花百姿まとめ

#花百姿で書いている、ツイノベ×花の写真の花小説のまとめです。
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みお @miobott

#花百姿 春に遅れて花を付け、梅より甘い香りで人や虫の心乱し、清楚に見えてその実、闇夜に映える紫の花。艶やかなその花に塗れて死ぬのが私の夢である。なあ。と声をかけ、顔を上げれば幼子のような純たる愛らしい花弁が私を見つめてにいと笑った。 pic.twitter.com/CePzmBemnn

2015-05-03 22:01:42
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みお @miobott

#花百姿 透き通るような白肌の、その曲線を彩る白無垢の艶やかさ。伏せた顔に朱の目尻。桃色の唇をかすかに開く花嫁は、朝にだけ咲き誇る蓮の娘である。 pic.twitter.com/UnJtP1foZa

2015-07-05 23:07:35
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みお @miobott

#花百姿 陰鬱な梅雨薄曇りの朝、せめてのも憐れみを添えてか地蔵の前に赤子が置かれた。嘆く細腕は枝となり、声は葉となり、纏う産着は艶やかな青や赤の花となる。穏やかなる石の地蔵は、かすかばかりの憐れみを浮かべられ、名残梅雨に頬を濡らした。 pic.twitter.com/8fPKFbwqNT

2015-07-08 23:11:54
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みお @miobott

#twnovel 彼は忠臣だ。しかし主は死んだ。主を守る夢は費え、彼はただ一人残された。それでも彼は、目一杯枝葉を広げて空になった主の居城を包み続ける。「さてもこれこそ天下一の紅葉である」主の声が聞こえた気がして彼は秋雨の涙を流す。 pic.twitter.com/KilX0jE80u

2015-12-05 22:06:16
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みお @miobott

#twnovel 色づきの悪かった紅葉が、今朝になって急に色づいた。それは秋に死んだ男があるからだと妖が嗤う。この季節に逝く人は幸せ者だ、紅葉の妖怪、呉葉の姫のお迎えがござる。振り仰げば赤の紅葉に包まれて妖と共に空を遊ぶ男が一人。 pic.twitter.com/hNceJX1rot

2015-11-30 21:18:25
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みお @miobott

#花百姿 黄色のドレスが似合うその女は俺を太陽と呼んで崇めた。愛の喜びは間も無く重圧に変わる。女から逃げ出せば、追いすがる女は一人二人と増えていく…どれも黄色の女だ。倒れて気付けばそこは向日葵畑。彼女に似た大輪の花が俺を見下げて笑う。 pic.twitter.com/Eo8l7CifMK

2015-07-08 22:58:19
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みお @miobott

#twnovel その桜は曇天を狙って花を付ける。何故かと目白が訊ねれば「醜い桜ですから」と控えめに言った。彼女の名はオカメ、曇天に咲く様はあたかも薄墨に朱を滲ませたような美しさ。「恥じらい開く姿がまた愛おしいのだ」と目白が囁いた。 pic.twitter.com/mmzMeGAhIx

2016-03-06 18:39:31
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みお @miobott

#twnovel かつて山賊と成り果てて首を落とされた男があった。彼が真に守りたかったのは、山に育つ椿の巨木である。彼のおかげで椿は守られ、冬から春に向けて美しい花を付ける。そして今でも彼の首を象った塚に、一輪の花を捧げるのだ。 pic.twitter.com/Pajagmb5eG

2016-03-21 20:14:22
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みお @miobott

#twnovel 昨年の春、愛した娘を尋ねて男は遠い旅をする。ようやく出会ったのはまだ春浅い、青靄の朝のこと。彼は待ちかねたように彼女の顔を覗き込む。「やあ、おはよう」もう春だよ、の呼び声に彼女は震えるように蕾を開いた。 pic.twitter.com/X3YVEs4xkg

2016-02-28 21:22:45
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