かき氷だから書氷

#書氷 に集まりましたかき氷がテーマのおはなしたちをまとめました。
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風岡なつ @suzu_lan06

「そう言えば、さ」君は自分の氷山をザクザクと崩しながら言った。「猫って氷大丈夫なのかな」「え?」君の氷山の青い溶岩を横目に私もつつく。「わからない、けど」私は無理やり笑う。「大丈夫なんじゃないかな」バレてない、きっとバレてない。私が君に恋した化け猫だなんて、バレてない。#書氷

2015-07-29 21:55:46
風岡なつ @suzu_lan06

一度だけ、好きな人とお祭りに行ったことがある。私は全部覚えている。 彼が掬った金魚の数も、彼が買ったカキ氷の味も。私はいちご、彼はブルーハワイ。「ブルーハワイて何味なの」「ブルーでハワイって感じ」おどけた彼はもうここにいない。#書氷 「恋の味だよ」なんて言えなかったし今も言えない

2015-07-29 22:05:03
水木ナオ @nayotaf

『山深く、獣道を登って辿り着くのは、かき氷専門店!洞穴の天然氷を削った氷はふわふわまろやかな舌触り。もしやこれを計算しての立地なのか、登山の汗を拭いつつ、喉から胃の腑へすうと滑る冷涼感たるや…!冬季は休業の人気店、店主は一体何者?』「熊だろ」「熊だよな」 #書氷 #twnovel

2015-07-29 22:07:28
爽月柳史@月の夜ざらし @ryu_shi_so

「あんまり好きじゃないんだ。頭も痛くなるから」神経質そうな瞳を細めて兄さんが言った。不満げに低い声は、彼を悩ましげに演出する。「食べなくてもいいよ」と言うと、兄さんは首を振った。「兄さんは我儘だね」「だってお前が戻ってくるのはこんな時しかないじゃないか。頭痛なんて平気さ」 #書氷

2015-07-29 22:35:27
七歩 @naholograph

本当は冷めているのに甘ったるい可愛さで誤魔化してまるで私たちみたい。かき氷が好きな理由を捏造すると貴方は殊の外気にいったよう。ならかき氷にしましょうってだけど本当の理由はそんなじゃない。ふたりでふたつは多いから分け合うひとつきりの、シロップはそう赤がいい。#書氷 #twnovel

2015-07-30 00:42:22
空星中尉⋈ 🇺🇦 @Megane_Syoui

この日、営業所の最古参のバスの引退が決まった。故障したエアコンが古すぎて部品がないのだという。かき氷屋のラッピング広告がされた彼女の最後の仕事は、高校野球決勝戦の臨時シャトル便で、エアコン無しで頑張ったが、その日はかき氷屋の売上に貢献したそうな。 #書氷 #twnovel

2015-07-30 10:34:07
空星中尉⋈ 🇺🇦 @Megane_Syoui

田舎のバス方転場の脇に、その駄菓子屋はあった。かき氷の幕がしきりに誘うが、大抵は横目に折り返すしかなかった。真夏の昼下り、10分の時間が空き、欲望と好奇心に負けて駄菓子屋へ。練乳あずきのかき氷は、バスの発車が五分遅れるほど美味だった。 #書氷 #twnovel

2015-07-30 10:52:17
久遠青@ただの日常 @blue_nc

思わせぶりな君が悪い。流れる人の波の中、ひとり時間を止めて呆然と立ち尽くす。なぜ、どうして、という問いが脳内に浮かんでは溶けていった。誰かと肩がぶつかる。ばしゃっと音がして、持っていたカキ氷が地面に。ああ、溶けてしまった。じわりと地面に黒く広がっていく。時が動き出す。 #書氷

2015-07-30 12:35:52
紅石英 @crossuprise

『シロップ自由』の貼り紙を見て調子に乗って買ったそれ。イチゴもメロンもレモンもブルーハワイも、と欲張ってかけたかき氷は手の中でどす黒く溶けていった。そうかこれが俺か。さっき境内の裏で叩かれた頬がじんじんと痛む。浮気者の末路はすぐ目の前にあった。 #書氷

2015-07-30 14:37:05
七歩 @naholograph

#書氷 迷子のゆきんこがたどり着いたその村は夏。暑さでついに行き倒れると額に氷の感触が。食いな。続け様ずいっと差し出された雪山に目を見張る。次々と繰り出される色とりどりの雪山。もしやこの方は。ゆきんこは故郷に手紙を書く。雪女様にお仕えします。どうか心配なさらずに。#twnovel

2015-07-30 15:52:27
SAIKI @saiki_vc

鮮やかなそれを一口。ひやりと口の中が冷えていく。隣は空席。すくっては口に放り込み、二人で食べようと言った約束と一緒に飲み込んだ。かくして氷は元の水。#twnovel #書氷

2015-07-30 16:05:19
みじん子 @000plankton000

青いかき氷をじっと見つめて、娘が何やら考えている。今パパとちゅうしたら、べろ、むらさきになるのかな。なるほど娘の舌は青くて、おそらく僕の舌は赤い。どこでそんなこと覚えてきたんだと問う前に妻が言う。「今度パパとママが試しておくわね」悪戯っぽい微笑みに、何故だか汗が止まらない。#書氷

2015-07-30 18:19:04
Yuzuka @Yuzuka_666

#書氷 「かき氷を30こ頂戴」 花柄の服の初老の女だった。味は何でもいいです。他には一言もしゃべらず、削られる氷をぼうっと眺めていた。翌日電話が鳴った。町外れの神社の境内に、たくさんのかき氷が供えられていたという。氷はみんな溶けて、岩や階段がシロップの色にそまっていたそうだ。

2015-07-30 19:20:15
咲良 潤 #言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

白熊アイスを一口もらうのがお決まりだった。私が好きなのはさくらんぼ。彼がくれるさくらんぼは練乳のかき氷が絶妙に乗ってて最高に美味しい。だから彼からいつももらうのだ。でも最近気づいた。自分で同じように食べてもそんなに美味しくない。やっぱり彼からもらわないと。#twnovel #書氷

2015-07-30 21:35:14
氷月みまり(はしー) @risemimari

#書氷 「あのフードコートのカキ氷、色がスゴイよ」と友人たちが言って、部活の無い日に一緒に食べに行った。鮮やかなカキ氷と、手鏡片手にべーっと見せあった互いの舌と唇。校則違反の色つきリップを塗ってるみたいで、誰かに見つからないといいなと思った。それと、イチゴを選んで良かったなとも。

2015-07-30 23:03:41
吹雪舞桜 @yukiuta_32

早めの夏休みで帰った地元は例大祭で賑わっていた。幼い頃、毎年幼馴染みに連れ回されたのは良い思い出だろう。「すみません、かき氷ひとつ」「あいよ、今年は一人なんだね」「えぇまぁ」渡されたのは青いかき氷。「え?」「いつも二人で頼んでたからね、よく覚えてるよ」前言撤回、良い迷惑だ #書氷

2015-07-31 01:17:18
いこ @Iko_kurusyo

カラカラ、ガリガリ、トロトロ、しゃりしゃり。 「まるで音楽会みたいだね。」 「どうして?」 「だって、氷を入れる音、氷を削る音、シロップをかける音、かき氷を食べる音。大合奏じゃない!」 #書氷

2015-07-31 04:06:43
らし @rashi_catwillow

家に帰ると誰もいなかった。開け放たれた座敷の真ん中に、できたばかりのかき氷がひとつ。私は座ってスプーンを持つ。誰がつくってくれたのかな。母さんだろうか?いや、ばあちゃんかな?暑かろう、とかいってさ。この夏のあちら側では、私の通夜が行われている。氷の粒を食む。蝉の声は透明。 #書氷

2015-07-31 08:01:03
七歩 @naholograph

#書氷 ブルーハワイがあるんだからおかしくはない。イエローバンコク、ホワイトロンドン、レインボウアラスカ。その店のシロップは色と地名の組み合わせ。僕はゴールドトキオを選ぶ。一口、また一口。すると臨時ニュースのお知らせが。「東京が、消えました!!」キーン。頭が痛い。#twnovel

2015-07-31 08:11:57
樹真一 @nekomimi328

さくしゃくと氷を噛む。とろとろの甘味が溶けた氷で薄れ、するりと喉を流れ落ちた。青も、赤も、黄色も。どれも同じ味だと聞いたことがあるが、その色合いが味わいを変えていた。一夏の魔法だったのかも知れない。――キン、と頭痛。氷を噛む。一滴だけ、涙が出てきた。夏が、もうすぐ終わる。 #書氷

2015-07-31 15:23:41
きづき @kiduki55

#書氷 しゃくしゃく、と氷を食む。人の子はなんでこんなものが好きなんだろう。冷たくて頭が痛くなる。でも。角を隠すだけじゃ駄目だった。舌をちろりと出してみれば、見事な苺色。これなら、逃げられないかな。今度は、交ぜてもらえるかな。赤い水を飲み干すと、甘すぎて喉の奥がきゅうっとなった。

2015-07-31 19:58:55
柊 菜月@沈殿丸 @ragi_light_moon

カリリ、と食んだ氷が喉を爽やかに通り過ぎていく。ミントの葉を漬けこんだそれは噂以上に清涼感を与えてくれた。星祭りのおみやげだと言って彼がくれた星氷。私も一緒に行きたかった、なんて言えるはずもない。隠し味のラズベリーが香り、甘酸っぱい恋の味がした。 #書氷 #twnovel

2015-07-31 22:01:23
水谷なっぱ @nappa_fake

しゃりしゃりと音が聞こえる。なにかと思ったら彼女が氷を削っていた。そんなもん削ってどうすんだ。眺めているとその氷に砂糖水をかけて食べ始めた。よほど腹が減っていたのだろうか。俺に言えば菓子のひとつくらいくれてやったのに。しかし彼女が満足そうだからいいのか。 #twnovel #書氷

2015-07-31 23:45:19
水谷なっぱ @nappa_fake

彼女に氷を削ったものを渡された。……私、そこまで飢えてないんだけど。よくわからないままに口に運ぶと、冷たくて甘くてとてもおいしい。ただの氷だと思っていたのに、全然違う。こんな食べ方もあったんだ。隣では彼女が満足そうに微笑んでいて、なおさら嬉しい。 #twnovel #書氷

2015-07-31 23:47:46
水谷なっぱ @nappa_fake

がりがりと氷を削る彼女。これで何日目だろうか。ここ数週間、毎日のようにかき氷を繰っている彼女だが、飽きはしないのだろうか。おれは二日目で飽きて食べるのをやめたんだがな。もともと甘いもの好きでもねえし。あと一か月は暑い日が続くが、ずっと続くのだろうか。 #twnovel #書氷

2015-07-31 23:50:13
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