意欲を損なわないこと、共に喜ぶこと

子どもの学習意欲をどう高めたらよいのか、悩む親が多い。しかし子供は本来、学習意欲が高いもの。学習意欲を損なう行為を極力減らせば、意欲は自然と回復するものだ。
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shinshinohara @ShinShinohara

文字を早くに書くようになった息子の話になり「才能を伸ばすために、今後心がけることは?」と聞かれて、嫁さんと二人で目を合わせた。「伸ばす、って言ってもねえ。伸ばそうとしたらかえって伸びんやろし。これまでもなんで字を書くようになったのか分からんし。次やれと言われてもできんし。」

2015-08-09 22:45:39
shinshinohara @ShinShinohara

植物は自分で伸びる力がある。伸ばそうとしたらちぎれるだけ。周囲ができることは極端に水や肥やしが切れないようにすること。ひどすぎる病害虫が発生しないようにすること。すると勝手に伸びる。伸びないなら伸びない。でも、生命が持つ力は大したものだ。それを信じるしかない。

2015-08-09 22:54:50
shinshinohara @ShinShinohara

子どもを育てるにあたって気を付けていることといえば、「意欲を損なうようなことはしない」だろうか。「やる気を出せ」といっても出るものではない。やる気が出るまで放っておくしかない。教える、という行為もしばしば意欲を損なう。意欲を損なうくらいなら教えない。

2015-08-10 19:55:45
shinshinohara @ShinShinohara

意欲が湧く瞬間が必ず訪れる。その瞬間が楽しくなるように、ともに喜ぶようにしている。すると意欲が湧く回数と時間が増える。意欲をもてば楽しくなり、楽しいから意欲が湧く。その好循環が生じやすいように気を付けている。意欲こそが学習のためのエネルギーだから、意欲さえあれば勝手に学ぶ。

2015-08-10 19:58:23
shinshinohara @ShinShinohara

意欲を損ねる一つの要因として「型にはめる」がある。嫁さんが保育士の方から面白い話を聞いてきた。太陽を子供に書かせたら、青や紫など、実に突飛な色を使うので保育士は面白がっていた。すると母親が飛び出してきて、黄色や赤で描くように指示するケースが続出。似たような太陽ばかりになった。

2015-08-10 20:00:26
shinshinohara @ShinShinohara

子どもは「好きにしたい」という気持ちが強い。親が枠にはめようとすると強い拒否感が出る。ひどくなると、しまいには絵を描くこと自体が嫌になることもある。枠にはめようとすることは子どもの意欲を奪う要因の一つだから、気を付けなければならない。

2015-08-10 20:02:01
shinshinohara @ShinShinohara

「枠からはみ出すぎたら、人間社会で生きていけなくなるのではないか」という心配は無用。子どもは他方で「真似をしたがる」。自ら枠を学びとろうとする心的作用を持つ。親が面白がって枠通りに動いていたら、子供は好んで枠通りに動く。枠の中で行動することを楽しむことだ。

2015-08-10 20:03:55
shinshinohara @ShinShinohara

挨拶は、親自身が楽しそうに挨拶し、子供があいさつできたときには「おお!挨拶できたね!やった!」とハイタッチしたりしてともに喜べば、子供は楽しんで挨拶するようになる。楽しむことで意欲が湧き、意欲がわくことで社会のルールも楽しんで学ぶ。

2015-08-10 20:05:53
shinshinohara @ShinShinohara

意欲は学習のためのエネルギーになるが、意欲を生む触媒は「楽しむこと」。親が喜んでくれた、周囲の人が喜んでくれた、自分も楽しい気分になった、という「楽しい記憶」が意欲をどんどん生み出す。なんでも楽しんだ方がよい。

2015-08-10 20:09:33
shinshinohara @ShinShinohara

学習とは苦役である、という認識が、私たち親の思考をおかしくしている部分がある。確かに学校の授業は面白くなかったという人がほとんど。でも小学1年生なんかは、わくわくして先生の言うことに耳を傾けていた記憶のある人も多いはず。子どもは本来、学習が楽しくて仕方ない。

2015-08-10 20:11:01
shinshinohara @ShinShinohara

学習が苦役になる一つの理由は「ダメ出しされること」。学校に行くと成績がつけられ、どの部分がダメかを思い知らされる。他の子と比較され、ダメ出しされる。それによって意欲が大幅に損なわれる。できたことを褒められる喜びより、できないことを指摘される「つまらなさ」が勝ってしまう。

2015-08-10 20:12:53
shinshinohara @ShinShinohara

学習が楽しいものであり続けることができるのは、好成績をたたき出す子供だけ。ダメ出ししようのないほど成績の良い子だけ。そういう子は意欲を損なうことなく、学習を楽しむが、ダメ出しされることになった普通の子どもは、急速に意欲を失う。

2015-08-10 20:14:24
shinshinohara @ShinShinohara

ダメ出しなんかされなければ、そのうちやる気がなかった分野にも興味を持つ日が来て、学び出すものなのだが、学校教育ではそれを待つことができない。待てないことは仕方ないので構わないが、「ダメ出し」されたという感覚を与えることが、学習意欲を奪う残念な結果につながる。

2015-08-10 20:15:44
shinshinohara @ShinShinohara

子どもはダメ出しなんかされなくても、どこが至らないのか分かっている。大人になっても、漢字は読めるのに書けない、ということがよくあるし、強く自覚されるように、自分のやっていることができていない、という認識能力は、子供のころから備わっている。

2015-08-10 20:17:42
shinshinohara @ShinShinohara

2歳の息子でさえ、自分の書いている文字が、自分の読める字体と「なんか違う」ことが分かっている。だから出鱈目に円や線を描いているようでいて、「あの字に使えそうな運筆」を探している。認識と出力との「ずれ」を解消すべく、さまざまな「実験」を重ねている。

2015-08-10 20:19:25
shinshinohara @ShinShinohara

驚くほどの紙を消費しながら書き殴り、「ま」「み」「む」といった難しい曲線の字をマスターしていった息子の様子を見ると、「教える」という行為によって、息子に「間違っていると指摘された、ダメ出しされた」感覚を持たれ、意欲を奪うようなことはしなくてよかった、とつくづく思う。

2015-08-10 20:21:38
shinshinohara @ShinShinohara

自ら書き方を「発見した」という喜びが、息子の、字を書くことへの意欲を高めるエネルギー源になっているようだ。「へえ、こんなこともできるようになったんだ!」とともに喜べば、もっと「認識と出力のずれを解消しよう」と、間違いを自ら修正すべく、ひたすら書きなぐる。

2015-08-10 20:24:42
shinshinohara @ShinShinohara

意欲をいかに損なわないか、というのがおそらく、学習意欲を高める最大のコツかもしれない。そして、できるようになったことをともに喜ぶ。「ねえ、見て見て!」というフレーズが子供に驚くほど共通のフレーズであることには、意味がある。子どもは、自分の成長をともに喜んでほしいのだ。

2015-08-10 20:26:12
shinshinohara @ShinShinohara

ともに喜ぼう。そして意欲を損なわないようにしよう。そうすることで、意欲はどんどん自噴し、学習(運動も含む)に対する積極性が加速する。子どもにとって遊びも学習も見分けがつかない。本来、学習は極めて楽しい遊び。ともに遊べば、それは自然と学びになるはずだ。

2015-08-10 20:28:17
shinshinohara @ShinShinohara

名古屋大学の学生を指導する際も、意欲を最重要視した。勉強ばかりしてきてすっかり勉強が嫌になっている学生に、あれこれ勉強しろと言ってもやるものではない。だから黙って様子を見ている。すると、本人も「さすがにこれはまずい」と思ってちょっと動き出す。その瞬間を見逃さないようにする。

2015-08-10 20:36:59
shinshinohara @ShinShinohara

「お、面白い実験結果だね」と喜んでみせる。「こういう結果が出るとすると、こんなことが起きているのかもしれないね」と想像を駆け巡らせる。するとともにワクワクしてくる。「じゃあこんなことをやってみたらどうなるでしょう?」と学生が言い出したら「いいねえ!やってみて!」とゴーサイン。

2015-08-10 20:38:40
shinshinohara @ShinShinohara

それを繰り返すと、学生はどんどん意欲を回復する。自然に意欲が湧くようになる。実験することが楽しくなり、自分でどんどん提案するようになる。そうなれば、あとは時折一緒に結果を楽しむだけで、素晴らしい実験結果を出してくれるようになる。

2015-08-10 20:40:12
shinshinohara @ShinShinohara

「あれをしろ、これをしろ」と命令されると面白くない。「これをやるとどんなことになるんだろ。こんな結果が出るのかな?だとしたら面白いね!」とともにワクワクすると、やってみたくなる。2歳の子どもも、大学院生も、同じだ。楽しければ学ぶものだ。

2015-08-10 20:41:47
shinshinohara @ShinShinohara

今後の課題としては、私だけでなく、若い人も「ともに楽しむ、意欲の邪魔をしない」という指導法をマスターしてくれること。そうなれば、私一人では限られた人数しか学習意欲を掻き立てられないが、若い人が増えればますます楽しく学ぶ人が増える。そうなることを願うばかり。

2015-08-10 20:43:53