「オリジナリティ」は貴いのか?
ここで勘違いしないでほしいのは「勝てない」ってのは「面白さ」って主観的な要素の強いものではなくて、「人気」とか「売上」とかの商業プロとして欠かせない要素の方ね。だって、それで食ってかなきゃいけないんだから。自分と家族を養うんだから、そういうのは当たり前だけど超大事ですよね。
2010-12-24 02:36:27たとえばさ、「ガンダム」があって、それをそのまま丸々パクったロボットアニメを作ったとしても、ガンダムには勝てないよな。だってすでにガンダムがあるのだし、ガンダムを参考にして作ってもガンダムにはならないと思う。なぜなら、ガンダムだって「なにかを参考にして作られた」もののはずだから。
2010-12-24 02:42:04だから、ガンダムと戦いたいと思うなら、「ガンダムはこれこれこうだったから、俺たちはこの辺を変えてみよう」とか「ここにガンダムがもってなかった新要素をぶち込もう」とかって作り方になると思う。そういうのが、たとえば「マクロス」だったり「ボトムズ」だったりするんじゃねーのかな。たぶん。
2010-12-24 02:44:56で、その「差別化」を図る部分に、たとえば自分の好きなアニメの好きな要素をもってきて、パッチワークのごとく組み合わせても、作品は成立してるよな。言うなれば「いいとこどり」になると思う。そういうのも、「上手いパクリ方」のなかの一つの方法だよね。
2010-12-24 02:47:45「ガンダムという作品の、自分好きなところに如何に近付けるか」という「追いかけ方」も参考にする一つの方法だし、「ガンダムの好きなor嫌いなところを研究して、敢えてそこから離れようとする」というのも参考にする方法だよね。どっちみち「研究」せざるを得ないと思うワケで。
2010-12-24 02:50:25まぁ、「作品を構成する要素が全部が全部パロディとかパクリ」だと、あんまりいいところまでいかないと思うけど、そのなかでも、「作品が持つ普遍的な面白さの部分」とかに、パロディではない、作り手の「最初にやりたかったこと」みたいのがちょっとでも入ってたら、それで十分だと思う。
2010-12-24 02:54:20俺の好きな「グレンラガン」もパロディ満載のアニメだったけど、あれの根っこの部分にある分かりやすい面白さは、「少年の成長物語」という超王道の物語だったし、そのコンセプトだって、「『宝島』みてーのやりたいんですよね」だったハズ。でも面白かったし人気もあった。それでいいってことだよな。
2010-12-24 02:57:40自分のやりたいことで作品のすべてを成立させることができて、それで面白さを確保できるなら誰も文句は言わないと思う。けど、そんなのは誰にでもできることではないし、そもそも開拓されまくった日本のアニメやマンガのなかでそれをやるのは難しい。だから、「いい意味でパクる」んじゃないかな?
2010-12-24 03:00:53自分のやりたい一つの初期コンセプトがあったとする。けど、そのコンセプトだけじゃ作品を完成させられないから、その外側とかを、すでに世の中にある作品とかを見ながら考える。設定や人間関係やストーリー構築を研究してみたり、そこの基本法則を見て、参考にして近づけたり、敢えて離したり。
2010-12-24 03:04:36その「初期コンセプト」だって「ガンダムみてーのやろう」とか「北斗の拳みたいのやろう」だって、十分アリだろう。だって、「好きだから自分もマネしたい!」なんてことは十分あるのだし。
2010-12-24 03:06:21で、その初期コンセプトを考えつつ、どうやって整えていくか、盛り上げていくか、作品に厚みを出すようにはどうするか、いろいろやってくんだと思う。その作業が、自分の脳内からパッとアイディアが出てくるならそれをそのまま使えばいいし、他の作品を参考にしていろいろ考えるのも罪ではないよな。
2010-12-24 03:10:13いうなれば「他人の引き出しをお借りしている状態」だけど、それは罪かというとノーで、受け手はおもしろけりゃそれで十分なワケです。たぶんですけど。
2010-12-24 03:11:20まぁ、なんというか……パッチワークとか全部パクリとかに見える作品でも、それがなんかすげー面白いと感じたら、それは実は見えて、一度作り手のフィルターを通った新解釈や追加要素がぶちこまれた新しい作品になっていたり、根っこの部分はパロディとか関係ない面白さがあるのではないのか?→続き
2010-12-24 03:18:25→続き 作る側なら逆の発想で、どこか一つにでもそういうのがちゃんと入っていれば、あとは全部パロディで構成されてても、その「コンセプト」とかをしっかりやってれば、ある程度は見てる側にも響く?作品になる可能性もあるんじゃねーか?とか思ったりするワケです。なんか分かりにくいですけども。
2010-12-24 03:22:04まぁ、そういう分かりにくい理屈とかを踏まえたうえで、もう一度「面白さこそが正義」というところに帰ってくると、言葉の意味とか考え方がいろいろと変わってくるんじゃないかな、と思ったり思わなかったりするとです。はい。
2010-12-24 03:28:25(1)で、前に書いたオリジナリティの問題なんだけど、これはクリエーターですらよく勘違いをするのだが、実はアイデアよりもテクニックに依存する面が大きい。文章にしても音楽にしても絵にしてもそうだが、平凡な技術しかなければオリジナリティは出せない。当たり前の話なんだが頻繁に失念される。
2011-01-04 04:36:19(2)むしろ、オリジナリティという意味では、基礎的な技術すら欠損している作り手の方が、よりオリジナリティが「出てしまう」ケースすら散見される。小説だと黒岩涙香からラノベまで延々と続く「情景描写をするだけの文章技術力がないので、延々と同じ事を繰り返し書く」なんかはその典型だ。
2011-01-04 04:39:41(3)情景描写は筋書きとは直接関係がないので、プロの作家でもほとんどが練習をしていない。だから、たいていの商業作品は情景描写や行動描写に瑕疵がある。一人称で書かれた作品の場合、この傾向はいよいよ強くなる。私が編集をしていて、一人称作品が校正のレベルで済んだ事は一度もない。
2011-01-04 04:42:42(4)つまり、ほとんどの作家は主人公の視点では見えない物や、もっと多いが聞こえない音を書いてしまうので、最後には私が校閲係として入る事になる。ただし、この頻度があまりにも高い場合は、わざと投げ出して「オリジナリティ」として処理してしまう。これが「オリジナリティ」が誕生する瞬間だ。
2011-01-04 04:46:54(5)だから、ちゃんとした編集者は練習すればモノになりそうだが、超絶技巧まではほど遠い、というレベルの作家志望に対しては「オリジナリティなんか捨てなさい。読者が喜ぶ作品を書きなさい」と説諭する。当たり前の話で、特に詳細な説明は不用だろう。練習しない奴が悪いのだ。
2011-01-04 04:53:17(6)ところが、こうした指導を受けたか、あるいは見込みがないから放置された作家の中に「オリジナリティなんてない」と言い出す奴がいて、まあ、誰とは言わないけど「痛いから止めろ。それは、単に君が練習してこなかった結果に過ぎないから」という気持ちにさせてくれるわけだ。ねぇ。
2011-01-04 04:57:21