現役音楽家の語る、technical termから学ぶ『語源』と、その先にある『哲学・存在論・認知論など』  Presented by 伊東乾

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Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

今年上半期の仕事の目算を立てる。録音予定。作曲スケジュール。執筆アウトライン。本や原稿は硬いものもやわらかいものも実は(一人の人間ですので)共通の根っこがあります。一つは中東イスラムだけどこれは少し長丁場。むしろ数年やってきた 「正義と国語」「法と文法」なんてテーマをまとめる予定

2011-01-02 16:28:02
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

例えば音や光のambienceから環境脳認知の話を少し考えるとして、それとambienceの語源ambireからBoys be ambitious.なんて脱線しつつ、単に脱線だけでなく"amb"周回して歩き回る彷徨とstare立ち止まり凝視する二つの存在論とか真面目に考えられる訳

2011-01-02 17:11:37
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

今年前半の一つのキーワードは「耳元で囁き続ける声」。昔ゴダールの映画周りでも出てきたような話だが、声と言葉の音楽音場分析の現場からもう一度出てきた大切な鍵語になった。フランスの哲学者B.スティグレール宛のペーパーを若い共著者と日仏英語で準備しようと思うのが大学周辺でのミッション。

2011-01-02 17:26:28
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

例えば「正しい文法」ってナンだろう?と考えてみる。ポール・ロワイヤル文法とかフランス人向けの問題設定かもしれない。文法を正当化する論理があるかというと実は無いんですね。必ず不規則変化や例外がある。ではこの文<法>の「正しさ」、言葉の正義とは何かと考えると、脳は「反復」だと教える訳

2011-01-02 17:37:39
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

日本語の「文<法>」という言葉も面白い。ラテン語由来ならGrammerつまり書字の法ということになる。口語というより<記される>事で本来は意味が確定する筈。ポイントは徴税とか法律とか考えると良い。ところが裁判などで争うとき識字しない人を相手にすると「声の説得力」で押し切る事になる

2011-01-02 17:42:17
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

相手に対して説諭する<口頭の技術>はdia-LECTICAであってGRAMMERでは(本来)ない・・・「グラマトロジー」という初期デリダの問題系だけれど、これをシュレーダー=安藤理論とそのちょっとした拡張などで実測可能な道具を作ったので、現実に脳の機序に照らしてメディアを問おうと

2011-01-02 17:45:52
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

さて、昨日へんな「クイズ」をお出しして失礼した正解を。いま両目でこのモニターを見ている人が、片目ずつ目をつぶると、片方だと絵柄が動かず、もう片方は違うアングルになるのがわかると思います。眼科でよくやられる「利き目」判別法で、アングルの動かないほうの目で私達は文字を読んでいる訳。

2011-01-02 17:54:41
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

ここから先フランス人にもドイツ人にも受ける所で、つまり「文字読解」は「単眼視」monocularなんですね。ルドンの絵つきで「知性は一つ目巨人Intelligence as Kuklops」なんて話すとどこの国でも皆んな関心持ってくれます。実はこれ目だけでなくて耳もそうなんですね

2011-01-02 17:59:35
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

いくらテクノロジーが発達しても携帯電話はモノラルだしAMラジオもなくならない。何故?人が音声言語として意味を理解しようとするときは(文字を読もうとモニターを見るのと同様)片耳だけの情報しか使わないんですね。もう片耳の音はスルーしている。ちょうど本を読むとき片目の図を無視する様に。

2011-01-02 18:02:15
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

逆に両耳に言葉が等価に入ってくるとBinaural Masking両耳遮蔽といって意味が解りにくくなります。両目に文字を並行独立して提示すると読解スピードが鈍る筈。ポイントは言語認知など高度な認知を行う際人は片目片耳だ、ということです。コレを公理にギリシャ哲学など読むと面白い。

2011-01-02 18:06:19
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

でも僕達人間は目も耳も2つずつついている。どうしてか?「アンビエンス」を知る必要があるからです。野生動物がえさを探したり外敵から身を守るときには「場」「空気」が読めないとヤバいでしょう?両目で見れば獲物や敵との距離も視差で正確に測れるし両耳があるから見えない救急車の移動がわかる。

2011-01-02 18:09:30
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

つまり人は立ち止まってstare単眼で凝視し沈思黙考する知性と、歩き回ってambire環境の中で相互作用しながら生きて行く知恵と、少なくとも二つの認知のチャネルを持っている。豊かな音楽のサウンドは両耳アンビエントだし歌の歌詞は単耳モノーラル的なほうが聞き取り易い。区別が必要だよと

2011-01-02 18:12:27
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

ちょっと難しいでしょうか?これがD論(1998)から研究室を開いて12年、柏野氏の仕事や安藤モデルの助けを借りながらまとめた僕の仕事のアウトライン、一つの導入です。両耳で環境を知るというのは実は自分を知る(自己定位)事でもあるですね、つまりCOGITOだ。で哲学の対話が可能になる

2011-01-02 18:16:27
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

NHKブックスには12年前のD論(「動力学的音楽基礎論」)の問題設定から、そこで解き残し、の後に解決した問題の多くを、デリダなども参照しつつ出来るだけ平易な表現で書いてみるつもりです。本当はSpringerあたりで標準的なテキスト出せれば十分なのですが、知って貰う事も大切なので。

2011-01-02 18:20:58
Ken ITO 伊東 乾 @itokenstein

こうした仕事はすべて1987年頃から95年頃にかけ、音楽の現場でぶち当たり、国際的に誰も解決していない音楽の本質的な難問(例えばシェーンベルクが1908年ごろに提示した問題群)への、可能な限り長寿命な答えで、どれも具体的な作曲や演奏、録音やメディア展開の実践的な知恵となるものです

2011-01-02 18:24:51