タイトル未定のリレー小説 第三章

ゐつき @itukikashima

@tccakk 〜第三章〜 「暑いなぁホンマ…」「Hiお嬢さんキレイね〜！」照りつける太陽。そして海。のんびり出迎えるシーサー。…そう。ここは沖縄県那覇市。蓮と豪は仲良く椰子の実からジュースを飲み、その間を邪魔する流に蓮が噛み付く。後ろでは滝が観光客の女子大生をナンパしている。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 道婆さんはさっそく際どいミニスカワンピースに着替え、誰得な色気？妖気？を振り撒いている。よくあったなそんな人外サイズ。保は目の前にあったタコライスの看板に吸い寄せられ、店に消えた。「おいお前ら！観光に来たんじゃないんだぞ！」そう言う自分の手にはサーターアンダギー。

ゐつき @itukikashima

@tccakk ダメだ。この地には人を開放的にする何か結界的なものがあるに違いない…。…一週間前。大阪にいた時には予想だにしなかった。まぁまさか方舟が墜ちるなんて予想もしなかったが、予想はあくまで予想だ。方舟は実際墜ちた。そしてこのメンバーで乗り込んだ。確かに。結果…

ゐつき @itukikashima

@tccakk 惨敗した。大量の不死身機械兵団に為す術無く。結局奴らの弱点を見つけ出す事はできなかったのだ。まさか一個師団の保に包囲されるとは思ってもみなかった。あれは今世紀最大の悪夢だ。そして今まさにヘラヘラした一個師団の保に押し潰されようと言う時…。ビリケンと太郎が現れた。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 方舟潜入用に繋いでいたリンクが、まだ切れていなかったらしい。「嬢ちゃん助けに来たで！」「ワシらの力使いや！」機械で増幅され、粒子化された精神エネルギーが二人(？)の姿を極限まで引き延ばし、巨大化させた。私の脳内で紅蓮の○矢が流れたのは内緒の話だ。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 粒子化した高密度エネルギーは引き伸ばされ、二人の姿を無くし、光の壁となって加速し、私達を包み込むと次元の壁を突き抜けた。気がついた時には伊丹空港にいた。消える二人が微笑んだかは知らないが、とりあえず恩義を感じてビリケン参りと、太郎のキーホルダーは買った

ゐつき @itukikashima

@tccakk 二人はただの人形と像に戻り、また人間の祈りや喜びの気を溜めるのだろう。で、だ。何で沖縄かと言えば、道婆さんの占いによる「沖縄に行くべし」と言う、根拠のあるような無いような助言によって。方舟はあの後、後詰めの隊がやって来て回収してしまった。つまり振り出しに戻った。

ゐつき @itukikashima

@tccakk だが沖縄に来て見たものの、神の一党はまだ反乱対応に追われてるのか追撃も無く、沖縄と言った道婆さんはすっかりバカンスモード。ただ海で遊びたかっただけなんじゃないかと疑りたくもなるが、とにかく目下、甚だしく平和なのである。さて、どうしたもんか…

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 「うわ、びっくりさすな！」蓮が保に怒鳴る声が響く。どうやら、タコライスを大量に買ってきた保が、蓮たちの後方から近づいた様子。地面に散らばるタコライスがそれを物語っている。 ……無理もない。保型の機械人形たちにトラウマレベルの目にあわされたんだ。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 大量の保タイプの機械人形。正確には、戦闘能力を保有した後継機種。 そう、保も機械人形だ。 宇宙から来た情報収集型機械人形、TKY-NG-TM2。それが保だ。 もう10年にもなるだろうか。私が保を拾ったのは、6月の蒸し暑い雨の夜だった。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 当時、まだ中学生だった私は、いつものごとく先代のスパルタ教育の餌食になっていた。と、いっても対したことはない。青森の山の中に、身一つで低空飛行のヘリから突き落とされた程度だ。 その山の中で、TM2…保と出会った。 保が私に攻撃をしたのは、この時だけだ。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 情報収集型の機械人形は、本来であれば人間達に紛れ、情報収集を行う。そのため、戦闘能力は皆無に近い。 が、保は私に攻撃をしかけた。 それは、保が一目見て機械人形とわかる状態であったから。 「目撃者消そうと思ったっすー」と後に保は語った。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 保の右腕は取れかけていた。切断面から見えるのは、人間のそれとは異なる機械の類。 「お、お前、人間じゃない…？」 私の声に反応し、即座に斬りかかってきたのだ。 保のブレードをいなすと同時に、左腕を折る。保の蹴り上げる右脚を躱し、左脚を叩き折る。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima 戦闘能力を失い地面に這いつくばる保は言った。「殺セ」と。 そのセリフがあったから、今も保は生きている。機械人形ごときの命令に従うのがイヤだったのもあったが、なんとなく、なんとなくだが、友達になれそうな気がしたのだ。 そして私は、保を修理した。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 自慢じゃないが機械いじりはわりと得意だ。小さい頃からAKやベレッタをバラシたり組み立てたりしていた。…つもりだったが、保の中身は訳が違った。そもそも地上の素材ですらない物も多い。悩みに悩んで、結局一晩寝て起きたら一部を除き、ほとんどが再生していた。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 保は同化潜入用なので、神や戦闘タイプの様な完璧かつ瞬間的な再生力は備えていないのだそうだ。何がどう違うのかは保にも解らない。そりゃぁ作られてる最中に意識は無いだろう。ちなみに世界各国、既に同化潜入用機械人形は大量存在するそうだ。神が我々に追っ手を差し向けないのは…

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「ここにも沢山いるからですよ」懲りずにタコライスを買い直し、幸せそうに頬張りながら保が口を開く。「アイツもそう、アイツも…あ、あの警官も多分そうっス」仲間…いや、同族と言うのか。保には潜入用機械人形と人間の見分けがつくらしい。「じゃあ私達が大阪行くのバレてたのも」

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「隣の八百屋のおっちゃんとおばちゃんはそうです」先に言えよ…。「でも基本的には本人も、自分が機械人形だとは気付かず生活してますから」「ふーん……え?!」「そうっスよ？俺も自分がそうだって知ったの、所長に会う少し前っスから」何か…凄い重い話じゃないか？それ…？

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「いやー！超テンション上がりましたーっ！俺体強いなぁとは思ってましたけど、マジ無敵だったとは！」…うん。お前がそう言うメンタルの奴で良かったよ。早い話が戦闘タイプを捕獲して、保をバラシて見比べれば弱点は解るかも知れないが…。どうにもハードルが高過ぎる。色々と。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima よし、決めた。 「狭山に帰るぞ！」 前回の惨敗。そして先代は見つからなかった。追手も来ない。ならば沖縄に居たって仕方ない。 そもそも、あの宇宙機械人形どもは、人類が宇宙に出ようとするのを阻止しているだけで、普通に生きてる分には問題ない。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima ならばほっとけばいい。どーせ私達は宇宙になんて行かないし。奴等の支配下に置かれてる大阪も、別に私達には関係ないし。行ったら行ったで歓迎してもらえたし。道婆は一泡吹かせたいみたいなこと言ってたけど、無理なもんは無理だし。つーわけで帰ろう。

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima そして翌日。狭山に帰ってきた。……私と保だけ。 蓮と豪と流は、あと2、3泊してくるらしい。初沖縄で浮かれてる蓮と流のお守りを豪がしてる、といった感じだ。きっと今頃二人で豪の取り合いをしてることだろう。 滝と道婆は、戻って来なかった。まさかとは思うが、

無心大志withTC @TCCAKK

@itukikashima お互い一夏のアバンチュールを楽しんだりしているのだろうか。全く想像したくない。 数日空けただけだが、えらく久しぶりな気がする『無心大志探偵事務所』のドアを開ける。 埃っぽい室内。ああ、落ち着く。 冷蔵庫を開けると賞味期限が一日切れた小岩井コーヒーが。

ゐつき @itukikashima

@tccakk 「所長！焼き芋残ってますけど食います?!」何日前のだ…。ってかあの危険物入り焼き芋じゃないか。「捨てろそんなもん」「えー…勿体無いオバケ出ますよ？」文句はあの馬鹿薬屋とキチガイ情報屋に言え。未練がましく芋を眺める保から取り上げ、ゴミ箱に放り込む。あ、ゴミの日明日だ

ゐつき @itukikashima

@tccakk ピンポーン！急に呼び鈴が鳴った。お！久々に普通の探偵依頼じゃないのか？「保！出てくれ！」明日に備えてゴミを纏めながら叫ぶと、保が小岩井コーヒーを飲みながら玄関に向かった。私が飲もうと…後で飲もうと思っていたのに…!!コノウラミハラサデオクベキカ…エコエコアザラ…