「興味の赴くまま」学習と網羅的学習

学校では、知識に穴が開かないよう、網羅的に教えようとする。しかし網羅的学習は、興味をもつ前に実施すると意欲を甚だしく減退する。逐次的学習→網羅的学習の順番を間違えてはいけない。
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shinshinohara @ShinShinohara

子どもは基本、学習意欲のカタマリ。貪欲に学習していく。「うちの子ども、天才じゃないか」と思う親が多いのも当然。子どもは学ぶのが大好き。 しかし不思議なことに、学校生活が始まってしばらくすると多くの子どもが学習意欲を失う。学ぶこと自体が嫌いになる。どうしてそうなるのだろうか?

2015-09-07 18:07:41
shinshinohara @ShinShinohara

小学校に入る前の子どもは、興味の赴くままに学習する。興味のあることを学ぶから、学習意欲が損なわれるどころかどんどん意欲が高まる。「え?そんなことまで?」と大人が驚かされる。子どもによって興味を持つ分野が違うので伸びる能力もバラバラだが、得意分野は非常に伸びが早い。

2015-09-07 18:12:00
shinshinohara @ShinShinohara

しかし小学校に入ると、興味のない分野も勉強する羽目になる。興味のない分野は苦痛。そればかりでなく、興味のある分野でさえ、面白くなくなる。興味の赴くままに学ばせてはくれないからだ。小学1,2年まではそれなりに楽しいが、小学3年生になると勉強嫌いがかなり増えてくる。

2015-09-07 18:14:11
shinshinohara @ShinShinohara

学習意欲が損なわれるもう一つの理由は「比較」。小学校に入る前は他の子どもと比較されることはほとんどない。成績をつけられることがないから。だから子供は興味の赴くままに、のびのびと学習できる。好きな分野に関してはとびぬけた能力を示すようになる。

2015-09-07 18:16:56
shinshinohara @ShinShinohara

しかし小学校に入ると成績がつけられる。その結果、よその子と成績を比較されるようになる。あるいは「国語はいいけれど算数がダメ」と、本人の成績の中で比較も起きる。ダメ出しされるようになった子供は、ダメ出しされた分野から嫌いになる。比較は学習意欲を奪うことにつながりやすい。

2015-09-07 18:18:53
shinshinohara @ShinShinohara

小学校に入る前と後で、学習スタイルが激変していることに注意が必要。入学前は「逐次的」、就学後は「網羅的」。逐次的とは、興味を持った事柄を手当たり次第に学んでいくこと。興味が湧いていない事柄は無視だから、知識は穴だらけ。しかしその代わり、深く深く知識を掘り下げられる。

2015-09-07 18:21:48
shinshinohara @ShinShinohara

「網羅的」とは、知識の穴を埋めるのに最適な学習法。たとえば「脊椎動物は何種類?」と聞かれても、パッと答えづらい。しかし教科書を見れば、きちんと魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類の5つを網羅して書いてある。知識の穴を完全に埋めるのに、学校の教科書による学習はとても向いている。

2015-09-07 18:24:25
shinshinohara @ShinShinohara

しかし網羅的学習は、人間の本来的な学習スタイルに合わない方法であるらしい。イギリスの子どもはABCのアルファベット全部を覚えてからしか言葉を覚えないのだろうか?日本の子どもはアイウエオを全部言えるようになってから言葉を覚えるだろうか?違う。覚えた言葉から覚えるのだ。

2015-09-07 18:26:27
shinshinohara @ShinShinohara

子どもは日常生活でよく使われる言葉から覚えていく。印象に残った言葉から覚えていく。そうした言葉を組み合わせて、言葉を発達させていく。子どもが慣れ親しんでいる学習法は、逐次的学習なのだ。決して網羅的学習法ではない。

2015-09-07 18:27:48
shinshinohara @ShinShinohara

では子供は網羅的学習を嫌うのかと言うと、そうでもない。興味を深めた分野は、網羅的に学習したいと思うもの。たとえば仮面ライダーに強い興味を持った子供は、歴代仮面ライダーの一覧表を貪るように読み返す。全部覚えるまで何度も。一つとして取りこぼすまい、と必死になる。

2015-09-07 18:32:51
shinshinohara @ShinShinohara

しかしあくまで逐次的→網羅的の順番なのだ。仮面ライダーに興味のない子供に歴代仮面ライダーの一覧表を見せたところで覚えるはずもない。もし覚えろと言っても苦痛に感じるだけだろう。逐次的学習の結果、強い興味を覚えたとき、網羅的学習に初めて進むことができるようになる。

2015-09-07 18:34:26
shinshinohara @ShinShinohara

動物の話でいけば、動物が大好きで、いろいろな動物の名前を覚えるようになった時、爬虫類だとか両生類だとかの「網羅的」な知識を得たいと思うようになる。動物に興味のない子供が、脊椎動物の分類に興味を持つようになることは難しい。

2015-09-07 18:36:14
shinshinohara @ShinShinohara

大人になっても、学習意欲を保てる方法は「網羅的」ではなく「逐次的」。たとえば私は学生の頃、生涯興味を持つことがないだろうと思っていた分野が経済学だった。しかし大好きな生物を学ぶうち、食事という「収入」の中でやりくりする生命の営みは経済と同じ、と気づいてから、興味がわいた。

2015-09-07 18:40:10
shinshinohara @ShinShinohara

大好きな生物学をとことん突き詰めていくと、経済学が気になり始めた。興味を持ってから経済学を学んでみると、チンプンカンプンだったことも理解できるようになった。そのうち、嫌いだった経済学者のものも学んで、知識に穴がないようにしよう、と網羅的学習もするようになった。

2015-09-07 18:41:56
shinshinohara @ShinShinohara

今の学校教育では、逐次的学習スタイルをとることができていない。子どもが興味を持とうが持つまいが、網羅的に教えようとする。逐次的学習を経て意欲を高めてからあいうえおの50音を教える、なんてことができない。

2015-09-07 18:46:38
shinshinohara @ShinShinohara

これに追い打ちをかけるのが「応用問題」。塾通いの子どもが増え、学校より先に勉強を済ませている子どもが多い。その親たちにせっつかれて、学校の先生は応用問題のプリント中心で授業したりする。塾に行かない子は、意欲を持てないまま網羅的学習に進み、さらに応用に進めと追撃される格好。

2015-09-07 18:52:22
shinshinohara @ShinShinohara

もっと人間の学習メカニズムに沿った形で、授業を見直せたら、と思う。学習意欲を高めるには、逐次的学習が基本になる。興味をもったら、自然と網羅的学習をしたくなるものだ。いかに興味を持たせるか、意欲をかきたてるか、ということが、学習の基本にあってほしい。

2015-09-07 18:58:39
shinshinohara @ShinShinohara

最近日本でも翻訳・出版された「バイオテクノロジーの教科書」(上下巻)は、従来の教科書の概念と一線を画す。従来の教科書は「分野を網羅する」ことに意識が行き過ぎて、文章が無味乾燥でいかにも「教科書的」。ちっとも面白くなかった。

2015-09-07 19:01:58
shinshinohara @ShinShinohara

しかし「バイオテクノロジーの教科書」は読んでいて面白い。研究のエピソード満載。というか、エピソードだけで記述している。失敗したと思って放っておいたら新発見につながった、とかそんな話ばかり。そのおかげで興味深く読むことができ、とても印象に残る。バイオ全分野をエピソードで網羅。

2015-09-07 19:04:17
shinshinohara @ShinShinohara

DNAについて詳しく知りたいなら専門書を読めばいい、と突き放した感じもよい。バイオにはこんな面白い話があるんだよ、という入り口を、バイオの全分野に用意するのがこの本の目的らしい。この本を読めばその分野に強い興味がわき、網羅的学習をしたくなるようにできている。

2015-09-07 19:06:25
shinshinohara @ShinShinohara

日本の教科書の編み方も、この本のコンセプトを参考にするとよい。教科書が抜群に読んで面白い本になるだろう。そしてその背景にある事柄も、網羅的に学んでみたい、という意欲を掻き立てることだろう。

2015-09-07 19:08:00
shinshinohara @ShinShinohara

子どもの意欲を掻き立てるような面白いエピソードを紹介し、意欲を高めたうえで網羅的に学習する。そういうことを支援するような教科書、カリキュラムであれば、「勉強嫌い」の子どもはぐんと減るだろうに。本来子どもは、学習意欲のカタマリなのだから。

2015-09-07 19:10:16
shinshinohara @ShinShinohara

灘中学の名物教師は、中学3年間で一冊の本を読み上げる、という授業をしていたことで有名。その本で興味がわいた事柄を深く掘り下げるというやり方で生徒の自発的な学習意欲を高めたという。人間が学習意欲を高めるのは、網羅的学習ではなく逐次的学習だということを知っていたのだろう。

2015-09-07 19:18:45
shinshinohara @ShinShinohara

逐次的学習で意欲を高めながら、いかに網羅的にも学習をしていくか。そのことが多くの教師にも実践可能な形にまで磨き上げられたら、勉強嫌いの子供はぐっと減るだろう。何度も言う。子どもは本来、学習意欲のカタマリなのだから。

2015-09-07 19:19:46

コメント

うMM'えMM'ぽMM'ん@6M4T @kaorurmpom 2015年9月8日
義務教育期間を9年間から50年間くらいに延ばせたら、このやり方で成功するかもしれない。
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あおまきしゅにん @aomakipaper 2015年9月8日
小・中学校は興味を持つ範囲を広げる下地としての知識を網羅する学習じゃないのかな
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佐藤敏 @vinsatoo 2015年9月8日
1000円くらいするラーメン屋のラーメンとインスタントラーメンを比較したような印象もある。公教育はどうしても「大量生産」「意欲のない教師でも可能な教育」「質の担保」という目的にある程度向かわざるを得ない。ただ家庭教育や、ゆとりある環境の教育を考えるときなら意味があると思う。後は今後、ITを活かした教育によって「生徒が勝手に、教師の指導能力がなくてもどんどん学べる」環境を充実させる可能性くらいか。
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sdff @jkgkikllh 2015年9月8日
日本の数学、和算はそんな感じだったらしいね。しかし西洋の体系化された数学が入ってきたことにより、実生活と関係のない基礎から学ぶことになった。
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ホイル🍓ソウルNo.11の人🍓 @dabadatw 2015年9月9日
”逐次的学習→網羅的学習の順番を間違えてはいけない。”コレ。好きな事は飯を食わなくてもやれる。
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九銀@半bot @kuginnya 2015年9月9日
せめて興味が持てずについていけない生徒のフォローをする仕組みでもあればマシなんだが、現状は大体ただ置いてけぼりにするだけなのが余計に酷い
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きゃっつ(Kats)⊿ @grayengineer 2015年9月9日
身長や体力と同じように、知能の発育にも早熟や晩成の個人差があるので、今のように学齢で一律学習内容を統一するやり方をやめて、「今わかるレベルをやる」形にしたほうが、「ついていけなくてやる気をなくす」子は減ると思う
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平松 祥史 @jgoamakf 2015年9月9日
そういえば、微分積分や行列の勉強で「これで何ができるのかが分かれば興味を持ちやすいのでは」って結構昔から言われてた。
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Tamemaru🔞俺得本舗 @Tamemaru 2015年9月9日
「大人になってからの勉強は何故か楽しい」という謎現象がようやく解明された。
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西船橋ちぇる @chel_nishifuna 2015年9月10日
わかる。本を読みたかったから小学校にあがる前に平仮名は覚えてた。最近も文化人類学系の本読んでて面白くて仕方がなくって、なんでこういう面白い話を学生時代の授業で聞けなかったんだろうってのがすごい疑問だった。まあ、学校ってはそもそも、好きでもないことを無理矢理やらされることへの忍耐力を養う社会の歯車養成所だって認識で、手間を考えたらこういう教育は現実的には難しいんだろうけど。授業にはついていけても、どんどん好奇心は枯れてやる気は衰えていくよ……。
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藍戸勇希 @Aitoyuki2016 2016年3月20日
完全に同意。 幼い頃ドラえもんのひみつどうぐが好きで、辞典を自作しようとしてたこと思い出した。
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