- yuu_yuu_to
- 2912
- 1
- 0
- 1
このケースにおいて、彼女は嘘を付きたがっていない。嘘を付くことにさほど自分のメリットを感じていない。逆に嘘を付いてもらいたがっているのは上司である。「体調不良のために遅刻」というのは社内的にOKだが、「単に遅刻した」というのは正さないといけない。
2015-08-01 01:37:16でもうちの彼女は怠惰だし、上司に注意されたぐらいで遅刻を減らすようなタイプでもない。今まで散々、遅刻を減らすように言われてきたが、それでもあまり減らない。会社は人手不足なので、まあ、クビにするぐらいなら遅刻しても来てもらった方が良いようだ。
2015-08-01 01:38:40そういうわけで、とにかく、形の上だけでも社内的にOKの形にしてもらいたい。それが「体調不良による遅刻」という嘘を彼女に期待する形になるわけだ。このケースの場合、嘘が誰の得になるのかと言うと、上司の得になるのだろう。
2015-08-01 01:40:44一般には遅刻した時「早く起きて動くのがかったるかったから、遅れました」だと「やる気がない社員」とみなされ、「体調不良のため遅れました」「電車の遅延のための遅れました」だと「仕方がないこと、本人は悪くない」とみなされる。
2015-08-01 01:45:10そして、実際には単なる寝坊や無気力による遅刻であっても「体調不良のために遅れました」と嘘を付いて言い訳することで、「その言い訳が本当かどうかはわからないが、少なくとも、『確かにそれは仕方がない』と思われそうな嘘をつくほどには、会社からの評価を気にしてくれる社員」とは思われる。
2015-08-01 01:47:35うちの彼女は「会社からの評価が下がったって別にかまわん」という態度で平然と「電車に乗り遅れたので遅刻しました」「寝坊したので遅刻しました」と述べるものだから、非常識でやる気のない社員というブランディングはなされているであろう。
2015-08-01 01:48:49次は嘘によって手に入るもの「3.自己評価(自分への体面、承認欲求の充足)」について。これは、これだけでご飯三杯いけるようなネタだ。真の嘘つきは自分をも騙す。嘘を付いているうちにその人の中ではそれは真実となり、それが嘘だと認識できなくなる。嘘を付いている自覚なく嘘を付く人はこれだ。
2015-08-01 02:03:02「2.他者評価」と「3.自己評価」はコインの裏表のようにセットになっていることが多い。たとえば、ある人がTwitterやブログで「私は一切の差別を許さない」と言ったとする。その後、その人の発言が差別を含むと非難される。すると「何事にも差別的な面があり、量の問題だ」と答える。
2015-08-01 02:08:17そこで誰かが「あなたは過去にその人が「私は一切の差別を許さない」と言っていたけど、その言葉と今の「何事にも差別的な面があり、量の問題だ」は矛盾しませんか?」と問いかける。そのとき、彼は自信をもって「私はそんなことを言っていない。お前は何を読んでいるんだ?馬鹿か!?」と返す。
2015-08-01 02:10:07このようなケースの時、本人は実際に「私は一切の差別を許さない」などとは言っていないと思い込んでいたりする。偽の事実を主張しているので嘘ではあるが、自覚がない。無自覚な嘘だからこそ「私は一貫したことを主張している」というセルフイメージ、自分への体面を保てる。
2015-08-01 02:11:44言うことがコロコロ変わり、その事実を指摘すると怒って否定するタイプの人間は、自分に対しても嘘を付けるタイプの人間である。人間は誰でもそういうところがある。ただし、人によってその量が非常に多い人と、少ない人、言われてもなかなか気づけない人と、わりとすぐに自分の嘘に気づける人がいる。
2015-08-01 02:13:33他人の自慢話に付き合うというのは、多かれ少なかれ、相手が「自分は立派な人間、優れた人間、人から好かれる人間、いい人間である」などと信じたくて、自分をも騙したいときに共犯者になるということだ。相手が自分に対してつく嘘に協力してやる。こっちも一緒になって嘘を付いてやる。
2015-08-01 02:15:36自分への嘘のことを精神分析の世界では「防衛機制」と呼ぶ。自分で自分を騙し、嘘を付くのは、セルフイメージを保たないと、心が壊れてしまいそうになるからだ。防衛機制を封じられたら自殺してしまう人も出る。防衛機制、自分への嘘は、自分の心を守る仕組みのひとつだ。あまり責めても仕方がない。
2015-08-01 02:21:57さて、色々と嘘について書き散らしてきたが、ここで一度鈴木さんのツイートに戻る。「嘘を付くのは得なのか?」 twitter.com/yuu_yuu_to/sta…
2015-08-01 02:23:45@mentane めんたねさんは、人が見ていない場合の振る舞いや、嘘についてはどう思っていますか? 僕は「見ているかいないかは確認しきれない」「嘘はバレるものだと思うべき」という形で常に倫理的であるのが得、という結論に至ったのですけれども。
2015-07-30 19:35:52「嘘を付くのは得なのか?」それに対するぼくの答えは、最初に定義したとおり嘘をフラットに幅広くとらえるならば、「得する場面はかなり多い」というものになる。嘘をつかないで社会生活をしようとしても、私たちはたいてい行き詰る。多分「あのアスぺ野郎、空気読めよ」と言われることになる。
2015-08-01 02:26:44進化的に見ても、嘘には一定の効果があるので発達してきた。状況に合わせて効果的で緻密な嘘を付ける人ほど社交能力が高いのだと思う。その一方で、嘘にはデメリットもある。ばれると評判を落とす嘘がある。(ばれても評判を落とさない嘘もある)嘘を付くには記憶メモリーやら思考力やらを要する。
2015-08-01 02:29:57そして、おそらく鈴木さんがぼくに尋ねているのは「自分利益-相手不利益」型の嘘をつくのは損か得か?ということだと思う。これに対する答えも「場合によって異なる。確率の問題が絡むが、嘘を付いたほうが総じて期待値が高いという場面はある」というものになる。
2015-08-01 02:33:46一概に「嘘を付く方が損」とか「嘘を付く方が得」とは言えない。ただ、一つ言えるのは「下手な嘘はつかないほうが得」ということである。嘘を付いて成功したときに得られるメリットが小さく、失敗したときのデメリットが大きい、また、失敗の可能性が高い、こんな嘘はつかないほうがいい。
2015-08-01 02:36:30逆に、嘘を付いて成功した時に得られるメリットが大きく、失敗したときのデメリットが小さい、また、成功の可能性が高い、こんな嘘はついたほうが得をする可能性が高い。そして、実際に、この手のタイプの嘘をぼくらは日常的に良くついている。散髪した同僚を心にもなく褒めちぎるときである。
2015-08-01 02:39:17「自分利益-他人不利益」型の嘘をついたことが周囲にばれると、周りから「嘘つき」というブランディングがなされる。一度嘘つきの烙印を押されると、コミュニティから排除されたり、待遇が悪くなったりする。そのコミュニティに所属することが重要な場合、これは痛い。
2015-08-01 02:44:49コミュニティというのは長期間、特定の相手と交渉をする場である。このような場面では「自分利益-他人不利益」型の嘘というのは、リスクが大きくなる。
2015-08-01 02:47:30逆に一期一会、その相手との関係が切れても構わないような状況では「自分利益-他人不利益」型の嘘のリスクはずいぶん下がる。嘘がばれたなら、また別の相手、別のコミュニティに行けばよい。
2015-08-01 02:49:32とにかく数多くの女性と網羅的にセックスをしたいという恋愛工学徒、ナンパ師が、女性に対し、あたかも誠意と愛情があるように装い、うまく嘘を付いて騙し、セックスするというのは、理に適っている。嘘がばれてもまた別の女性に声をかければいいだけなのである。
2015-08-01 02:51:31そして、実際に女性を「交換不可能な一回性の存在」として見ることを恋愛工学では「非モテコミット」として厳しく戒める。「交換可能な存在、いい女は星の数ほどいていくらでも乗り換え可能である」という原則を叩き込む。これがあるからこそ、失敗を恐れず堂々と嘘や騙しを仕掛けられる。
2015-08-01 02:55:31