今日は何の日?:8月12日 バーンズ回答をめぐるあれこれ(国体護持ってなんだらふ)
- yuzukoseuG
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今日は何の日:70年前の1945年(昭和20年)の昨日(8/11)受諾を表明した日本政府に対しての回答(バーンズ声明)に対するあれこれがある日です。バーンズ氏は米国務長官。
2015-08-12 07:12:40アメリカ政府は日本がポツダム宣言を受諾するにしろ無条件受諾でなく何らかの条件をつけてくるであろうと言う予想をしていました。これは兵家の習いというか、休戦交渉では必ず起こることです。
2015-08-12 07:15:10日本からの回答の中で受諾条件は「国体の護持」すなわち天皇制存続と立憲君主制の維持。これだけです。いろいろ細々言ってくると予想したであろうアメリカは拍子抜けだったと思います。
2015-08-12 07:18:09しかし、この国体の護持が厄介な代物でした。ポツダム宣言では日本の降伏後その条件履行のための連合軍による保障占領をうたっていました。実はこの時点で国体変更は占領下ではできなくなっていたのが注意点。
2015-08-12 07:21:57もし仮に日本人天皇制反対運動を起こし、最悪共産革命にまで行きそうになったら。その鎮圧のために占領軍(米軍)は出動せねばならなくなります。天皇を守るために米兵が戦うわけですよ。これは避けたいところでした。
2015-08-12 07:25:54結局トルーマン大統領はバーンズ国務長官に回答作成を指示しました。保障占領の間は日本政府と天皇は連合軍最高司令官に従う(subject to)すること。_この部分がやはり今でもクローズアップされますが、実際は後段と合わせた考えるのが重要です。
2015-08-12 07:35:46_その後の政体については日本国民の自由なる意思の表明によって決定される__結構偉い先生方でも読み飛ばしているんですが、実はこれがバーンズ回答のキモと言えました。そして当時の日本側もこれを的確に読み解くことに軍も外務省も失敗します。
2015-08-12 07:40:44@yuzukoseuG 記録上から見て、この解讀に成功してゐたのが確認できるのは、平沼騏一郎だけなのも割と頭にスダレが落ちる状況です。
2015-08-12 07:55:44@hayashicosan 平沼はこの当時は食い物の話ばかりの惚け老人的な悪情報を流すのがいて今も真に受けている本がありますが、実際ははるかに明敏な頭脳を持っていたと思います。
2015-08-12 08:37:17誤解その1は外務省内で閣議に提出する和訳をするとき生じました。subject toについては「制限下におかれる」と訳しました。これは誤訳です。占領軍が日本人にやってはいけないことだけを規定するというニュアンスになり占領における権限全体が曖昧になってしまいます。
2015-08-12 07:45:50昔からある外務官僚の悪弊でその外交交渉の権限の独占のためにそれ以外の国民には実態を隠して大したことはない自分の職掌で消化できると見せたがるんです。今でも対中韓あるいはその他の交渉で頭をもたげることがありますから注意が必要です。
2015-08-12 07:51:21実は国際法上は休戦(城下の盟)の権限は野戦軍司令官にあります。つまりこの場合は軍なかんずく陸軍がはっきりした見解を示すべきです。ところが陸軍も失敗します。「隷属」と訳してしまいました。
2015-08-12 07:54:50これは大日本帝国陸軍人には戦時国際法上では敵味方は平等の立場にあるという常識が希薄だったためだと思います。陸大教育では一切教えていませんでしたから。
2015-08-12 07:58:53戦時法規上の休戦は双方が撃ち方を止めた後、双方の司令官が立ち会って休戦協定にサインし、降伏する側は武器(剣、拳銃など)を相手に差出し、勝った側も相手の勇戦を讃えると言う場面をイメージしていました。
2015-08-12 08:03:14第二次大戦という戦争でははじめたヒトラーがそんなブルジョワ趣味と批判したくらいですから双方がこの部分で大きく逸脱していったわけですね。しかし法文ルールは残りますしあとあと影響でるのは今の法的措置と同じです。
2015-08-12 08:07:25陸軍の「隷属」では国体(天皇制)の保障がないと読めます。しかし陸軍はやはり後段を見落としていました。今の報道につながる切り取り解釈の危険性がここにあります。全体のコンテクストで大意を解釈すべきなんです。
2015-08-12 08:11:07「隷属」では占領中に米軍以下が天皇を廃位してしまうことが可能ですが、後段の日本国民の自由な意思の中には天皇制維持復活も含まれます。つまり陸的解釈ではバーンズ回答は前後矛盾する代物になってしまいます。
2015-08-12 08:15:37本来はsubject toの矛盾を衝き占領下の日本政府の権限権能を明確化する要求を行うべきだったんでしょう。実際GHQ検閲とはこの隙間を衝いたものだったと思います。日本国民全体の権利にまで思い及ばなかったのが当時の政府だったのです。
2015-08-12 08:19:40そして物理的にも交渉延長は不可能になってきていました。すでに戦争が続けば3発目以降の原爆投下は必至とみられていました。さらに満州樺太千島での阿鼻叫喚が日を追って間近に聞こえてくるようになっていました。
2015-08-12 08:22:53結果は閣内権力闘争で陸軍が負けということになります。二度めのご聖断が必須と鈴木管太郎首相が決心したためです。こうして休戦交渉の主導者になることに失敗した陸軍はあとは政治的にも滅びの方向に向かうかに見えました____
2015-08-12 08:27:10