の中にある小さな手を見て安堵の息を漏らす (……あれは…一体…)

2015-07-21 01:07:32
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「…ひどくうなされていたようだが、よく眠れたかい?冷やさん」 不意に背後から声がかかる 野太くそれでいて力強い、それは彼がよく知っている声だった 葛葵「…人の"鼾"をこっそり聞くなんて趣味が悪いな。ザハさん」 振り返るとそこには魔女帽を被る長身の男が壁にもたれかかっていた

2015-07-21 01:08:57
葛葵中将 @katsuragi_rivea

第一種軍装を身に纏い、全身黒一色…白い装飾などを指し色で挟む。 さながら「白黒の魔法使い」とでもいった格好をしている 通称:霧雨…もしくはザハと呼ばれる男が葛葵に目を向けていた ザハ「それはすまない。…"鼾"には聞こえなかったけどね」 返す刀で間を置かず返答をしてきた

2015-07-21 01:10:15
葛葵中将 @katsuragi_rivea

彼、霧雨もまた…ここ、横須賀に招集された司令官のうちの一人 舞鶴に籍を置く熟練の提督である。 長身かつ大柄な体躯と合わせその風格が只者ではないことを漂わせる ザハ「…その子の様子はどうだ?」 葛葵「…」 葛葵は目線を霧雨から外し、眠る少女へと向ける

2015-07-21 01:11:25
葛葵中将 @katsuragi_rivea

あれから二日経つ今も、眠ったまま意識を取り戻さない少女 野次に言われた「お前は無力」という言葉が現実味を帯びている… そんな考えがこの間、頭の中を駆け巡っていた 実際、彼に出来ることといえば…こうして小さな手を握りしめ、祈ることしか出来ない

2015-07-21 01:13:07
葛葵中将 @katsuragi_rivea

葛葵「…医者ですら匙を投げた。 もう…長くはないそうだ。」 霧雨に目を向けずに背を向けて葛葵は返答する。 ザハ「…そうか…」 とだけ霧雨は目を細め返した。 彼の表情は伺い知れないが… その声には"悔しい"そんな気持ちが篭っているように感じた

2015-07-21 01:15:35